あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ヤクザ映画10本ノック!「除籍 血濡れの怪文書」(2014年)「頂点 てっぺん」(2017年)の巻

除籍 血濡れの怪文書 [DVD]

頂点 てっぺん [レンタル落ち]

 

 

S原:我々二人は、一応映画ファンやん?

Y木:最近、おれは映画を観てないけどな。

S原:ぼくは、このブログのために、まともな映画は全然観ずにワゴン映画ばっかりみてるけどな(笑)それはええとして、ぼくらが共通して観てない映画のジャンルあるねんな。それはヤクザ映画、とくにVシネマ系のヤクザ映画やな。

Y木:たしかに観てない。というか観たいとも思わんしなー。

S原:今回、ワゴンコーナーで大量に発掘したのよ。生まれて初めてちゃんと観てみましたので、10本まとめて取り上げます。ではスタート!

 

 

(除籍 血濡れの怪文書 のあらすじ)

一家のために20年の刑期を務め娑婆に出てきた毛利(今井雅之)。一家は甲斐性の無い四代目が受け継ぎ、実力者だった子分たちの居場所はなくなっていた。そんなある日、四代目とその取巻きに対する匿名の抗議文が組の中に出回る。この怪文書によって内部抗争が勃発するのだった…。

 

(頂点 てっぺん のあらすじ)

神田組の若頭補佐・神田竜一は組長・神田剛造の実子である。「ステゴロの竜」と呼ばれている竜一は他の組といつもトラブルを起こし、剛造を困らせていた。そんな竜一の見張り役に親友で神田組の若頭補佐でもある土井方陣がついていた。竜一に期待を寄せている神田組・若頭の工藤辰也は自分が癌であることを竜一と方陣に告白。動揺する二人だったが、工藤は最後の仕事として竜一を若頭にさせることを宣言するのだった…。

 

S原:今回は、この2本を取り上げます。「除籍 血濡れの怪文書」も「頂点 てっぺん」もオールインエンターテイメントという会社が製作してるんやけど、公式ホームページをみたら、大量の任侠映画(ビデオ)が製作販売されてて、頭がクラクラしたわ(笑)

Y木:ということは、やっぱり需要があるんやろうな。

S原:そういうことやろな。SFとかホラーとかも延々と作られ続けて、レンタル店の端っこに並んでるやん。あれと一緒なんやろうな。もうこの手の作品が好きで好きでたまらないというファンがおるんやで。本屋で西村京太郎の新刊が出たら、とりあえず買うという人がおるのと一緒やろうな。

Y木:その例えは合ってるんかなあ…ところで、なんで今回はこの2本立て?

S原:今回の「除籍 血濡れの怪文書」と「頂点 てっぺん」の2本はともに、だれが次の組長になるのか?という話やから、2本立てにしたんやけどな。

Y木:いや、この手の映画は、そんなんばっかりとちゃうの?

S原:よくわからんけど、そうやろうな。

Y木:それで映画としてはどうやったの?

S原:両方ともまあまあやった。ただ、この世界に興味がない人はやっぱり面白くないやろうな。だって、いくら映画が面白くても「バタリアン」(1985)に興味がない人はダメやろ?

Y木:世の中の大半がダメやけどな。というか、「バタリアン」はおもろないやん。

S原:まあな。この2本の話に戻すと、かなり映画の全体的なトーンがちゃうねん。まず、「除籍 血濡れの怪文書」のほうは、やや暗めで主人公のモノローグが静かにはいったりして、サスペンス風ですすむねん。「頂点 てっぺん」は、ヤングパワーで暴れるって感じの映画やったな。

Y木:ふーん。

S原:「除籍 血濡れの怪文書」のストーリーは、主人公が刑務所の刑期(20年)を終えて、組に帰ってきたら、人望のないヤツが組長になってる。主人公は、忸怩たる思いがあるが、ヤクザ組織としての掟には従う。なんだかんだで他の組と揉めたり、主人公が破門(除籍)されそうになったりしているうちに、組の内部に「怪文書」がでまわるねん。

Y木:怪文書?なんかの秘密が暴露されるの?

S原:いや、ただの組長への文句やった(笑)「今の組長はダメだ。我慢できないぜ」という文書やねん。

Y木:小学生か。それで?

S原:みんなで集まって組長に「あんたには人望がない。辞めなさい」と進言するねんけど、組長は「おれは組長なんだぞー」って怒るねん。

Y木:なんやねん、それ。

S原:それで、組長を銃殺して、次は主人公が次の組長になるところでおしまい。

Y木:うわー、ひどいな。面白なさそう…

S原:まあな。もうちょっといろいろとドラマはあるし、予想以上にちゃんと出来てたけどな。

Y木:「頂点 てっぺん」は?

S原:組長の息子が主人公で、組の幹部やねんけど、とにかくヤンチャでな。けんかっ早くて、すぐに他の組ともめ事を起こすねん。いつもナンバー2(若頭)がたしなめたりするねん。「もっと大人になってください」とか「次の組を背負う立場なんですから」とか。このナンバー2の役者はなかなか落ち着いた雰囲気で良い役者やと思ったわ。それで、このナンバー2が実は癌になってしまうねん。

Y木:あーそれで主人公は心入れ替えるわけやな?

S原:いや、いつもの通りヤンチャしてた。

Y木:なんやねん。

S原:それで、結局他の組と抗争になってナンバー2は撃たれて死んでしまう。その展開はええねんけど、ナンバー2は、主人公のことを「ジッシ」ってよぶねん

Y木:ジッシ?

S原:ぼくもなんのことかわからんかったんやけど、どうも「実子」のことみたいやねん。組長の実の子供やから、「実子」やな。

Y木:普通、そんなんで呼ばへんやろ…

S原:なんか変やねん(笑)さっきも言ったけど、ナンバー2が死んだ後もやっぱり主人公は大暴れしてるから、いろいろな人(大物)が仲裁(手打ち)しようとする。だけど、そのたびに主人公が暴れてよけいに話がややこしくなる(笑)相手側もやりかえすから、しまいには(どっちもやりすぎて)どっちの言い分が正しいのかわからなくなる。普通は主人公の感情移入すると思うねんけど、どっちの組が(ヤクザとして)筋を通しているのか、観ているほうもわからんようになるねん。これは、その演出効果を狙っているだけでなく、やりすぎで観客が混乱してるだけね(笑)

Y木:頂点(てっぺん)を目指す話やろ?組長を目指すというか。

S原:目指すも何も、親父が組長やから、つぎは自動的に世襲やがな。

Y木:いやいや、そうは問屋がおろさんやろ。組織内に反対勢力があって、また一揉めってことやろ?

S原:いや、みんな賛成してたで。「竜さんしかいないっすよ」「組をまとめてくださいよ」「おれたち、いつでも竜さんのために命張りますよ」って。

Y木:うわー…なんやねん、それ。

S原:「頂点 てっぺん」のほうは、抗争している組を裏から操ろうとしている若い男(理由は私怨)がいて、それがもっと上手に絡むかと思ったけどそうでもなかった。でも、次回作では味方(部下)になるんとちゃうかな?

Y木:えー続くんや。

S原:いや僕も知らんかったけど、この手の作品はどんどんシリーズ化するみたい。「頂点 てっぺん」も3まで作られてるし、パート4や5は当たり前、「日本統一」というシリーズはなんとパート37!(笑)

Y木:37本作って、まだ日本統一できていないんかい!

S原:この「日本統一」シリーズを全部観た人に、ぜひレビューを書いてほしい(笑)

Y木:それで、結局任侠映画を初体験した感想は?

S原:どっちもストーリーはたいしたことない。でもそれは狙い通りやろうと思う。あらすじの展開よりも、やっぱり「役者」をみるような映画になってたな。なんというか、いかに役者を「魅せる」かという演出に腐心してるというか。かっこよくスローモーションになったり、窓際でタバコを吸うとか、しかめっつらで静かに酒を飲むとか。

Y木:なんか80年代風やな(笑)

S原:「除籍 血濡れの怪文書」は今井雅之、「頂点 てっぺん」は波岡一喜が主演。それぞれ、役には合ってたと思う。あと、今回発見したのは、ほかの役者も有名・無名といろいろともちろん出演してるんやけど、なんというか「たたずまい」のような感じが、役者ごとにすごく差があるように思ったわ。

Y木:どういうこと?

S原:演技が上手い下手でなくて、脇役なら脇役で存在感があるというかな。

Y木:そりゃ演出でしょーよ。

S原:それもあるけど、同じ映画でも役者のレベルというのかバラツキがあるねんな。なんというかヤクザの幹部役やのに場末のサラリーマンにしかみえなかったり、チンピラ役やのに吉本新喜劇みたいやったり(笑)

Y木:要するに、役柄と合ってないんやろ。

S原:そういうことやろな。昔タランティーノが「映画のキャストは大事なんだ。キャストの一番弱いところが、映画の完成度になるから」と言ってたのを思い出したわ。

Y木:さすがタランティーノは興味深いことを言うなあ。

S原:たしかにキャスティングは大事やで。この2本とも楽しめるかどうかは、役者が良いと思えるかどうか?とちゃうかな。

Y木:なるほどな。まーヤクザ映画ってそういうもんなんやろうな。

S原:いつもなら、まとめコメントをするところやけど、もうすこしこの手の映画をみて、他にも紹介します。ちょっとだけ待ってくださいませ♡

Y木:いや、もう紹介せんでもええんとちゃう…?