あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

どっちが勝つんだ? VS映画特集! 「戦闘機対戦車」(1973)の巻

戦闘機対戦車 [DVD]

S原:さあ、対決映画シリーズ、最後は「隠れた佳作」と言われているこれ!

Y木:「戦闘機対戦車」か。懐かしいな。昔、観たけど全く覚えてないわ。

 

(解説)

 ドイツの敗色濃い北アフリカ戦線を舞台に、飛べなくなった戦闘機に乗った二人のアメリカ人兵士と、狂気に駆られた将軍の指揮する一台のパンツァー戦車の追撃を描く。少ない登場人物、序盤の戦闘シーンはライブ中心、背景は砂漠だけと低予算まるだしの作品だが、戦闘機と戦車の一騎討ちというプロットにそれぞれ飛行不可能、狂った指揮官というハンデを設けた事が効を奏し、極めてユニークな戦争アクションとなっている。低予算を逆手に取ってアイディアでカバーした好見本のTVムービー。

 

 

S原:この解説は上手く書かれています。本当にその通りやねん。

Y木:これ、昔サンテレビでよくやってたやろ?(S原とY木は関西生まれ・関西育ち)

S原:関東やったら、テレビ東京でよく放映されてたらしい。結構、オールド映画ファンがこの映画を取り上げています。

Y木:まあ、テレビにぴったりやな。

S原:うん、たぶん短い(75分)のも理由の一つやと思う。あらすじは超単純です。飛べなくなった飛行機(アメリカ軍)を、ドイツ軍の戦車が延々と追いかける。ほんまにそれだけやねん。

 

戦闘機対戦車 ツタヤでも借りられる、優秀なTVムービー | 秋元無理の映画ノート

 

Y木:スピルバーグの「激突」(1971)と似てるよな。

S原:たしかに似てます。同じテレビムービーやし。ただ、やっぱり「激突」の方が面白い。こっちも悪くないけど、ドキドキハラハラはせえへんかったわ。

Y木:まあ、戦車もノロノロやし、飛行機も飛べなかったらノロノロやしな。

S原:うん。一応ストーリーを話すと、時代は第二次世界大戦の1942年。主人公のアメリカ軍のパイロットです。北アフリカ戦線を飛んでいましが、燃料補給のためにイギリス軍の補給基地に寄ります。そこで、ドイツ軍が設置した地雷の処理を命令されます。場所は砂漠です。主人公はあまり気乗りしませんが、イギリス人のパイロットとともに地雷処理(空から爆弾を落とす)に向かいます。砂漠にドイツ軍をみつけます。戦闘中にイギリス人が負傷し、飛行機も損傷をうけます。空を飛ぶことは出来ないけど、地上を走ることは出来る。無線で援軍を呼んでも来ない。そうこうしているうちに、ドイツ戦車が迫ってきて……という話です。

Y木:そこから延々と鬼ごっこが始まると。

S原:イエス。ドイツの将校がプッツン野郎でな。とにかく、延々と飛行機を追いかける。飛行機はのろのろと逃げる。たまに、崖をジャンプする(少しでけ飛べる)。またドイツ戦車はしつこく追い回す。

 

戦闘機対戦車 ツタヤでも借りられる、優秀なTVムービー | 秋元無理の映画ノート

 

Y木:まさに「激突」やな。

S原:そうそう。テレビ放映時の吹き替えも収録されていて、マニアも喜ぶと思う。ぼくも吹き替えで観たけど、もう「あの頃」のまんまで懐かしかったわ。ただ、ちょっと不満もある。

Y木:どこ?

S原:すこしストレートすぎるのよな。なので途中でややダレるというか。単純明快なのはええけど、やっぱり観客が、途中で「おお!」と思わせる工夫が欲しい。要するに飽きるのよな。相手の裏を読む、とかもほとんどないし。

Y木:「眼科の敵」(1957)みたいな?

S原:そうそう。あそこまで上手く作るのは難しいと思うけど、いろいろ出来たはずやねん。砂漠で岩地もあるから、見えないように工夫してごまかすとか、大破したようにみせかけて逆襲するとか、そういうのがないのよなあ。そこが残念。

 

戦闘機対戦車』(デヴィッド・ローウェル・リッチ)|愛すべき映画たち

 

Y木:まあ、あれちゃうの? お酒でものみながらのんびり観る映画でしょ。

S原:あーまさに正月に観るのにピッタリ。正月用としては「フラッシュ・ゴードン」(1980)と双璧かもよ(笑)

Y木:最後は?

S原:ネタバレ全開になるけど、主人公たちは白いハンカチを振って降伏のサインをだす。でも狂ったようになったドイツ将校は「捕虜はいらないぞ!」と言って、主人公たちを殺そうとする。あまりの狂信ぶりに、ドイツ側の部下が将校を撃ち殺す。戦車が止まり、ドイツ軍人が下りてくる。追い詰められた主人公は殺されると思って覚悟するけど、ドイツ軍人はそっと水をさしだす。主人公は水を飲む。お互いに会話はない。

Y木:ええラストやん。

S原:なかなか味わいのあるラストやった。でもキャラクターに感情移入するほどではないから、水を差しだすところもグッとこなかったのが惜しい。

Y木:なるほどな。

S原:というわけで、みなさん。なんとも懐かしいテレビムービーですが、いまの映画とはまったく雰囲気が違います。そういうところも味わってください。傑作ではありませんが観て損はありません。意外に売っていないので、中古店で見つけたらマストバイですよ!

 

 

(VHSのデザインが良い味です)

戦闘機対戦車 (戦闘機VS戦車) | ビデオ・ ネットレンタルのKプラス