S原:さあ、今回はハリウッドに似せたマカロニSF!
Y木:イタリアか。商魂たくましいよな、あいつら。
(あらすじ)
核戦争後の近未来が舞台。人類は、人造人間レプリカントととの共存に頼らざるをえなかった。その頃、人類に反感を持ったレプリカント達が反逆を企んでいた。それを阻止すべく捜査にあたるのは、警官とレプリカントのコンビだった。
S原:あなた、まずジャケットを観てよ。
Y木:うん。
S原:カッコええやろ?
Y木:カッコ悪いです。
S原:で、背景をよくみてよ。
Y木:うん。
S原:いかにもなSFっぽい街が、かっちょよく描かれてるな。
Y木:カッコ悪いけどな。
S原:でもな。
Y木:なんやねん、もう。
S原:こんな街なんかでてこないのよ~!
Y木:どうでもええわ!
S原:いやー、これはひどかった……味噌の入っていない味噌汁みたいやった。
Y木:それは、味噌汁ちゃうやろ。
S原:高度成長期の頃に山を崩して新興住宅地とか作ったやん? 住宅が建つ前って広々とした造成地があって、こどもたちの格好の遊び場やったやろ。
Y木:あー造成地な。よく遊んだな。
S原:この映画もそうやねん。造成地でええ年した大人が、バーンバーンと銃を撃ったり、ブルンブルンとバイクを走らせたり。そういう映画ね。
Y木:「マッドマックス」みたいな感じやろ。
S原:いや、あれより100万倍スケールダウンしてます。だって、ほんまに広い土地で遊んでるだけやねんもん。
Y木:一応、SFやろ。サイボーグとかでるんちゃうの?
S原:出てたかな。なんかよくわからんねん。
Y木:適当やなあ……
S原:このおじさんが「いいか、サイボーグには二種類あるんだ!」とキレ気味に話します。「その2つは仲が悪いんだぞ!」
Y木:おいおい、不良グループのケンカちゃうんやから。
S原:で、ギャングみたいな汚いオジサンたちが、造成地を走っています。
Y木:ほう。
S原:で、女性戦士がでてきます。
Y木:あーこれがサイボーグやな。
S原:よくわかりません。
Y木:ちゃんと観ろよ。
S原:観てても、よくわからないの!
Y木:なんでキレてるねん。
Y木:それで?
S原:主人公っぽいおじさんがでてきます。
Y木:おう、やっとか。
S原:この人は、さっきの小汚いおじさん軍団と撃ち合います。
Y木:一応、そういうシーンがあるんやな。
S原:この映画の一番の問題は、このおじさんです。
Y木:問題?
S原:一応、これはSFアクションやねん。
Y木:知ってるで。
S原:この人な、動きが変やねん。
Y木:変って?
S原:普通、拳銃を撃つには、構えて撃つやん。
Y木:まあな。
S原:で、ちゃんと撃たないと敵にあたらへんやん?
Y木:そうやな。
S原:さらに、狙わないとあたらへんやろ? 適当に撃ってもあかんやん?
Y木:たしかに。
S原:この主人公は一味違う。まず、撃つときに敵を狙わずに(相手をみずに)適当にバーンバーンと撃ちます。
Y木:はあ。
S原:さらに撃つ前に体を静止しないから、バタバタしながら撃ってます。おまけに、撃った後もすぐに次の動作をするから、もう適当に体操をしながら拳銃をうっているみたいに見えるねん。
Y木:なんやねん、落ち着きがない奴やな。
S原:ほんまに、変やったわ。もしかして撮影中にトイレを我慢してたんかな?
Y木:トイレぐらい行けよ。
S原:とにかく素早いアクションじゃなくて、焦ってドタバタしてるだけ(に見える)。そんなアクションシーン、変やろ?
Y木:変やな、たしかに。
S原:こいつ、絶対に実生活でも落ち着きがないねんで。デートでご飯に行っても、さきに自分の料理が運ばれてきたら、さきに食べるねんで。自分だけさっさと食べて「美味しかったよなー」とか言って、彼女がドン引きするパターンでフラれるねんで。
Y木:こいつのデートの心配はせんでもええんちゃうかな。
S原:まあ、そういう映画やった。
Y木:なるほど……っておい!
S原:え?
Y木:全然、内容を話してないやろ。ちょっとは話せよ。
S原:内容か……(金星をみる) そんなものはナッシングなのさ……
Y木:はあー(ため息)
S原:誰がサイボーグで、誰が人間なのかよくわからなかったのさ……
Y木:最悪やん、もう。
S原:でも、ヒロイン(赤い服の女性)は、松坂季実子みたいに胸がデカくて、それを強調する服をきていたのさ……
Y木:松坂季実子か。1985年の映画やから、ちょうど流行りと合致したんちゃう?(笑)
S原:さてみなさん。これは、薄味で印象に残らない映画でした。しょぼい大人達が、広々とした土地で北斗の拳(の悪役)ごっこをしてると思えば、腹も立ちませんよ。というわけで、今回は薄味SFでした~!