S原:今回はこちら!「親の文句は許してもよ、麻雀の文句だけは許さねえ!」というキャッチコピーが泣かせます!
Y木:おれは親の文句のほうが嫌やけどな。
(あらすじ)
稀代の雀ゴロ・安斉雅の生き様を描いた麻雀大河コミックを映像化!麻雀が最もアツかった1980年代。会社を辞め、賭け麻雀で生計を立てる“雀ゴロ”へと鞍替えした安斉雅は、若手最強の麻雀集団『哮るの会』に参加し、日々、様々な雀ゴログループの挑戦を受けていた。そんな安斉の前に現れたライバル集団『麻雀維新会』の代表・窪田は、安斉にあるプロ雀士との対戦を持ちかけ…。
S原:結論から言うと、これはまあまあやった。
Y木:ふーん。
S原:舞台は1980年代。主人公は金子昇。最初の場面がユニークやねん。主人公は入院(食道がんらしい)していて、病院から抜け出して河をながめている。手から麻雀の牌が落ちる、それを拾う…「おれの体は朽ち果てようとしている…いままで麻雀に賭けてきた自分の人生が是だったのか非だったのか、それを確かめたい…」みたいなモノローグが流れる。
Y木:へえ。死期が近づいた男の回想シーンから始まるんか。麻雀ものでは珍しいかもな。
S原:ええ感じやろ?でも、ええ感じなのはここまでやったかな。
Y木:これも原作は漫画やな。
S原:そうです。来賀友志(原作)嶺岸信明(作画)の「麻雀群狼記ゴロ」です。物語は1980年代。全自動麻雀卓が導入する前やから、手でジャラジャラとかき混ぜるのよ。てっきり、仕込みというかイカサマの話やと思ったんやけど、そうじゃなかった。
Y木:昔の麻雀漫画って、イカサマの話が多かったもんな。というか、悪いけど麻雀ってそういうイメージしかないわ。
S原:いまは仕込みとかはないんやろうけどな。この映画では、大きく2つのエピソードに分かれてます。主人公は「咆けるの会」(たけると読みます)という麻雀グループを作ってます。前半は、主人公(金子昇)が商店街店主たちを相手に麻雀をする話。その中に、麻雀にハマるあまり恋人の心が離れかけている男がいます。ちなみに恋人は聖子ちゃんカットです。その恋人が稼いだ金(場末のスナックで働いている)を元手に雀荘に行きます。「この金を何倍にしてやるからよ。寿司でも行こうぜっ」
Y木:それって典型的な負けるパターンやん。
S原:その通り。よせばいいのに、この男は主人公と麻雀をします。あっさりと負けます。金がなくなった男は、恋人に渡す予定だった婚約指輪を元でに主人公に最後の大勝負を挑みます。
Y木:で、勝負はどうなるの?
S原:負けます。
Y木:えー……
S原:男は金も指輪もなくなります。そのまま無一文で、故郷の青森に帰ろうとした恋人にプロポーズしておいまい。
Y木:そのエピソードって主人公に関係ないやん。要るか?
S原:さて、主人公に「麻雀維新会」のメンバーが声をかけます。「あなたは井の中の蛙だ、ということを気付かせてくれる男と麻雀を打ってみませんか?」と変な表現で主人公を麻雀に誘います。これが後半のエピソードです。
Y木:ほう。より強い相手と戦うというわけね。
S原:そうです。相手は伊原という雀士。本宮泰風が演じています。大勝負ということもあり、主人公は気合をいれて赤い勝負服で行きます。そして、その格好をみた伊原がぽつり。「変な服だな…」
Y木:なにそれ。ギャグ?
S原:ほんまにこういう場面があるねんって。原作を読んでないからわからんけど、なんというかサイボーグ009のコスプレみたいです。このへんは漫画の実写化の難しさかな。で、勝負が始まります。勝てそうで勝てない主人公。結局は、大負けします。
Y木:へえ、主人公が負けるんや。
S原:勝負の後、主人公はラーメン屋で落ち込んでいます。一方で謎のグループ(ヤクザ?)が「面白い男がいるので、次の勝負に呼んでみましょう」と主人公に声をかけることを示唆する場面があります。そこでおしまい。
Y木:パート2に続く、やな。Vシネマあるあるやな。
S原:いいえ、パート2はありません。
Y木:どないやねん。主人公は負けたままやないか。
S原:そうやねん。たぶん続編を作るつもりやったんやろうけど、予想以上にDVDが売れんかったんやろうな。なので、ちょっとスカッとしない映画やった。
Y木:でも毎回主人公が圧勝して終わるパターンが多いやん。なので、これはこれでええんちゃうの?麻雀でもなんでも負けることはあるでしょ。
S原:そうやなあ。さあみなさん。麻雀映画としては普通です。金子昇、本宮泰風たち俳優のファンは楽しめると思います。今回は、ツモりそうでツモらない映画でした!