S原:今回は、2本立て!
Y木:B級映画感が満載やなー。
(キル・コマンドのあらすじ)
テクノロジーへの依存が進んだ近未来、海兵隊員たちと技術者のミルズ(ヴァネッサ・カービー)は、軍事訓練のため、孤島の研究施設に派遣される。その後、暴走したロボットに襲撃された一行は、実戦を繰り広げることになる。絶えず進化する人工知能を持ち、人類を排除しようと牙をむくロボット軍団に立ち向かう海兵隊員らの運命は……。
(キングスパイダー VS メカデストラクターのあらすじ)
人類を突如襲撃した体長30メートルの巨大蜘蛛・キングスパイダーの恐怖を描いたモンスターパニックの続編。前作で破壊の限りを尽くし、ロサンゼルスごと核兵器によって消滅したはずのキングスパイダーが復活を遂げ、賭博の街・ラスベガスで大暴れする。
S原:世の中には2種類の大人がおると思うねん。
Y木:なんやねん、いきなり。
S原:ロボットがすきな大人と、それ以外の大人。
Y木:どーでもええわ!
S原:というか、あなた学生時代からロボットとか興味ないかったやろ?ガンダムとか。
Y木:興味ない、まったく。
S原:もったいないなー。みなさーん、ここにイデオンとかボトムズとかザンボット3を観たことのない大人がいますよー!
Y木:だれにアピールしてるねん。べつにロボットが好きでなくてもええがな。まーええわ、今回はロボットの映画やねんな。
S原:そのとおりでござる。このパッケージで心がウキウキする大人がおるねんで。
Y木:どっちもダサいなー。
S原:えー、かっこええやん。そもそもロボットを実写映画で撮ろうとするその心意気がうれしいよな。
Y木:そんな心意気は要らん。それでこの2本の映画はおもろいんか?
S原:え?
Y木:おもろいんか?って聞いてるねん。
S原:いやー、はっはっは、参りましたなー。
Y木:やっぱり、おもしろないんやないか!2本ともハズレなんやろ?
S原:まあな。今回2本をまとめたのは、実写のロボット映画は珍しいというのもあるけど、この2本は全然タイプの違う映画になってるねん。
Y木:どっちもチープな特撮なんやろ、どうせ。
S原:まず「キル・コマンド」のほうを話すと、こっちはすごくちゃんとロボットとか特撮が上手やねん。
Y木:ふーん、じゃあロボットが好きな人は満足ちゃうの?
S原:ちゃうねんなー、そういうところがな、あなたがロボット童貞やねんなー。
Y木:なんやねんロボット童貞って!きもいわ!まーSFXというかVFXというか、そういうのがちゃんと出来てるってことやな?
S原:そうやねん。特撮シーンというのかロボットの場面がすごく丁寧に作られてて、びっくりしたわ。たぶん、この監督はこういうSF好きなんやろうな。ただ、それ以外のドラマ部分が面白なさ過ぎて、せっかくのロボットが登場しても全然盛り上がらへんのよ。ふだん、ワゴンコーナーの映画を観てると、あーせめて特撮部分がちゃんとしていたらなー、もっと面白いはずやのになーとか思うわけよ。スラッシャーでも、宇宙船でも、天変地異でもなんでもええねんけどな。でもこの映画を観て、やっぱりドラマ部分も大事なんやと思ったわ。
Y木:すごく当たり前のことを力説してるで、おまえ。
S原:そういえばそうか(笑)とにかくロボットがでれば内容はなんでもええねんっていうマニアは満足かもしれんけど、ぼくはちょっとな…たとえば、ギターソロは超カッコいいけど、肝心の曲がダサいとやっぱり魅力半減やろ?
Y木:ギターマニアは喜ぶけど…ってことね。具体的にはどういうところがダメやの?
S原:まず、ストーリーが平坦やねん。近未来が舞台で、主人公は海兵隊員たちなんやけど、演習のためにある島にむかうねん。この島はロボットがたくさんいて、1機がどうもおかしいという情報もあり、半分人間・半分機械の女性と一緒に島に行くねん。あとは想像できると思うけど、演習(模擬戦闘)をはじめると、ロボットたちが暴走して海兵隊員を次々と襲っていく…というパターンやな。まあ単純です。
Y木:こういう映画は単純でええんやないの?
S原:あまり単純すぎるのもな…人間関係とくに軍人と女性アンドロイドとのやりとりなんて、いくらでも面白くなりそうやのに、なんか退屈やねん。ロボットの知能がすごくて、人間の行動パターンを先読みしたり、さらに主人公たちがその先を読んで逆襲したり…と話を聞いてると、ちょっと面白そうやろ?
Y木:まあな。
S原:でも、サスペンスというかハラハラドキドキがないねん。「よくできたロボットでんなー」「ほー、特撮はまあまあでんなー」って言っているだけで映画は終わってしまうねん。
Y木:浪速の商人か。
S原:「猿の惑星」(第1作)は猿の造形もすごいけど、やっぱり話が面白いし演出が上手いからヒットしたんやと思うで。だって、「猿の惑星 征服」(第4作)は、猿の造形は良かったけど、ストーリーはだれも覚えてないやろ?
Y木:もともと観てないから知らん。
S原:あと残念なポイントもあってな。女性アンドロイド役の女優がな、なんか幸薄そうやねん。いつも一歩先で幸せを逃してしまうような顔立ちやねん。恋人と別れた直後に撮影したんやろうな、可哀そうに…
Y木:また適当なことを言う。
S原:まあそういう映画やったわ。で、問題なのは、もう一本の「キングスパイダーVSメガデストラクター」やねんなー。これがなんともスゴイ出来でなー。ぼくも知らんかったんやけど、この映画はどうもpart2らしくてな。はじめに前作のダイジェストが流れるねん。
Y木:いまどき前作のダイジェストが流れる続編も珍しいな。
S原:昔のテレビ映画みたいやろ。これは遺伝子を組み換えたクモがでてくるねん。前作ではLAで大暴れしたクモが、今度はラスベガスで大暴れ、というわけやな。このクモは超巨大なんやけど、それに対抗すべく巨大ロボット「メカデストラクター」が登場するのがオープニングです。
Y木:うわー…
S原:まずは肩から発射された武器でクモをやっつけます。いっぽう、ある男がアタッシュケースにクモをいれて運ぼうとしてたんやけど、政府機関(エリア51)の女性ともめているうちに、クモが逃げ出してしまうねん。そこからが、スゴイでー。このクモが大暴れするねん。街で人を殺すわ、車を壊すわ、火災を起こすわ、山に登るわ、イチャイチャしているカップルを覗き見するわ、カジノの営業は邪魔するわ、道路を横切るわ、もうやりたい放題です。
Y木:なんかクモの暴れ方が、だんだんショボくなってないか?
S原:当然、われらがロボット・メガトラクターがまたまた出動して、クモと対決します。あ、言い忘れてたけど、このロボットは犬みたいは顔やねん。足が短くてバランスが悪い(笑)「リングにかけろ」の石松みたいな感じね。
Y木:知らんがな。
S原:あと、操縦室の後ろには消化器もちゃんとついてる親切設計(笑)しかも、なんと!このロボは空も飛べるのですよ!
Y木:なんと!といわれてもなあ…
S原:このロボットは住民たちの生命よりもクモをやっつけることを優先しているため、ロボットも大暴れです。だから操縦士たちも「人命軽視」で戦うねん。ミサイルを撃ったら外れてホテルは破壊されるわ(お客さんは死亡)、仲間のはずの戦闘機は住宅街に落ちるわ(住民は死亡)、カジノのポーカー大会の優勝者を誤って殺すわ(ほかの参加者も死亡)、パイロットは携帯電話で恋人に電話するわ(私用電話)、それを上司がみつけて怒られるわ(激怒)、もうやりたい放題です。
Y木:なんか違う…ような気がするねんけど、まあどうでもええわ(笑)
S原:いよいよ最終決戦ですが、すでにラスベガスはかなり崩壊しています。途中でロボットを動かしすぎて電池が切れたり、ビームを撃ち込むとクモがビームを反射して、仲間が戦死したりという信じられないような場面のあとに、最後はスカイツリーの上で対決です。ロボットがビームを発射! → クモにあたる! → 援護に来たトラックからもビーム発射! → クモにあたる! → ついにクモが死んでスカイツリーから落ちていく…
Y木:やっと終わった…
S原:と思ったら、ちいさなクモが合体!巨大クモになって、また主人公に襲い掛かる!あ、危ないぞ!と思ったら、上司が自爆スイッチを押してクモをやっつけておしまい。
Y木:ヤケクソやがな。
S原:結局、「キル・コマンド」も「キングスパイダー VS メカデストラクター」も大したことのない映画やった。けど、なんて言えばいいのか、前者はロボットの造形が良いのに面白くない、後者は特撮とかひどいけど面白くない。
Y木:要するに、こんな映画をええ年した大人が観るもんじゃないってことやろ。
S原:ガーン…
Y木:まあ、このブログで紹介した映画の大半はそんなんばっかりやけどな。
S原:さーみなさん。大人になってもいつまでもプラモデルのコーナーに行ってしまう人、オッサン同士の飲み会で「ザクレロはともかく、ビグザムって改めてみるとかっちょええよなー」とか「自衛隊の戦闘機はガウォーク形態には変形せーへんの?」とか言ってしまう人、そんなあなたがマストバイする映画ですよ!