![ザ・カンヌ・プレイヤー [DVD]](https://m.media-amazon.com/images/I/51hICqlsF4L._AC_UF894,1000_QL80_.jpg)
S原:今回の舞台はカンヌ映画祭!
Y木:へえ、こんな映画があったんや。
(あらすじ)
映画祭開催中のカンヌを舞台に、映画プロデューサーがウソとハッタリだけを武器に一般人を有名脚本家に仕立てあげていく様子を描いたフェイクドキュメンタリー。
落ち目の映画プロデューサーのサイ・ラーナーは、「どんな人物でもカンヌ映画祭の人気者にすることができる」と豪語し、仲間たちと賭けをしてしまう。ラーナーは偶然居あわせたタクシー運転手のフランクを脚本家に仕立てあげ、カンヌに滞在中の映画人たちにフランクを売りこんでいく・・・
Y木:フェイクドキュメンタリーか。カンヌでゲリラ撮影やな。
S原:うん。ゲリラで撮ってる部分とちゃんと作ってる部分を合わせてるんちゃうかな。
Y木:どうなん? 面白いの?
S原:うーん、まあ普通かな。期待しすぎたかな。
Y木:そうなんや。
S原:これ、たくさんのスターがチラッと映るねん。映画祭独特の浮ついた狂騒感もよくでています。なので、そういうのに興味がある人には楽しめるはずです。
Y木:みんながハイになって騒いでる感じ?
S原:そうそう。いろんな人や欲望でごった返すカンヌで、落ち目の映画プロデューサーがハッタリだけを武器に一般人を有名脚本家に仕立てあげていくという話なんやけどな。面白くなりそうで、ならんかった…(苦笑) フェイクドキュメンタリーの手法が、ドラマ部分とかみ合っていない気がする。
Y木:でもジョニー・デップがでてるやん。すごいやん。
S原:ジョニー・デップは本人役です。ジム・ジャームッシュと瞑想する役です。
Y木:なんやねん、その役。
S原:結構、素の演技(演技でないかも)がみれて貴重かもしれん。でもジョニー・デップを期待して観たらダメです。少ししか出ませんので。

S原:あとはデニス・ホッパー、ジョン・マルコビッチ、ベニチオ・デル・トロら、そうそうたる顔ぶれのハリウッド・スターたちが本人役で登場します。
Y木:ほう。
S原:かなり前に、エディ・マーフィーの「ビッグ・ムービー」(1999)って映画があったやろ?
Y木:知らん。

S原:結構イケるねんで。いまでは誰も話題にしないけどな。スティーブ・マーチンが金のない映画製作者なんやけど、むりやりエディ・マーフィーを隠し撮りして映画を作ろうとするねん。
Y木:へえ、面白そうやん。
S原:メチャクチャやったけどな(笑) でも楽しいねん。要するにウソとかハッタリでお金を集めたり映画を作ったりするねん。映画業界なんか、一山あててやろうという奴ばっかりやろ? 契約があるから、さすがにスター相手に無茶苦茶は出来ないやろうけど、周辺は山師だらけやと思うで。
Y木:あー角川春樹とか(笑)
S原:うん。奥山和由とか(笑)
Y木:あの宣伝力はすごいもんなあ。というかハッタリだけという話もあるけど。
S原:はははは。

Y木:業界ネタはええとして、映画のストーリーとしては?
S原:さっきも言ったけど、カンヌ映画祭に出入りしているプロデューサーの主人公が、友人と賭けをする。「何でもない素人を映画界のスターにでっちあげれるかどうか」という賭けね。で、脚本家志望のタクシードライバーに適当に声をかけて、脚本すら存在しない『カンヌマン』という映画の企画を吹聴して大金を動かしていく……こういう展開なんやけどな。脚本なんか存在しないのに、適当な話だけで俳優が出演OKしたり、製作者や出資者たちが興味を示す。主人公たちはますますホラを吹いて、どんどん映画の話がすすむところが、この映画の見どころです。
Y木:えーせめて脚本を読んでから判断すればええのに。
S原:普通の感覚ではそうなんやけど、この業界(とくに映画祭でハイになっている場)では、こういう感じなんちゃう?
Y木:適当ってことか。
S原:うん。脚本が出来てから吟味してたら、他人に取られるというリスクがあるんやろうし、良い企画・ヒットする可能性がある製作の情報をすぐにつかんで(たとえ脚本が完成していなくても)自分が投資しておく……こういう感じちゃうかな。
Y木:お金になるチャンスを逃さないってことか。まさに山師の世界やな。
S原:そういう守銭奴ばっかりでもないと思うけどな。映画としては、わりとテンポよくポンポン話がすすむ場面は面白い。けど、途中でインタビューとかスターのチラリ出演があって、どうもリズムが悪いのよ。
Y木:スターのチラリ出演って隠し撮り?
S原:それもあるし、ちゃんとセリフ(?)をいう役者もいます。たぶん許可は得ているっぽい。でも、たくさんスターがでてくるし、たいしたギャラを払ってないんちゃうかな。下手したら「あー映画がヒットしたら、ギャラを払うよ」「今回はロハで頼むよ」とか言ってそう。
Y木:いいかげんな世界やなあ。
S原:ただ、投資家とか出資者は良い企画や脚本を本気で求めているというのはよく分かる。
Y木:実際、そうなんちゃうの?
S原:やろうな。電通の営業マンに騙されたりな。「なんと! あのキムタクの娘が主演! 怖い怖い映画ですよ~!」とか会議室で言われたりして、「牛首村」に出資したけどお金は戻ってこないみたいな。
Y木:具体的やなあ。

S原:まあ、そういうわけでちょっと変わった映画やったです。
Y木:こういうのが好きな人もおるんやろうな。
S原:というわけで、今回は少し変化球でした。しかし、一発当たればデカい世界なのでこれからも電通に騙される人はいるんでしょうなあ。みなさん、映画に出資するときは気をつけてね~!
