S原:今回は、パッケージだけで選んだこの映画!
Y木:ちょっと変わった映画っぽいな。
(あらすじ)
英国の政府機関で働く水産学者のジョーンズ博士の元に、ある日、バカげた仕事の依頼が舞い込む。それは砂漠の国イエメンの大富豪からで、川を作って、鮭釣りをしたいというものだった。ところがその話を耳にした英国外務省は、中東との緊張緩和のために支援を決定。国家をあげてのプロジェクトとしてジョーンズ博士が携わる事になって・・・
S原:これは、上のあらすじの通り。捻った、というか荒唐無稽なプロジェクトにチャレンジするお話です。
Y木:面白そうやん。実話?
S原:実話ではないみたい。ポール・トーディの小説「イエメンで鮭釣りを」が原作です。これは、人によって「大人の童話」のように感じて興味を持つか、「バカバカしい物語」と感じてスルーしてしまうかの2通りやろうな。
Y木:ハリウッドが喜びそうな題材やけどな。
S原:うん。個人的には「ユーモアのあるホラ話」みたいで僕は好きです。
Y木:映画の出来はどうなん?
S原:なかなか上手いよ。起承転結もちゃんとしています。砂漠に水が漂う場面なんかは、たぶんCGやろうけど、なかなか見応えがあります。ただなあ……
Y木:なに?
S原:なんというか「旨味」みたいなものがないねん。カロリーゼロの低アルコールビールみたいで確かに良く出来ているんいやけど、どうも物足りない。
Y木:その例えでは、よくわからん。
S原:この映画では、①砂漠に本当に鮭釣りが出来るようになるのか?(プロジェクトが成功するのか?)と ②主人公たち(男女)2人の恋の行方がどうなるか? の2つが見どころやと思うねん。映画が進むにつれて、②の要素がどんどん大きくなっていく。恋愛映画に期待した人はOKやけど、ぼくみたいに①に期待してると肩透かしをくらう。
Y木:なるほどな。でも数々の難曲を乗り越えるんやろ?
S原:うん。でもどうも薄味やねん。もっと、いろいろな局面でシビアなほうが印象に残ったはず。イエメンなんて異国人がいけばカルチャーショックだらけやん?そんな異国の地で、主人公たちはある意味人生をかけて取り組んでいるので、もっと真剣で切羽詰まってると思うんやけど……
Y木:恋愛要素をバッサリと切り捨てたほうが良いってこと?
S原:個人的にはそう思う。例えば、「プロジェクトは成功するけど、主人公はフラれる」とか「プロジェクトは失敗するけど、主人公は新しい価値観を持つ」とか、そういうほうが余韻が残ったかも、です。
Y木:そういうのは「ハリウッド」的ではないから、やっぱり難しいんとちゃう?
S原:そうなんかなー。でもせっかくのユニークな題材やのに、無難な作りになってしまって結局は「どこにでもあるよく出来たロマンチックコメディ映画」の1本になってしまった…ちょっともったいないなあ。
Y木:今回の映画はおススメ?
S原:うーん。「悪くないですが、あんまり期待せずに観てください」かな。というわけで、ユアン・マクレガーのファン以外は無理してゲットしなくてもよいかも、です!