あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「スピーク」(2010)の巻

スピーク [DVD]

 S原:さあひさしぶりにこんな映画ですよ!

Y木:ホテルに閉じ込められる話か…

(あらすじ)

呪われた場所として恐れられる廃きょのホテルに乗り込んだ映画撮影クルーが体験する恐怖を、リアリティあふれる主観映像で描くフェイクドキュメンタリーホラー。売れない若手映画監督のシェリーは呪われたホテルで恐怖ドキュメンタリー映画を撮影し、名を上げようと目論む。管理人の忠告を無視してホテルに乗り込んだシェリーと撮影クルーらはカメラを回し始めるが、想像を絶する怪奇現象に見舞われ館内に閉じ込められてしまう・・・

 

S原:これはあかんわー。

Y木:いきなり結論か。フェイクドキュメンタリーホラーって、一時期流行ったヤツやろ?

S原:そうそう。出演者たちがカメラを持って映像を撮っているのが、そのまま映画になってる。たぶん安上がりに製作出来るから、いまだにB級ホラーではこの手法が使われている。でもなあ、これはどうしても「手ブレ」映像になるやろ?

Y木:そうやろな。

S原:酔うねん(苦笑)

Y木:じゃあ観るなよ。これは、手ブレやからダメってこと?

S原:いや、映画そのものが全然面白ない。

Y木:というか、こんなDVDを「面白いかも」と期待するおまえがスゴイわ。

S原:ストーリーはありきたりやけど、撮り方次第では面白くなりそうやん。

Y木:そりゃそうやけど…どういうところがあかんの?

S原:欠点を言い出すときりがないけど(笑)この映画は81分しかないのに、「呪われたホテル」に行くまで15分かかる。それまでダラダラとしたヤングの雑談を聞かされる。

Y木:雑談……嫌やなあ。

S原:いよいよ訳ありホテルに入る。ここで不気味な雰囲気を出さなあかんやろ?ちょっとゾクッとする感じで緊張が少し高まるみたいな。

Y木:そうやな。

S原:ところが、登場人物たちがペラペラペラペラ喋りまくるねん。雰囲気もなにもあったもんやないで。こういうのは、ホテルの中にはいったら、急にみんなが「……」という感じで黙ってしまう場面で十分やん。でも、喋りまくる(笑)

Y木:そんなに喋るかいな。

S原:昔、合コンに行ったら「盛り上げようとして喋りまくって、女性にドン引きされている男」っておったやろ?

Y木:おまえや、おまえ。

S原:大人になった今ならわかるよ……あんなに喋りまくってもモテない、と……(遠い目)

Y木:当時でも分かれよ、そんな単純なこと。

S原:それで、ホテルにはいってからもダラダラと雑談が続く。怪奇現象を撮影したいので、「霊を呼ぶ儀式」をはじめる。ここで32分経ってます。

Y木:だるいなあ。霊を呼ぶ儀式って?

S原:「エコエコアザラク」みたいやった(笑)『霊のみなさん、来てくださーい』ってみんなで合唱するねん。これ、ほんまやで。

Y木:それで霊がくるの?

S原:来ます。

Y木:ひどい展開やな。

S原:まず、窓やドアが開かなくなります。霊のせいです。変な音が聞こえます。これも霊のせいです。みんなは言います。「怖いから帰りましょ」「そうだな、ここは危険だぜ」

Y木:おいおい、霊とか怪奇現象を撮影するのが目的やろ。

S原:とにかく、脱出するためにホテル内をうろつきます。またお喋りが始まります。

Y木:もうええわ。

S原:突然、キャー!とパニックになります。「なにかヤバいぞ!」「ここは何かがいるぞ!」「霊かもしれないぞ!」

Y木:いや、おまえらが霊を呼んだんやって!

S原:理由はわかりませんが、このままではグループの1人(男)が死ぬ、という話になります。まわりは、いっぺんにいろいろなことを喋りまくるから、なにが起こっているかわかりません。

Y木:観客は置いてけぼりやがな。

S原:「もしかして、グループの1人の調子が悪いのは、霊のしわざかよ!?」と疑うねん。

Y木:いや、さっきからそう言ってるやん!

S原:それからグループで話し合いをします。「霊を呼んだわたしのせいよ」「いや、俺が悪かった」「そもそも、こんなことを考えた自分に責任がある」とみんなの反省会が始まります。

Y木:あのー、ホテルを脱出してから反省会をしたら?

S原:話しているうちに、いつのまにか1人の女性が倒れます。ただ眠っているように見えますが、なぜか「このままでは死んでしまうわ!」と周りはまたパニックになるねん。グループの女性が「怖いけど、気にしなければいいのよ!」と言うねん。みんなは「たしかにそうだよな」と納得します。

Y木:…頭が痛くなってきた。

S原:そうこうしているうちに、カメラが暗闇を映して「ハアハア」とか「助けて…くれ」とか「ここはヤバい…」という声だけが聞こえます。

Y木:あー、それがやりたかったんやろうな。

S原:カメラがバタンと倒れて、逃げ惑う男が映ります。

Y木:でた!「食人族」方式!(爆笑)

S原:なんとか、ホテルの屋上に逃げる。そこで、女性が突然霊にのりうつられます。「おまえたちを殺してやるう~」「許さない~」と怖い顔をしますが、次の瞬間にはそのまま屋上から飛び降りて死にます。

Y木:……意味わからんねんけど。

S原:そして主人公は真剣な顔で言い放ちます。「ここは…マジで危険だ!」

Y木:わかってるわ!さんざん、友達が死んでるがな!

S原:また画面に何が映っているかよくわからないまま、主人公たちは、道に迷ったり足を引きずられたりします。そして、また暗闇が映って「ハアハア…」「こっちだ…いやこっちじゃない」「ここには…何かがいる」という声が重なります。

Y木:もうええって。

S原:やっと朝になりました。管理人のオジサンがやってきます。生き残った男2人が、「中に入ったら危ないぞ」「友達たちが死んでるんだ」とオジサンを制止しますが、管理人は平気でホテルにはいっていきます。

Y木:なんで?

S原:理由はわかりません。それで、ホテルの前で呆然とたっている男2人の姿がスーッと消えておしまい。

Y木:どういうこと?

S原:わかりません。

Y木:支離滅裂やん…

S原:さあ、みなさん。とにかく正統派のダメ映画です。ヤングたちがずっと雑談をしていてイライラしますが、そういう映画だと思えば腹も立ちません。怖さもない、演出のうまさもない、セクシーシーンもないと、ないない尽くしの映画ですが、珍品なのは間違いないです。絶対に10年後にはどこをさがしてもないはずなので、中古店で見つけたらマストバイですよ!