S原:マニアの世界はそろそろ終盤戦。今回はこれ!
Y木:おお、ジャケットが80年代でええ感じやな。
(あらすじ)
囚人で牢屋に居るロジャーは透明人間になる事ができ、逃亡する。向かった先は母が眠る墓で母に無視されていた自分の存在を認めさせたく話しかけるが拒否され、墓荒らしと勘違いした墓守を殺害してしまう。警察はロジャーを必死に追うがそれを嘲笑うかの如く次々とサイキックで警官を殺害していく・・・
S原:これ、意外と普通やったよ。
Y木:えーこれが?
S原:いや、こういう系の映画の割にはちゃんとしています。
Y木:どういうところが?
S原:画面が、わりと明るいです。何が映っているか分かります。
Y木:当たり前やろ。
S原:まあ、フィルムは傷だらけやけどな。
Y木:あかんがな。
S原:あと、主人公が何をしているかが、一応理解できます。
Y木:普通は理解できるんやって。
S原:まあ、感情移入は出来へんけどな。
Y木:あかんがな。
S原:あと、口の動きとセリフがずれていません。
Y木:そりゃそうやろ。
S原:あと、主人公が怒ったときには、怒った演技をちゃんとしていて……
Y木:もうええわ! しつこいねん。 だから、嫁さんに「あんたは同じことばっかり言うから嫌い」「生まれ変わったら、あんたとは出会いたくない」って言われるねん。
S原:おお、サンキュー。
Y木:褒めてないわ。はよ、映画の話をせえよ。
S原:最初は留置所か刑務所にいる主人公(ロジャー)がいます。前にいる囚人(黒人)がなにかと話しかけてうるさいです。そこで、主人公は目がピカーって光ります。囚人はびびります。すごくキャッチーでナイスなオープニングですねえ。そのあと、ロジャーは刑務所を脱走します。そして、自分の罠にハメた5人を追いかけます。一方、警察はロジャーを追いかけます。
Y木:ほう。それで?
S原:それだけです。
Y木:おいおい。
S原:いやーこういう映画は単純なほうがええよ。「タクシードライバー」(1976)みたいな主人公やと、観客はいろいろと考えさせられるやん? ああいうのは困るねんなあ。
Y木:全然、ジャンルが違うやろって。
S原:あ。ちょっと注意してほしいことがあるねん。
Y木:なに?
S原:さっき、警察が主人公を追うって言ったけどな。軍曹とか大尉とか書いてる紹介文もあるから、間違わないようにしてね。
Y木:どうでもええわ。はじめに普通の出来と言ってたけど、実際のところ、映画としては面白いの?
S原:面白くはないです。
Y木:やっぱりな。
S原:主人公は、いかにも80年代で、ええ感じやねんけどな。問題は警察やな。
Y木:警察か。演技が下手とか?
S原:いやー妙にリアルでな。
Y木:リアルやったらええやん。
S原:でも考えてみてよ。あんまりリアルやとなあ……「あー仕事が終わったら、スーパーに寄って、安くなった刺身を買うんかな?」とか「たまには、息抜きに喫茶店とか行くんやろうか?」とか、そんな想像をしてしまうやん?
Y木:せえへんわ。で、5人に復讐するところが、見せ場やろ? そのへんはどうなん?
S原:そこが弱い。というのは、主人公が復讐に燃える動機がよくわからんから。いやたぶん説明してたはずなんやけど、ぼーっと観てたからわからんかった。
Y木:集中しろよ、ブログに書くんやから。
S原:いやーこの映画を集中して観るのは辛い……どうも、無実の罪(?)で刑務所に入れられたっぽいけど、さっきも言ったけど復讐ものなら主人公に感情移入しないと面白くないやろ。そのへんがイマイチやった。
Y木:結局、主人公は超能力者なん?
S原:うん。テレキネシスと透明化が出来ます。透明化して人を襲う場面が、一応見どころかな。
Y木:ほう。
S原:でも、特撮は最小限になってるから、役者がキョロキョロして、「あ!」と驚いたり「ううう!」と勝手に苦しむというシュールな場面になってます。
Y木:大体、その説明でどんな映画か分かったわ(苦笑)
S原:特撮はええ感じやねんで。体がビビビビって、テレビの砂嵐みたいになって消えるところとかは良い味よ。電送人間みたいで。
Y木:レトロな特撮を味わうってことか。
S原:うん。まあ、それ以外はちょっとキツイです。さあ、みなさん! 製作された年代じゃなくて、こういう映画を観ると、つくづくセンスって大事だと思いますねえ。といいつつ、この映画を嫌いになれない自分がいます。好事家向けですが、機会があればぜひご覧くださいませ~!