あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「ヒート・ストローク」(2012)の巻

S原:今回はアフリカ!砂漠が舞台です!

Y木:おお、暑そうやなあ。

(あらすじ)

ハイエナを研究するポール(スティーブン・ドーフ)の恋人タリー(スヴェトラーナ・メトキナ )は、彼の研究でアフリカの砂漠へ同行する。ポールの前妻との娘、反抗期のジョー(メイジー・ウィリアムズ)もその旅に同行することになるが、ジョーのわがままで結局ポールは、テントにタリーを残し娘と車で空港に向かう。食料も水も残りわずかになり、数日経っても帰ってこないポールを待てず、テントを出るタリーだが、少し離れたところで見たものは銃で撃たれたポールの死体と、血だらけのジョーだった…。密猟団と接触してしまったタリーとジョーはその後、命を狙われることに。灼熱の砂漠と、ハイエナ、そして砂嵐…。無事、生き残ることができるのか! ?

 

S原:うーん…

Y木:なんやねん、いきなり。

S原:うーん……これはですねえ…

Y木:はよ感想を言え。

S原:なんとも言えない映画です。

Y木:だからちゃんと言えって。

S原:上のストーリーを読んでみてよ。結局、この手の映画に何を求めるかってことやねんなあ。ここでは、「砂漠」「熱砂地獄」「飢え」「野生動物」「サバイバル」という類やん。要するに、「きみは生き残ることが出来るか?」ってことよ。

Y木:そういう映画やろ?

S原:そういう映画なんやけど、そういう要素が足りない、という感じのそういう映画なのよ。

Y木:わかりにくい表現はやめろ。

S原:主人公はタリーという女性。恋人はポールで、彼はハイエナの研究家(学者?)やねん。で、アフリカにハイエナの研究に行くことになって、タリーも同行することになる。まずここが変やねん。タリーは研究しくてアフリカに行きたいわけじゃなくて、休暇を楽しむためについていくねん。それだけ、恋人と一緒にいたいってことかもしれんけど、変じゃない?

Y木:いやアフリカに行ってみたかったんやろ。

S原:いやそういう風には見えんかったけどな(苦笑)もっと、わからんのは、前妻の子供(15歳くらい?)も一緒に行くねん。

なんで?

S原:学校でマリファナをもっていて補導されて、前妻が「アフリカに連れていってちょうだい」って言うねん。

Y木:なにそれ?アフリカに行くのが罰みたいやん。

S原:いきなり変な感じで始まるねんけどな。すぐに3人のアフリカ道中がはじまるねんけど、思春期の娘は父親の新しい恋人が気に入らない。「あの人のタマを握っているもんね」とか悪態をつくのよ。

Y木:思春期の女子がそんなことを言ってはいけません。

S原:で、男と娘が出かけます。いつまでたっても帰ってこないので、主人公が追いかけると、男は殺されていて、娘はケガをしている状態で見つけます。アフリカで密漁している集団と遭遇してしまって、殺されたんやな。折り合いの悪い娘と2人で、さあ砂漠の中でどうやって逃げるか?という展開なんやけどな。

Y木:わりと面白そうやけどな。

S原:アイデアはええよ。これ、本当にアフリカでロケしてるかどうかわからんけどな。なんというか全然暑そうじゃないねん。カメラというか撮影をキレイにしたかったんかもしれんけど、もっと観ているだけで汗が出てくるような映像にしないとあかんって。

Y木:暑そうじゃない砂漠か。それは、ちょっとあかんな。

S原:観ていて暑さを感じないから、砂漠の怖さが伝わってこない。水が貴重とか日陰で生き延びるとか、工夫次第で面白くなる要素があるのに、ぜんぜん切迫感がないという。

Y木:ジャケットでは砂嵐が襲ってきているやん。

S原:あーこの場面はちょっとだけ良いねんけどな。なかなか迫力があるねんけど、2分くらいで終わったわ(苦笑)

Y木:あかんなあ。で、結局どうやって逃げるの?

S原:いや普通に逃げてたで。なんとかルートを探して生き延びようとするんやけどな。砂漠は広いから、密漁団たちとの位置関係もわからんのよ。だからハラハラドキドキしないねん。あとは思春期の娘の存在やな。この娘の態度が悪いから、とにかく感情移入しにくい。「パパが死んだのはあんたのせいよ!」って脈絡もなく叫んだり。石を投げてきたりして、はっきりいうと、めんどくさい娘やねん。命がかかってるから、2人で協力すればええのにな。あ、大事なことを言い忘れてた!

Y木:なに?

S原:この娘の眉毛の形が、変やねん!

Y木:眉毛なんかどうでもええわ! 一応、年頃の娘に手を焼く主人公との関係が変わっていくのがポイントやろ? 危機を乗り越えて本当の親子みたいになるんやろ?

S原:いーえ、なりません。お互いに気まずいままで、ENDです。

Y木:なんやねん、それ。

S原:それよりももっとダメポイントがあるねん。

Y木:なに?

S原:ハイエナが襲ってくるねんけどな。

Y木:別にええがな。

S原:そのハイエナがな……可愛いねん。

Y木:うそつけ。

S原:ほんまやねんって!ちょっとたれ目なハイエナでな。とても人を襲うようには見えません。この映画では、恐ろしい野生動物からいかに逃げるか?が大事な要素なのになあ。愛嬌のあるハイエナじゃあかんやろ。主人公が「お手」っていったら、お手をしたんちゃうかな。

Y木:せえへんわ。

S原:まあ、そういう映画やった。ラストシーンなんか「あんたらも大変やったなー」という感じでハイエナが、遠くから主人公たちを優しく見つめておしまいやで?

Y木:いや、優しく見つめてはないやろ。

S原:ほんまにハイエナがそういう顔をするねんって!とにかく「暑くない」「(ハイエナが)怖くない」というマイナスポイントが、他のすべてを覆い隠してしまったような映画やったわ。悪役たち(密漁団)もなんとなくノソノソ動いてるだけで全然怖くないしな。

Y木:最後は?生き延びるんやろ?

S原:生き延びます。悪役の1人が助けてくれます。「おれにも娘がいるんだ」って。

Y木:うわー適当な展開やな。

S原:さあみなさん。アフリカの興味がある人は楽しめるかもしれませんが、普通の映画を楽しみたい人にはおススメできません。もっと面白くなるはずなのに!もっとハイエナは怖いはずなのに!と、なんとも歯痒い映画でした~!