あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「悪魔狩り」(2003年)の巻

悪魔狩り [DVD]

 

S原:今回は、これですよ、あなた!

Y木:うわー、ほんまにしょうもなさそうやなあ…

 

 (あらすじ)

ミチルの通う高校で“悪魔が殺しに来る”というチェーンメールが広まり、生徒たちは次々と変死を遂げていく。犯人と疑われたミチルは、取材に来たジャーナリストと同級生の3人で悪魔へと立ち向かう。

 

Y木:この娘、ごっつい目つき悪いなあー。

S原:まあ、ホラーやから…といいたいとこやけど、ほんまに目つきの悪い小娘やった(苦笑)

Y木:眉毛も変じゃない?

S原:うん。変やった(笑)

Y木:なんやねん。こんな映画は絶対おもろないやろ。

S原:うん面白くなかった。ここまで面白ないのも珍しい(笑)

Y木:おまえ、ええ年してこんな映画をよく観るなあ(あきれた顔)

S原:このブログをはじめてから、ワゴン映画をいろいろと観たけど、こんなにヒドイのもそうそう出会えないで。90分くらいの作品やけど、3時間くらいに感じたわ(苦笑)

Y木:そりゃそうやろ。面白くなる要素が皆無やん。

S原:いやー、まあ撮り方によっては面白くなると思うねんけどな。

Y木:ならんって。

S原:あらすじにも書いてあるけど、「チェーンメール」が高校で流行するねん。関係あるのかわからんけど、高校生たちが変死していく。どうも悪魔になっていくらしい、というストーリーなんやけど…もう結論から言うと、この作品で一番ダメなところは、『何をやっているかわからない』ってことやねん。

Y木:どゆこと?

S原:まずストーリー展開がわからない。普通、身の回りに殺人事件が起きて、悪魔化した人間(クラスメートとか)がいるんやから、主人公がどう反応、対応するか?という物語になるはずやろ?例えば、襲われるのか? 戦うのか? 逃げるのか? 謎を解くのか?

Y木:そりゃそうや。

S原:ところが、この主人公は、何を考えているかまったくわからんねん。どうも主人公自身も悪魔なんかな?と思わせる場面もあるけど、そのくせ急に怖がったり、強気になったり、もうキャラクター設定が安定していないから、観ていて頭がクラクラするねん。要するに、どんな主人公かがわからへんねんな。

Y木:そりゃひどいな。ほかの登場人物たちは?

S原:いや、ほかの人はもっと意味不明やった(笑)性格もわからんし、そもそも主人公との人間関係も説明不足やから、「え?この人って友人やったっけ?それとも敵やったけ?」って戸惑うねん。

Y木:そんなもん、もう途中で観るのをやめろよ。

S原:よっぽど、やめようかと思ったけど、観てしまった…(笑)さっきも言ったけど、人間関係が理解できていないから、いくら役者がセリフを言っても、全然意味がわからん。そのくせ説明的で不自然なセリフが多いねん(苦笑)ラスト付近なんて、まるで『この世のものすごい謎を解く』みたいなセリフのやりとりなんやけど、観ているこっちはシュールレアリスム演劇を見ている気分になる。

Y木:そこまで支離滅裂なんか。ちょっとは分かるやろ?

S原:この破綻具合は、観てもらわないと伝わらないのが歯がゆいわ。とても自分の語彙力では、伝えることが出来ない…(苦笑)

Y木:ほかに出ている役者たちは? 

S原:全員全滅。演技もなにもあったもんやない。

Y木:一刀両断やないか。

S原:ほんまに褒めようがないねんって!まあキャストも良いところがないけど、スタッフ(製作)側はもっとひどい。思いつくまま短所を言うと、①ノイズ系の効果音を繰り返して恐怖感を演出 → 陳腐なうえに耳障りなだけ ②同じ効果音を何度も挿入 → イライラするだけ ③役者が熱演 → うるさいだけ ④セリフ → 急に大きくなったり、ボソボソしゃべって聞き取れなかったりする ⑤画面 → 急に明るくなったり暗くなったりする ⑥カメラワーク → 手振れあり、移動あり、空間を生かした構図あり。それがすべて下手すぎて、見にくいだけ・・・ちょっとはわかった?

Y木:素人映画やがな。

S原:だいたい悪魔になったら、どうなると思う?

Y木:頭から角が生えるとか?

S原:惜しい。舌が赤くなるねん。それをベローンって見せつけるねん。それが悪魔にのりうつられた証拠(笑)

Y木:そりゃ、キッスのライブパフォーマンスやがな(笑)

S原:しかしなあ、今回つくづく思ったけど、やっぱり「どんなキャラクターなのか」「どんなストーリーなのか」が伝わらないと、観ている人はついていけない。

Y木:そんな当たり前のことを、いまになって再確認…?

S原:これもワゴン映画を観たおかげやな(笑) この作品は、どうもテレビドラマで放映したもものを再編集してDVD販売したみたい。編集が上手くなくて、ぶつ切りで話が全然わからへん…それでこんな珍作になったんやろうけど、それにしてもなあ(ため息)

Y木:もうちょっと具体的に教えてや。聞きたいわけじゃないけど。

S原:主人公は、後半で「人間だと証明したければ体育館に来い」と言われるねん。行ったら、白衣のおっさん(悪魔?)が、主人公をブツブツと怒った挙句に、スローモーションでダンスする(笑)しかも体育館の舞台には、赤い十字架に高校生(同級生?)が、縛られている!

Y木:いつの時代の演出や…
S原:よく経緯がわからんけど、結局(十字架の高校生の命を懸けて)、悪魔と主人公が勝負することになるねん。勝負は…なんとバスケのフリースロー3本勝負ですよ!しかもコメディ演出ではありません!マジの真剣勝負!
Y木:あたまが痛くなってきた…
S原:そして、意味なく体育館の電気が消える!そして、フリースロー!ゴールされるごとに、安っぽい炎の画像が重なります。果たして勝負は?
Y木:主人公は勝つの?
S原:負けます。十字架の高校生は死にます。
Y木:えー…なにそれ…
S原:全編こんな感じやねん。ほかには、主人公の先輩(男性)はどうもニューヨークで911らしき事件に遭遇してて、そのときの破片(?)を大切にもってるねん。ところが、なんの脈絡もなく主人公がいきなり「そんなものは捨ててください!」と勝手に投げ捨てるねん。
Y木:は?
S原:そしてそのあと、先輩と甘い接吻…
Y木:めまいがしてきた…
S原:画面には赤い花が、二重露光で映ります…
Y木:「パタリロ」かよ。
S原:そして、主人公がかっこよくつぶやきます。「地獄が始まった」
Y木:…わかった…もうやめてくれ。これ以上聞いても理解できないから、もうええ。ようするに意味がつながらない映像の連続やねんな。
S原:そうそう。DVD特典ではメイキング映像があるねんけど、記者会見なんか逆光で俳優の顔が映っていないねんで。そんな記者会見ってある?(笑)最後まで、スゴイ映像の連続やったわ。
Y木:今回は…なんかすごいな…
S原:さあ、みなさん。たぶん一生に一度出会えるかどうかの珍作です。あの「シベリア超特急」や「北京原人 who are you ?」でも、ストーリーは理解できましたよね?この作品は、それらを軽く陵駕しています。でもさきの2本みたいに「愛すべき珍作」にはなっていません。単にレアなだけですが、たぶん10年後にはこの世に1本のDVDも存在しない可能性がありますよ(笑)後世に残す意味でも、珍作好きなあなた、ぜひゲットしてください!