あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

酷評されている映画を観てみる!「ジャッカル」(1997)の巻

ジャッカル [DVD]

S原:ほとんどの人は褒めない映画シリーズ。今回はこれ!

Y木:あー、おぼえてるで。「ジャッカルの日」(1973)のリメイクやろ?

(あらすじ)

「“ジャッカル”が動き出す…」漏れ伝わってきた情報に、世界中のVIPが震え上がった。歴史の裏で暗躍し、歴史を覆してきた恐怖のプログラムが、ついに始動したのだ。いったい誰が、何処で、何を起こそうとしているのか!?闇の世界に目を光らせる各国の情報組織の捜査線上に浮かび上がったのは、100億の報酬で、どんな依頼でも請け負う、正体不明の暗殺者。毒には、毒を…防衛網は最も危険な賭けに出た…。

 

S原:これ、いままで「ジャッカルの日」のリメイクやと思ってたんやけどな。どうもリメイクじゃないらしい。いろいろとあって原作(F・フォーサイス)は使用できずに、オリジナルの脚本の初稿をもとにした別物らしい。

Y木:へえ。

S原:だから、オリジナルの映画、原作ともかなり違う感じになってる。

Y木:たしか公開当時は、結構宣伝してたやろ。ブルース・ウィリスリチャード・ギアのW主演やしな。

S原:実は、ぼくはオリジナルの「ジャッカルの日」の大ファンでな。好きなシーンは何回もみてる。こっちは今回初めて観たのよ。公開当時はあまりに評判が悪いうえに、予告編をみてもピンとこなかったから、いままで敬遠してた。

Y木:それで、感想は?

S原:これはちょっと納得できんなー。たとえば、大統領の暗殺を防ぐハリウッド映画ってたくさんあるやん。バギューンって銃を売ったり、ドカーンと車がふっとんだり。

Y木:なんか頭の悪い表現やな。

S原:「ザ・シークレット・サービス」(1993)とか「ホワイトハウス・ダウン」(2013)とか、いろいろあるけど、ハリウッド製はやっぱり大味なものが多いねん。残念ながら、これもその中の1本かな。

Y木:ポップコーンムービーってことか。それでええやん。

S原:それでええねんで。でも、この映画の場合は、あの「ジャッカルの日」と比べられるから。それだけで、不利やろ。

Y木:まあな。でも、全然違うタイプの映画にしたんやろ。それでええやん。

S原:ちょっと大味すぎるわ(苦笑)例えていうと、旨味やコクのない味噌ラーメンやな。

Y木:「味噌の味だけ」って言いたい?

S原:うん。たしかに「味噌味」なんやけどな。でも、いくら味噌をドボドボに入れられてもなあ。ラーメンを味わいたいわけで、味噌だけを味わいたいわけじゃないねん。

Y木:味噌は、「アクション」ってことやな。

S原:そうそう。まず、フランスの大統領を狙う話じゃなくて、アメリカが舞台で大統領もしくは要人が狙われるかも、という設定に変更してるから全然雰囲気が変わってしまっている。なんというか時代もあるけど、どことなくオリジナルにはどんよりとした空気感があって、それがムード作りに役立ってたのよ。それが、今回の舞台はミシガン湖とか、明るい陽射し降り注ぐ場面が多いから、観ているとハッピーな気分になってしまう。

Y木:ハッピーな気分…それはあかんな(苦笑)

S原:「ジャッカルの日」では、無口で無表情の暗殺者(ジャッカル)が淡々と暗殺の準備をする。一方で、フランスでは、一見さえない風貌の警視が地道に暗殺者を追いつめていく。それだけで、2時間超の映画を一気にみせるやろ。いよいよ暗殺という場面のハラハラドキドキや、そのあとの墓地の短い場面もクールでかっこええねん。でもこっちは、そういう要素をバッサリと切り落としてるねん。

Y木:原作をそのまま使えんかったんやろ?しゃーないやん。

S原:いやいや、良い点は上手に換骨奪胎せなあかんやろ。オリジナルでは、細身の改造銃を車の下に改造して隠したりするとか髪の毛の色を変えるとか、ディテールの積み重ねで映画の厚みがでてたけど、こっちは車の後部座席にのせたでっかい機関銃で撃ちまくるからな。まわりのビルも一般人もお構いなく撃ちまくるだけ。

Y木:それは、かなり違うなー…ん?車から撃ちまくるってことは、犯人(ブルース・ウィリス)は、暗殺現場近くにおるんやろ。なんでバレへんの?

S原:警官の恰好をしてるから、怪しまれない。警官が来ても「ごくろーさま♡」って感じで挨拶してセーフ(笑)

Y木:えー…なんかゆるい設定やな。

S原:ゆるいといえば、リチャード・ギアの設定もそうやで。ギアは刑務所にいる犯罪者やねん。でも、ジャッカルを追うために「こいつしか犯人を捕まえられない」と仮出所させる。もちろん、さいごは刑務所に戻さずに見逃してやる。

Y木:おお、いかにもハリウッド。

S原:能天気に楽しむ分にはええねんけど…どっちの主人公も、クセのある人物でもないし、ハリウッド的な派手な場面をつなぐだけでは、感想は「ま、こんなもんでしょ」「派手なだけで印象に残らんなー」となってしまう。もしかしたら映画館で観ると、意外と楽しいかもしれんけどな。

Y木:失敗作って、こともないんやろ?

S原:酷評されるほどでもない…かな。でも、やっぱり納得いかん(笑)

Y木:こんな映画に興味がない俺からすると、ほんまにどうでもええ映画やなあ。

S原:さあ、みなさん。この映画は酷評する人が多いですが、単純なアクション映画と考えれば普通の出来です。ほかにも良いアクション映画はあるので、わざわざこの映画を選ばなくても良いと思いますが、お好きな人はゲットしてくださーい!