あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

タイムリープ映画3番勝負!「今日も僕は殺される」(2007年)の巻

 

今日も僕は殺される デラックス版 [DVD]

 

S原:タイムリープ映画特集、最後はこちらです!

Y木:なんか、すごいタイトルやな。

 

(あらすじ)

繰り返される死のループから抜け出そうとする主人公の物語を描いたエンドレス・デス・サスペンス!恋人ジェニーと幸せな日々を送っていたアイスホッケー選手のイアン。ある夜、道の真ん中で倒れている不審な人物に遭遇したときから彼の人生は一変する。突然何者かに襲われ、線路の上に投げ出され、列車にひき殺されてしまう。しかし、気がつくと彼はオフィスで働いており…。

 

S原:これはですねえ、スタン・ウィンストン製作やねん。あの「ターミネーター」(1984~)シリーズとか「エイリアン2」(1986)のSFXを作った人やな。こっそりと「スペースインベーダー」(1986)も担当しているお茶目な人やな。この宇宙人は肉団子みたいでなかなか可愛かった(笑)

Y木:特撮はやっぱり力が入ってる感じ?

S原:そうやな。でも、今回の映画ではもっと「抑えた」表現のほうが良かったと思う。ところどころで、エイリアン風味が見え隠れするから。まあ、やっぱり本人はああいうデザインが好きなんやろうな(笑)

Y木:映画自体はどうなん?

S原:いままで紹介した「シャッフル」とも「プライマー」とも毛色が変わる映画やったな。結論から言うと、その2本よりもガクンと落ちます。

Y木:主人公は、毎日殺されるんやろ?そんな毎日、いややなあ。

S原:そりゃそうや(笑)主人公は大学生でアイスホッケーの選手やねん。試合の後、恋人を車で送った後に、線路で倒れている浮浪者らしきものが倒れているのを見つけるねん。助けようとするけど、なんか異様な雰囲気を感じてあわてて車に戻る。ところが、その浮浪者が奇妙な黒い影(生物?)に突然変わる。その影が主人公を線路まで引きずって、あっという間に主人公は列車にひかれて死亡。その瞬間、ハッと目を覚ますと会社員で働いている状況になっている。でも恋人は会社の同僚として近くにいる。腕時計がなぜか止まるとか、時間にまつわる出来事がいろいろある。家に帰るとすでに結婚をしていて、今度は自分の妻がまた黒い影のように変身して、あっさりと主人公は殺される。死んだ瞬間と同時に今度は、タクシードライバーで働いていて…というわけやな。

Y木:どこまで続くの?映画としては、延々とループさせてもしょうがいないやろ?

S原:大丈夫。わりと早い段階で、見知らぬ老人が説明してくれる(笑)その老人曰く①時計が止まると連中が現れる ②影のような姿の集団は、ハーヴェスターという ③ハーヴェスターは、主人公の命を狙っている。④それは主人公の「記憶」を恐れていて、それを消去しようとしているため ⑤この世界はハーヴェスターが作り出した世界。そこに主人公は存在している。

Y木:なんか、SFとしてはよくある設定やな。でも、なんで主人公が何回も「死」を繰り返す現象が起きているのかわからんぞ。

S原:ぼくもわからん。だって説明がないから(笑)どうも、主人公が以前の記憶を思い出すと時間が止まって、ハーヴェスターが殺しに来るらしい。たとえば、ひょんなことから(前世の)ホッケーの試合のことを思い出すねんけど、そのとたんに襲われる。じつは、主人公の恋人がキーパーソンで、主人公は絶対に恋人を守らないといけないというルールがあるねん。だから、何回よみがえっても恋人が近くにいるという設定になっているねん。

Y木:なんかよくわからんなー。なんか設定が変じゃない?

S原:たしかにわかりそうで、わからんかな。すこし話を端折ると、ハーヴェスターは人間の「恐怖」を糧に生きる不死の存在やねんけど、最近は人間の「苦痛」も糧としているらしい。死ぬ瞬間の恐怖や苦痛が、ハーヴェスターにとって好物やねん。でも、一部のハーヴェスターが暴走して(?)どんどん人間を殺害していくようになってる。人間以外にも、快楽をむさぼるやつらがいるってことやな。

Y木:でも、なんで主人公たちが何度も狙われるんや?ほかの人間を襲えばええやん。

S原:実は主人公たちも、ハーヴェスターやねん。人間を(自分たちの欲望のためだけに)殺していくハーヴェスターたちと対立してたわけやな。

Y木:それってデビルマンと一緒やがな。

S原:はい。そっくりです(笑)ただし、ハーヴェスター=悪魔族たちが直接攻撃するわけでなく、架空の世界を設定して主人公を殺そうとするねん。

Y木:えーやっぱりおかしいやろ?なんで、そんなまわりくどいことすんの?べつに普通に主人公たちを攻撃したらええやん?悪魔やし。

S原:うーん、実はそうやねん…別にタイムリープするという設定は必要ないねん。

Y木:まえに取り上げた「シャッフル」も「プライマー」も、一応タイムリープする(なってしまう)ことで、ドラマが動くという感じやったけど、今回はぜんぜんちゃうやん。

S原:たしかにこの映画では、タイムリープの面白さよりも、悪魔たちが襲ってくる場面を主眼に置いてる感じやな。それでも前半は、時間が巻き戻っていく感じがよくでていたけどな。緊張感があって良い雰囲気やったし。でも、後半はなんというかミステリーではなくて、ホラー風味のアクションになるというか。でもなー、実はそんなことは些細なことやねんで。じつは、この映画では最大のポイントがあるねんで。

Y木:ポイント?

S原:さっき説明したハーヴェスターは、不老不死やねん。でも主人公は、なぜかハーヴェスターを殺すことが出来る。その理由はなんなのか?とハーヴェスターたちは疑問をもつ。だから余計に主人公たちを恐れるねん。

Y木:なんで主人公は、ハーヴェスターを殺すことが出来るの?

S原:それは……「愛」です!

Y木:は?

S原:「人を愛する気持ち」は、「恐怖」や「苦痛」よりも強力なのです。主人公は、愛で悪魔たちを蹴散らすのです。

Y木:ほんまにそんな話なんか…(絶句)

S原:ほんまです。最後に愛は勝つ

Y木:…(茫然)

S原:最後の対決で、主人公はハーヴェスターを殺します。しかし、同時に恋人も死んでしまう。ああ、どうなるのでしょう?でも心配はご無用です。「愛」の力で恋人は蘇りました。そして、時間がループするのも止まりました。最後は主人公と恋人が濃厚な接吻をしておしまい。もう一度、セイアゲイン、最後に愛は勝つ

Y木:しつこいねん!それにしても、そんなラストとは…(ため息)

S原:おどろきやろ?(笑)さーみなさん、今回のタイムリープ映画特集はいかがだったでしょうか?一番頭を使うのは「プライマー」、ハリウッド的に楽しめるのは「シャッフル」、後半からどんどん知能指数の低い映画になっていくのが「今日も僕は殺される」です。3本ともに共通しているのは、「観た後誰かに話をしたくなる」「ツジツマを確認したくなる」ということでしょうか。なので、友達や恋人と観るのにぴったりですよ。まあ、ぼくは独りぼっちで観ましたがね!

Y木:むなしいやっちゃ。

S原:そして、今回ぼくが一番感じたのは、「ワゴンセールの映画」を観て、時間を浪費してしまったと後悔しても時間は巻き戻らない、ってことですね!ウフッ♡

Y木:え…いまさら…?