あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

タイムリープ映画3本勝負!「シャッフル」(2007年)の巻

 

S原:タイムリープ映画3本勝負。2本目はこちら!

Y木:「シャッフル」?

 

(あらすじ)

親子4人で幸せに暮らすリンダのもとに、夫が自動車事故で死亡したという知らせが届く。ところが翌朝、死んだはずの夫が何事もなかったかのように目の前に現れる。しかし、その翌日には夫の葬儀のために、喪服に身を包んだ大勢の人々が集まっていた。さらにその日以来、全く身に覚えのない“不可解な出来事”が次々と起こり始め…。

 

 

S原:ぼく、結構サンドラ・ブロック好きやねん。モデルみたいな美形じゃないところがええし、かなり幅広い分野の映画に出演しているところも良いと思う。実際は、どうしても(出演作の)当たり外れがあるけども…アカデミー主演女優賞と最低映画賞(ゴールデンラズベリー賞)を同時受賞したのは、この人くらいちゃう?これって、プロの俳優としては、すごいスタンスやと思うなー。

Y木:ほう。それで今回の映画は、あたり?はずれ?

S原:人によって評価が分かれると思う。ぼくは楽しめたで。

Y木:シャッフルというタイトル通り、時間がシャッフルするんやな?

S原:シャッフルするというか、『朝が覚めると特定の1週間のうちのどれかの曜日になっている』というほうが正解かな。

Y木:ん?

S原:サンドラ・ブロックの旦那が交通事故で死んでしまう日から映画は始まるねん。車を運転してて、トレーラーとぶつかって即死やと聞かされる。これが水曜日。ところが、翌朝目覚めると、旦那さんがリビングにいてコーヒーを飲んでるねん。おどろくんやけど、悪い夢だったのかな…って感じでその日を過ごす。ところが、また翌朝目覚めると、今度は旦那が死んだ後で、親戚や友人が葬儀の準備をしている日になってるねん。さっき言った「特定の一週間」というのは「旦那が死亡した日を中心にした1週間」ってこと。その7日間をシャッフルして体験してしまうんやな。

Y木:あーそういうことか。

S原:だから、目が覚めて、その日が「未来の日」やった場合は、自分でも記憶にないことが起きてるねん。つまり自分は、「過去の日」を経験してないから、その出来事を体験してないんやな。このアイデアは面白いやろ?

Y木:アイデア賞かもな。

S原:過去・未来と行き来するから、小さな出来事が伏線になっていく。ハリウッド映画はこの辺は上手なんやけど、この映画ではいまいちスマートではなかったかな。わかりそうで、わかりにくい部分もあって、そこがちょっと残念やった。「ああ、そういうことかー!」と、うなる部分が少ないというか。ぼくの理解力の問題もあるけど。

Y木:ふーん。

S原:ほかにもイマイチな点もあるねん。まず旦那役の俳優がダサいこと。なんかトム・ハンクスを水で薄めたような顔やねん(笑)こいつは売れへんやろうなー。

Y木:そっとしておいてやれ。たぶん機嫌よく生きてるんやから。あとは?

S原:あとは、主人公が「曜日シャッフル現象」に気付くのが遅いこと。ここは欠点やと思う。主人公がどんくさく感じてイライラする(笑)

Y木:主人公がシャフル現象に気付いた後は、どうすんの?

S原:当然、旦那の交通事故を防ごうと努力する。果たしてどうやって事故を防ぐのか?ここがこの映画の面白さになるわけやな。ただ、ちょっと変な点も多いねん。例えば、朝起きてスマホとかテレビをみれば、今日が何曜日かわかるやろ?主人公は、友人に電話して何曜日か確認する。ここはみんな突っ込むんと違うかな(笑)あと、個人的に一番不自然やと感じたのは、「旦那が死んだ後の曜日」に目覚めたとするやろ?そこでも、主人公はすごく取り乱して、周りが困惑するねん。「本当は死ななくても良かった!」とか「わたしが死なないようにする!」とか叫んだりして。結局、興奮しすぎて精神病院に強制入院させられてしまう。

Y木:えー、ほんまに?精神病院に?

S原:ほんまやで。かわいそうやねんけど、「死んだ後の日」ではおとなしくしてるほうがええと思うねん(笑)だって、その日は事故が起こってしまった後やから、どうあがいても事故は防がれへんやろ?暴れたりせずに、過去に戻った時点で旦那を助ける方法をじっりと考えたほうがクレバーやと思うわ。

Y木:なるほど。でも映画としては地味な展開になるんかもしれんな。それで結局、つじつまは合うの?

S原:シャッフル現象では、最後の曜日(7日目)が事故の当日やねん。この日が当然クライマックスになるから、これはまあ、ご都合主義やな(笑)朝、目が覚めて、今日が「事故の当日」と気付いた主人公は、(旦那の死を防ぐために)交通事故にあった場所まで急いで駆けつけるねん。自分が運転して、旦那の車を追いかける。車の中を携帯電話を鳴らす。おどろく旦那をなんとか引き留める。間一髪助かった!…というところで、いままでの主人公の行動がきっかけになって、旦那は(当初の通り)事故死してしまう。要するに主人公は、旦那の死を止められないねん。

Y木:うーん、そうか。つじつまが合うというか、そういうことやねんな。

S原:それでも普通のサスペンス映画にしなかった点もあるねん。家族愛というか、そんな要素も入れててな。じつは最近、旦那と主人公は上手くいってなかったのよ。旦那がちょっと浮気寸前やったり、主人公もそれに気づいたりして、ギクシャクしてた。それが、最後に旦那も浮気をやめて家族が大切だと気付いて、それを主人公に伝えるねん。

Y木:ほー。

S原:まあ、伝えたあとに旦那は死ぬんやけど、それでも主人公としてはまだ救われる部分があった、とも言えるかな。ちょっと象徴的なのは、教会で神父(牧師?)が、主人公に「毎日生きてることが奇跡なのです」みたいなことを伝えるねん。ここは隠喩かもしれんけど、かなり賛否分かれるところやろうな。

Y木:ほー。まあ、今回の映画は欠点もあるけど、結構楽しめたってこと?

S原:うん。この映画に限らず、タイムマシン/タイムリープものって、後から、いろいろと考えさせられるやろ?おもに矛盾点が気になるんやけど(笑)、それでもやっぱり観ていると楽しいな。あと、サンドラ・ブロックの背中がやたらと映るんやけど、監督の好みやろか…

Y木:知らんがな。

S原:さあ、みなさん!これは、気軽に観れる時間移動映画です。観終わったあとに、ああだこうだと言いたくなる映画なのは間違いありません。頭を空っぽにして楽しみつつ、一方で頭で理屈を考えるようなタイプの映画が好きな人、そんな人はマストバイです!