
S原:今回はフィリピン映画!
Y木:へえ、フィリピン。
(あらすじ)
フィリピン映画界の鬼才、ヤム・ララナス監督が原案・脚本を手掛けた官能サスペンス。農家の娘・エレンは貧しく閉塞的な生活から逃れ、姉のように慕う親友・マリアンと新しい生活を楽しんでいた。しかし、彼女たちの友情は徐々に変化していき…。
Y木:フィリピン映画って、このブログで話すのは初めて?
S原:いや、かなり前にこれを紹介してた。
Y木:あー人形のやつ。
S原:なかなかすごい映画やった(笑)
talksessionyands.hatenablog.com
S原:「生き人形マリア」とはテイストが全く違うのは当然なんやけどな。かなりセクシャル寄りの映画やった。
Y木:エッチな感じ?
S原:そういうのもあります。女性同士のかなり激しいからみとか。でも、カラッとした感じじゃなくて、湿気ムンムンというかもう愛欲と情念が渦巻いているというか。
Y木:ふーん。
S原:映画自体も大真面目に作られています。田舎で父と2人で暮らしている娘・エレンがいます。ヤンという娘と仲が良くて、よく遊びに来てくれる。父は農業をしているけで、上手くいかない。アランという男ら借金をしていて、「はやく返済しろ」と迫られている。金がないと言うと、「娘を売れ」と言われる。
Y木:あー……
S原:エレンは父ともみ合いになって、結局父を殺してしまう。助けに来たヤンと一緒に街に逃げて、とりあえずヤンと一緒に暮らすことになる。
Y木:それで?
S原:ヤンは、じつはエレンに対して恋愛感情を持っている。父親を殺したトラウマで苦しむエレンにヤンはそっと寄り添い、体の関係を持つ。2人で生きていくようになるが、警察はエレンの父親が死んだ事件を捜査しており、だんだんと2人に迫っていく……こういう感じです。
Y木:たしかにエロを全面に出す感じではないな。
S原:うん。もっと女性たちの内面を重視した映画やった。
S原:この映画ではなんといっても、フィリピン特有(?)の蒸し暑さというか湿度の高さというか、そういう画面作りやな。女性もキレイに撮られてるけど、なんか観ていると息がつまって汗ばんでくるような気がする(笑)
Y木:アジア映画って感じ?
S原:そうやな。アメリカ人みたいな「オ~、カモ~ン♡」とは全く違います。
Y木:いまどきそういう映画もないけどな。結局、この映画はどうやったの?
S原:面白かったで。でも、エッチ系を期待すると肩すかしやと思う。たしかにエロいねんけど、どこか女性の気持ちが陰にこもっていて、なんとも閉塞感のある感じやった。
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Y木:文芸作品とかではないんやろ。
S原:ちゃうと思う。基本は娯楽映画やと思うけど、このへんは上手く表現できない。観てもらうしかないです。ただ、ちょっと不満もある。
Y木:お色気がもっとほしい?(笑)
S原:反対です。ここまで人物の内奥を描くなら、性的な描写はあそこまで激しくなくても……という気がする。
Y木:観てないからわからんけど、そういう激しい場面があるから、キャラクターを描くことが出来るんやろ。
S原:それは分かるねんけどな。どうしても、そういう場面がクローズアップされてしまうから、作品としては正当な評価がしにくいというか。
Y木:そんなもんかな。
S原:あとはラストが、なかなかすごい……でも、あれは評価が割れるやろうなー。というわけで、みなさん。主役の2人(シンディ・ミランダ、レン・エスカノ)は素晴らしいです。陰鬱な感じで観た後もスカッとするタイプの映画ではありませんが、映画好きなら楽しめると思ういます。ぜひ一度お試しあれ!
