S原:今回の対決は、投資家VS証券マン!
Y木:おまえ……こんなDVDを買ったんか……(絶句)
(解説)
わずか数十秒の株取引にすべてを懸ける、投資家(デイトレーダー)と証券マン(ビルブローカー)の真実に迫ったドキュメンタリー。98年4月に発生した「金融ビックバン」に伴う個人投資家の増加や、1日に数億円を動かす彼らの投資術の秘密に鋭く迫る。
S原:ぼくは株の世界とは全く無縁やねねんけどな。解説を読むと、なんかマイケル・ダグラスの「ウォール街」(1987)みたいで、かっちょええやろ。
Y木:そう? 興味ないからわからん。
S原:そう思ってワクワクして観たのよ。投資家と証券マン、どっちがすごいんやろ⁉ みたいな。 勝負してどっちが儲かるのか? 食うか食われるかの仁義なき世界やで?
Y木:はあ。
S原:で、このDVDなんやけどな。
Y木:うん。
S原:VSじゃないのよ! 全然、戦わないのよおお! 騙されたあああ!
Y木:いつまで騙され続けてるねん、おまえ……
S原:これ、インタビューが入ってるだけやねん。証券会社の社員、個人投資家で失敗した人、個人投資家で儲かった人の3人ね。
ああ、そう。
S原:………
Y木:………
S原:………
Y木:なんか話せよ。
S原:……今回は、これでジ・エンドなのさ。
Y木:おい! 内容を話さなわからんやろって。
S原:なんというか、株取引なんか儲かるときもあれば損するときもあるやん。
Y木:まあな。
S原:なんか空しいのよなあ。損したら嫌やろ?
Y木:そりゃ誰だって嫌やがな。
S原:あ、いま思い出した。就職活動を始めたときに、OBと名乗る人から自宅に電話があったのよ。証券会社に勤めてる人でな。「これこれ、こういう会社なんだけど興味ない?」って。
Y木:あー昔はそういうOBからの勧誘ってあったからなあ。
S原:で、電話口で同じことを言ったのよ。「株取引って得するときも損するときもありますよね?」って。そしたら、その人は苦笑していたわ。
Y木:せっかく電話してくれたOBを困らすなよ。
S原:それで、その人が「でも儲けたら、欲しいものが買えるよ。欲しいものあるでしょ?」って言うから、「そうっすね。映画ソフト(当時はレーザーディスク)が欲しいっすね」と言ったら、「そういう気持ちが大事なんだよ!」って力説された。「でも、損したら、あーこの損したお金でもっとレーザーディスクが買えたのになあ……って後悔すると思うんすよねえ」って言ったら、その人はしばらく沈黙してな。
Y木:おう、それで?
S原:「……きみは、こういう世界には関わらないほうがいいかもね」だって。
Y木:そのOBの言う通りやわ。
S原:で、このDVDは3人のインタビューが収録されています。最初は、証券会社の営業マン。喫茶店で語ります。営業マンとしての自負もあって真摯に顧客と対応している真面目な人みたい。ところが、「最近ネットで株取引をする人が増えまして。手数料はそっちのほうが安いので、うーん困りました」という話です。
Y木:2007年のDVDか。まあそういう流れがあった頃かな。
S原:「ネットで(株の世界や会社のことをわからず)取引するのはですね、ギャンブルと一緒なんですよ」と警鐘をならします。
Y木:なるほど。
S原:ちょっと、このオジサンに言いたいんやけどな。
Y木:どうぞ。
S原:そんなん言われんでも分かってるちゅーねん!
Y木:なんやねん、いきなり。
S原:よく考えればいくら証券会社のベテラン営業マンが薦めた株だって株価が下がることもあるやん?
Y木:まあな。
S原:結局、一緒やっちゅーねん!
Y木:わかったわかった。次は?
S原:次は、素人ながら株取引にハマった人(不動産業をしている男性)。最初に何も知らないまま買った株が、〇百万円の儲けをだします。それで病みつきになって、どんどんハマっていって……
Y木:損するの?
S原:はい、損します。得した時も損した時の話も語り口が淡々としていてな。妙にリアルやねん。
Y木:最後は破産するとか?
S原:途中で怖くなって止めたらしい。でも、損したくないからせめてトントンにしてから……という気持ちで続けてしまうって。だから止められない、と。
Y木:それって、バクチと一緒やん。
S原:その通りです。で、またちょっと言いたいんやけどな。
Y木:なんやねん、もう。
S原:ザマーミロ!
Y木:性格悪いぞ、おまえ。
S原:まーあれよ、こっちは安いDVDを求めてやな、足を棒にしてワゴンコーナーを渡り歩いているのにやな。ちょっと株を動かして儲けようという魂胆があかんねん。もう一回、中古店巡りから再スタートしろ!って話よ。
Y木:いや、この人はべつに中古店巡りはしないやろ。
S原:え? だって儲けたお金でDVDを買うんやろ?
Y木:ちゃうと思うで。
S原:………なんのために、株で儲けようとしているのだい?(真顔)
Y木:真顔で言うな。そりゃまあ、良い服を着たいとか、高級車に乗りたいとかあるんやろ。
S原:そうなんか。
Y木:たぶんな。
S原:ぼくとは友達にはなれんな。
Y木:むこうもなりたくないと思うで。
S原:で、最後の人が登場します。
Y木:ほう。
S原:この人は、個人投資家でな。大儲けしたらしい。
Y木:へえ。
S原:なんか淡々と話してたわ。こうやれば儲かります、みたいな話ね。
Y木:ヤラセとちゃうの?
S原:わからんなー。観ている間は本物っぽく見えるけどな。でも、他人の儲け話を聞かされても1円の得にもならんへんやん?
Y木:当たり前やがな。
S原:ちょっと、言いたいんやけどな。
Y木:またかいな。
S原:お金払って、なんで他人の自慢話を聞かされなあかんねん!
Y木:知るか! もう、こういうDVDを観るのをやめろ!