Y木:おまえ、よく20本も観たなあ。
S原:さすがに後半は、観るのがしんどかった(笑)
Y木:そうやろな。
S原:ワゴンコーナーに通ってると、いまだに「なにこれ?」というDVDに出会うことが多いねん。あるとき日本の映画ばっかり集めたら、いつのまにか20本以上になってた。それで、まとめて紹介するシリーズを思いついたんやけどな。開始してからちょっと後悔したわ(笑)
Y木:別に1本ずつバラバラに紹介したらええやん。まとめて紹介なんか、やめたらええのに。
S原:でも、こうやってDVDのジャケットを並べるとなかなかのもんやろ?しかも、ほとんどの人がこのDVDの存在自体を知らないという(笑)
Y木:そうやろうな。
S原:まあ思いつき企画でそれほど深い意味はないねんけど、一応、こういうマイナーな日本映画でも、いいものがあるよと紹介したい気持ちもあって、こういう企画を考えたんやけどな。
Y木:そのわりには、褒めてないのも多いやん。
S原:うーん、作ってくれた人たちにちょっと悪かったかな……完成した作品、それもDVDにまでなった作品に対して、あーだこーだと言えるのは、だれでも出来ることやから(苦笑)
Y木:たしかに映画を作る苦労は、生半可なもんじゃないやろうからな。
S原:でもなー、やっぱり自分の感想に嘘は言えんわ。レアな作品やからって、変に持ち上げるのもおかしいやろ?
Y木:そりゃそうや。
S原:できるだけ、良いところは褒めたつもりやけどな。
Y木:で、今回の20本は、低予算の映画が大半やと思うけど、そのあたりはどうやった?
S原:うーん。もちろん、それ自体が「武器」にはならないけど、低予算ならではの製作方法もあると思うで。例えば、「ねじりん棒」とか「金髪スリーデイズ35℃」とか「油揚げの儀式」とかは、撮影場所もすごく少なくなるように工夫されてるし、アイデア次第で上手くいく部分はあると思う。
Y木:なるほどな。
S原:観ていて「ああ、ここはお金をかけて撮ったら、もっとええ場面になるのになあ」「監督は悔しかったやろうなあ」と、よく思ったのは確かやねん。でも、そんなことを言ってたらハリウッドの監督だってある程度、自分の撮りたい映像とかを(予算の都合上)妥協してるやろうしな。
Y木:たしかに。実際に20本観て、率直にどう感じた?
S原:少し前までは、映画の完成度とか気にしてたのよ。監督のセンスとか映像とか、ストーリー展開とか、そういう部分が丁寧に作られてるほうが好みやったんやけどな。それが、今回の経験で映画の見方が変わったかな。
Y木:ほう。どう変わったの?
S原:やっぱり、映画の出来云々も大事やけど、物語だけじゃなくて登場人物(キャラクター)が大事なんやと分かったわ。
Y木:あたりまえやがな(笑)
S原:いままで結構ないがしろにしてた…(笑)少々、ストーリーが破綻してても、キャラクターが生きてるとやっぱりおもろいねん。それぞれの紹介の回でも、ときどき話題にしたけど、ほんまにキャスト(役者)が大事やと思った。
Y木:演技のうまさとか、有名無名は関係なく、と言いたいんやな?
S原:そうそう。まずはキャスティングが最重要。いくら演技が上手くても、合っていない役では違和感が残るだけやと思う。
Y木:でも、合っていない役を、合っているようにみせるのが役者の実力やろ?
S原:そうなんやけど、やっぱり本人の雰囲気とか個性ってあるやん。とくに大半は顔も名前も知らん役者なんやから、観ているほうが自然に感じるほうが映画の中に入っていきやすいと思うねんけどな。
Y木:たしかに、それも一理あるかな。
S原:一番良いのは「演技が上手い」じゃなくて、「役そのままにみえる」という感想やと思うねん。
Y木:自然な感じというか、演技してる感じがしないのが良いってこと?
S原:そうそう。どうしても映画ファン・マニアって、あの撮影方法がすごいとか、あのときのカット割りがどうこうとか、言うやん?(笑)
Y木:今時、そういうマニアも少ないと思うけどな(苦笑)
S原:そういうのよりも、とにかく役者のたたずまいというか雰囲気とか、そういうのが映画の登場人物にマッチすると、おお!と思うねん。極端な話、黙って立っているだけで、その役の存在を感じるような。
Y木:なるほどな。
S原:予算がない映画って、有名な俳優をほとんど使えないやろ?でも、それが観る人の先入観がなくて、逆によい場合もあると思うねん。
Y木:あーそれはあるかもな。そういう意味で、おまえが評価する映画というか、個人的に好きな映画はどれになるの?
S原:一番好きなのは「ユニットバスシンドローム」。とにかく主演の2人組み合わせが良いし、映画全体のトーンが好きやな。あと「7s セブンス」も、よくわからない部分もあるけど、いまでも強く印象に残っている。「ねじりん棒」は単純に役者のバランスが良くて、それぞれの個性を味わえる楽しい映画やった。
Y木:この3本が、おまえのお気に入りやねんな。ほかにも印象に残っている作品はある?
S原:ほかにもあるで。「油揚げの儀式」は、映画の完成度としてはイマイチやけど、稀有な存在感やと思う。逆に完成度が高いのが「はなればなれに」やけど、好き嫌いがでるやろうな。「杉山くんたちは夜専門」は異色作やけど、映画好き・舞台好きなら観て損はないと思う。「ペットおやじ」は正直に言ってカルト作・珍作と言っていいレベルやと思う。
Y木:ふーん。
S原:色々と話したけど、結局は自分の好み以外の何物でもないけどな(笑)詳しくは、各回のトークをみてくださいませ。
Y木:どれも観てないおれからすると、全然ピンと来ないけどな(笑)
S原:さて、せっかくやから今回の20本に「S原賞」を進呈すると…
Y木:もうええねん、小学生みたいな「〇〇で賞」はええねんって。
S原:まあまあ。これを楽しみしる人もおるねんから。
Y木:おらへんわ。
頑張っていますが、かなり癖があるで賞
「ベリースタートっ!」
(主演:阿部英貴、久保田悟 監督:奥田徹)
いかにも低予算ですが、好きな人はたまらないで賞
「油揚げの儀式」
(主演:立石幸博、鹿野京子 監督:岡本泰之)
真夏の田舎の風景がキレイですが、ドラマ部分がやや弱いで賞
「金髪スリーデイズ35℃」
出来は良くないですが、主演女優ファンは満足で賞
「ゴーストリベンジャーJK」
(主演:しほの涼 監督:前島誠二郎)
スポーツ映画なのに、なぜか出演者全員の覇気がないで賞
「ホールインワン 女子ゴルファー千春」
チープですが、こういうものだと割り切ればよいで賞
「地下の中心で愛を叫ぶ」
出来はまあまあですが、ちょっと薄味で賞
「くも漫」
残念ながら狙った面白さは、でなかったで賞
「稲妻ルーシー」
(主演:佐藤仁美 監督:西山洋一)
リアルな映画なのにリアルさがなくて、だれもついていけないで賞
「RUN3」
地味ですが、S原が一番気に入ったで賞
「ユニットバスシンドローム」
頑張っていますが、チープな感じがそのままでてしまったで賞
「ロボ一族」
(主演:深谷愛、小林奨 監督:マキノトクシロー)
かなり変な映画ですが、オジサン好きにはたまらないで賞
「ペットおやじ」
(主演:藤東勤 監督:マキノトクシロー)
賛否両論あると思いますが、妙に印象に残るで賞。
「7s セブンス」
頑張りは認めたいが、残念ながらイマイチで賞
「HERO? 天使に逢えば」
沖縄の風景がきれいですが、人は描けなかったで賞
「月のあかり」
絵になるショットが多いですが、評価が分かれるで賞
「はなればなれに」
(主演:城戸愛莉、斉藤悠、中泉英雄 監督:下手大輔)
主役も脇役も良い味です。意外な拾い物で賞
「ねじりん棒」
(主演:夏生ゆうな、斎藤歩 監督:富岡忠文)
テレビドラマとどう違うのか?と聞かれれば返答できないで賞
「宇宙で一番ワガママな星」
(主演:大倉孝二、きたろう 監督:伊藤寛晃)
主演の2人は悪くないですが、おっさんの哀しみはつたわらなかったで賞
「ラブポリス ニート達の挽歌」
(主演:吉村崇、大地洋輔 監督:坂田佳弘)
舞台が元で、独特の世界感ですが、癖になる人はいるで賞
「杉山くんたちは夜専門」
Y木:こんなコメント言うんなら、はじめからそうしろって。
S原:いやー。今回も楽しかったね♡
Y木:楽しないわ…(苦笑)
S原:さあ、みなさん。ここで取り上げた作品たちは、ほとんどの人が知らないと思いますが、映画との出会いは一期一会ですよ。私の感想はあまり参考にせずに、あなたの好みの1本がきっとあるはずです。どこかで出会えたら、ちょっとだけ手に取ってくださーい!