あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ヤクザ映画10本ノック!「不動の仁義」(2013年)「抗争の挽歌」(2013年)の巻

不動の仁義 [DVD]

抗争の挽歌 Blu-ray

 

S原:今回はこちら!

Y木:うわーいかにも、という感じ…

 

(不動の仁義のあらすじ)

堂島譲(白竜)は、元極道。今はしがないバーテンダーである。ある日、兄弟分だった野沢組組長・野沢俊介(金山一彦)に、龍神会会長を襲撃した組員の中田(Koji)の逃亡の手助けを頼まれる。野沢に借りがある堂島は快諾。密航船で中田を海外逃亡させようと思案する。同じ頃、会長を殺された龍神会組員たちは、野沢を惨殺。友の死によって復讐の鬼と化した堂島の大殺戮が今、幕を開けた――

 

(抗争の挽歌のあらすじ)

力石会・竹脇六(原田龍二)の海老名連合総長襲撃!しかし襲撃は失敗に終わり、六は刑務所へ、力石会は海老名連合の傘下に降ってしまう。出所後、力石会若頭・権藤(中野英雄)に破門を言い渡された六は、闇金まがいの取り立てで暮らしを凌ぐ毎日だった。そんな折、襲撃の裏で権藤が手を引いていたことを知った六は、二丁拳銃を手に、力石会に単身で乗り込むのだが・・・!

 

S原:「不動の仁義」は、めちゃくちゃ単純やねん。いまはヤクザから足を洗った男が、昔に世話になった(身代わりに刑務所に入ってくれた)ヤクザ組長に、ある男を(海外に)逃亡させるのを頼まれる。主人公はなんとか逃亡を成功させるが、それが原因で、結局組長は殺されたので、復讐をする…それだけの話。

Y木:それだけか。みんなが、Vシネマと言うか任侠ビデオ映画に対して持っているイメージ通りの作品やがな。

S原:この世界はあまり知らんけど、お約束通りの作品とちゃうかな(笑)そつなく出来ているとも言えるし、物足りない出来とも言える。

Y木:やっぱり、役者をみるための映画?

S原:その通り。全編、主役の白竜がいかにかっこよいか、だけを考えて作られた映画です。でも、この手の映画はそれでええと思うで。

Y木:まあ、これをレンタルする人もそういうカッコよさを求めてるやろうしな。

S原:主人公は「昔はヤクザだったが、いまはバーの主人で妻と平和な日々を静かに過ごしている」という設定で、そんな雰囲気はよくでてたと思う。ただ、そのままのセリフで説明する。しかも2回も(笑)

Y木:わかりやすいなあ。

S原:それも含めて、一本調子で単純すぎるかな。薄味というか、コクもキレもないビールというか(苦笑)しかも、何回も同じ場面や同じセリフが繰り返される親切な作りやから、アイロンとか家事をしながらでも楽しめると思う。

Y木:なんやねん。

S原:もう一本の「抗争の挽歌」は、反対に異色作やと思うで。あらすじを読んだら単純な復讐ものやと思うやろ?

Y木:まあな。

S原:だけど、内容は全然ちゃうねん。こんなにDVD裏面のあらすじが違うのは、あの「陽だまりのイレブン」(1998)以来とちゃうかな。

Y木:あーあのジーコ主演の珍作ね(笑)

S原:「抗争の挽歌」の主人公は、かつて敵対する組織幹部(?)を暗殺したことで、刑務所に入ってたんやけどな。いまは、出所して小さな組で闇金の取り立てをしてるねん。ある日、取り立て先の飲み屋を訪ねたら、昔の友人の奥さんが店におるねん。旦那(友人)が勝手に200万円の借金をしてたのよ。店は奥さんが経営してるねんけど、昔の友人はヒモ状態でフラフラしてる。理由は「映画のため」やねん。

Y木:映画?

S原:主人公と友人は、一緒に映画を作る夢をもってたのよ。それがいつのまにか、主人公はヤクザになっている。一方、友人は夢が諦められず、まだ映画製作に夢をもってるねん。

Y木:ふーん。

S原:主人公の友人は、映画の脚本を書いてて、いまは一旗揚げようと東京に住んでるねん。もう40歳で最後のチャンスというわけ。

Y木:どんな映画を作りりたいの?

S原:Vシネマみたいな映画(笑)

Y木:身内の話か(笑)

S原:この男が、うだつのあがらないしょぼい男でな。才能があるんかないんかわからんけど、鉛筆ナメナメしながら、リンゴ箱で脚本を書いてるねん(笑)仕方がないから、主人公が東京に会いに行く。借金を返せと脅すけど、昔からの友達やから、話をしているうちに一緒に住むようになる(あとで奥さんも合流する)それで、主人公は、ヤクザなのに映画の世界になんとなく巻き込まれて行って…という話やな。

Y木:ヤクザ映画としては、変わり種かもな。話の広げ方によっては面白そうやん。

S原:主人公は、本物のヤクザの実情や経験を友人に話してやる。それをもとに友人は脚本を書き直していく。以前はしょーもない脚本しか書けなかったのに、(主人公の実体験をいれた)リアルで面白い脚本が書けるようになる。ひょんなことからプロデューサーに認められて、ついに実写化される…というストーリーやねん。

Y木:それで主人公はヤクザの仕事をせずに、どんどん映画製作にのめりこんでいくっていう流れ?

S原:そうなれば、もっと面白かったと思う。ちょっとウッディ・アレンみたいなコメディ風のヤクザ映画になってたかも、と思うけどな。そうはならんかった。結局、そうこうしているうちに、主人公は組から裏切られたことが分かる。そこで、落とし前をつけるべく組事務所に乗り込み、裏切っていた組の幹部を銃で撃つ…

Y木:なんか、急に陳腐になるんやなあ。

S原:そうやねん。やっぱり、こういうラストにせなあかんのかな。ちょっと残念やな。

Y木:Vシネマと言うか、こういうのが好きなお客さんに合わせるんやろうな。それにしても毎度毎度、同じ内容やと飽きそうやけどな。銃撃とかドスで刺すとか。

S原:まあ、飽きないんやろな、たぶん。同じような話でも、ゾンビ映画なら、かならずゾンビは襲ってくるし、ラブコメなら甘いキッスの場面があるやん(笑)

Y木:ジャンルムービーってことか。

S原:そうそう。ジャンルムービーはええとして、「抗争の挽歌」で一番残念なのは、あらすじも予告編も「映画製作のエピソード」に一切触れられていないことやねん。この映画のメインの話やけど、やっぱりそんな話ではDVDレンタルをしてくれへん、という意図なんかな。

Y木:そんなんやったら、はじめから作るなよと思うけど、まあそういうわけにもいかんねやろうな。

S原:ちゃんとストーリー紹介をしたら(ヤクザ映画ファン以外にも)意外とアピールできそうやねんけどなあ、残念。

Y木:ジャンルムービーの呪縛か。

S原:さあ、みなさん。まだまだ、ヤクザ映画ノックは続きます。お楽しみに!

Y木:いや、もう4本で充分ちゃうやろか…(ため息)