あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ホリエモン製作映画3番勝負!「スタジアムで会いましょう」(2004年)の巻

スタジアムで会いましょうの画像・ジャケット写真

S原:今回はこれです。

Y木:ホリエモン製作映画?なにそれ?

(あらすじ)

女性雑誌の編集者である初音は連載記事を任せている作家の堀川に恋してしまう。誰にも言えないそうした想いを、彼女は本名すら知らないネット上の友だちに打ち明け始める。

 

S原:この映画、ホリエモンこと堀江貴文氏がエグゼクティブ・プロデューサーやねん。ほかに、当時のライブドアの重役たちがズラリと名を連ねているから、会社として製作したんやろうな。

Y木:へえ。

S原:札束の威力で、女優に手をだしたりしたんやろな。

Y木:発想が中学生やがな。

S原:それにしても、なんで映画製作なんかしたんやろか?

Y木:当然、こういう奴らは儲けを考えるでしょ。それ以外に出資する意味なんかないやん。

S原:いやーこんな映画で儲けがでるか?

Y木:ま、それは結果論やろ。ヒットしてたら「さすが、ホリエモン、映画もヒットさせた!時代の寵児!』と持ち上げられるで(笑)

S原:ホリエモンも調子に乗って『みててください、次はハリウッドに乗り込みますよ!』とか記者会見で語ったりしてな(笑)まあ残念ながら、現実はほぼ誰も知らない映画になったしまったけど。で、この作品について話すと、まず画像がザラザラやねん。

Y木:ザラザラ?

S原:中古のフィルムを使ったんやろうな。

Y木:ライブドアもフィルム代くらいちゃんと出したれよ。

S原:とにかく家庭用ビデオカメラみたいな映像やったわ。

Y木:まあ映像はともかく、映画としてはどうやった?

S原:うーん、60分くらいのテレビドラマみたいやったな。可もなく不可もなく、観終わってもほとんど印象に残らない。

Y木:そうなんや。

S原:不思議なんやけど、ありきたりな題材でありきたりな演出で撮って、面白くなるんやろか?

Y木:それは知らんけどな。

S原:不思議やわー。

Y木:単純に、役者を魅力的に撮れればOKの作品なんとちゃうの?

S原:あーそうかもな。たしかに遠藤久美子甲本雅裕は、なかなかよかった。でも、やっぱり物足りないわ。ありきたりすぎるしな。

Y木:予定調和ってこと?

S原:昔「ユー・ガット・メール」ってあったやろ?

Y木:あートム・ハンクスメグ・ライアンやったっけ?

S原:そうそう。あれと話は一緒やねん。ネット上で、良い感じでつながっているけど、現実世界では犬猿の仲という設定ね。

Y木:そのままやん。

S原:そのままやで。それ以上でもそれ以下でもない。だから、安心してみることが出来るとも言えるし、分かり切っているから別に観なくてもええかな、とも言える。

Y木:でもラブコメってそういうもんでしょ。

S原:うーん、ラブコメというわりには、コメディ要素が足りないなあ。とくに伏線もないし、淡々と進むだけ。これじゃ、エンクミ甲本雅裕のファン以外は観ないよなー。

Y木:ネット上では素直になれるっていうパターンやろ?やがて、恋愛感情が芽生えるんやろ?

S原:そこはベタでええねん。でも、この作品は一番おいしいラストで、急に変になるねん。

Y木:変になる?

S原:現実では、いがみ合ってるけど(同じマンションに住んでいる)、ネット上では段々とお互いに惹かれていく。いよいよ、思い切って2人は合うことになる、2人が大好きな野球チームのスタジアムで待ち合わせをするねん。これがラストシーンね。

Y木:だから「スタジアムで会いましょう」やな。

S原:その通り。最後の最後に、ネットでしか繋がっていなかった2人が、現実にいよいよ初めて会う。でも実は、2人はすでに(気づかないうちに)出会ってる。さあ、どうなるか?もちろん、ここが一番のクライマックスやで。

Y木:おー。どうなるの?

S原:甲本雅裕は、ドキドキしながら待ち合わせ場所にいます。息子も一緒です(奥さんは亡くなっている)。エンクミが来ました。

Y木:2人とも驚くやろうなあ。

S原:甲本雅裕は、驚きます。言葉も出ません。

Y木:そりゃそうやろな。

S原:ところがエンクミは、テクテクと歩いてきてニコッと笑うねん。なんと、全然驚かないねん。

Y木:なんで?

S原:さあ…

Y木:さあ…って、エンクミは気づいてたってことやろ?

S原:いや、気づいてないよ。直前までそんな描写(説明)はなかったしな。

Y木:じゃあ、変やん。おかしいやろ。

S原:おかしいよ。映画として今まで懸命に作り上げてきたものを最後にガラガラガラッと自分で壊してるねん。

Y木:えー…?

S原:ほんまやで。いままで知らない他人だと思っていた人と会ったら、一体どんな表情をするのか?どんな反応をするのか?そこが一番盛り上がるはずやろ。観客はそこを観たいはずやのに、そこを描かないという恐ろしい映画やねん。

Y木:ほんまかいな。

S原:たとえば、推理もので、①ラストの探偵の謎解きを容疑者たちが聞く。意外な犯人が判明する ②でも、だれも無表情で驚かない ③しかも「だれも驚かない」という理由の説明はない…こんな感じかな。

Y木:それって、一番大事な部分が意味不明って。話の構築というのかストーリーが破綻してるやん。

S原:破綻してるよ。

Y木:えー。

S原:これが、ホリエモンのセンスなんやろうな。

Y木:怒られるぞ、おまえ。

S原:さあみなさん。とくに印象に残らない作品ですが、ラストの不可解さだけは注目に値します。というか、意味が分かった人は教えてくださいませ!