S原:今回は、クールに決めているジャケットがなかなか雰囲気ですよ!
Y木:タランティーノっぽいなあ。その分、B級臭さが充満してるけど。
(あらすじ)
アメリカとメキシコの国境付近で横行する麻薬取引。その阻止に手を焼く合衆国政府は、極秘裏に、麻薬取締局へとある指令を下した。「腕の確かな暗殺者を雇い、巨大な麻薬組織を壊滅せよ」。そして集められた、冷徹なヒットマンたち。彼らは淡々と、確実に、暗殺という仕事をこなしていく。しかし、そんなある日、政府から取締局へ新たな指令が下される。それは、政府が暗殺者を雇ったという事実を封印するため、「暗殺者を暗殺せよ」というものだった・・・。
S原:えーと、まずネットの数少ないレビューでも突っ込まれている通り、これは上のあらすじ紹介が間違っています。
Y木:またかいな。
S原:販売会社の担当者も観ずに、適当に書くんやろうな。
Y木:そもそも、そういうDVDを出すなよ。誰得やねん。
S原:まず、このキメキメの2人(マイケル・マドセンとデヴィッド・キャラダイン)は主役じゃありません。この2人が雇う4人の殺し屋(ヒットマン)が主役です。ある組織(マフィア?)が、自分たちと対立する麻薬組織の密売人を極秘裏に暗殺するために4人の殺し屋を雇います。素性を隠した四人は、あだ名で呼び合います。たぶんイタリア系の「フォーリナー」(頭は良いがヤク中)、カウボーイハットの「ホワイティ」(白人至上主義)、アメリカ先住民の「インディアン」(悟りを開いている)。そして、黒人の「ブラッキー」。
Y木:おい、黒人を「ブラッキー」って呼ぶんか。それって、ええんか。2009年の映画やろ。
S原:大丈夫ちやう?クロマティがホームラン打った時に、スポーツ新聞で「クロウ、大暴れ!」とか見出しつけてたやん。
Y木:いやあれは、名前がクロマティやから、クロウなんやろって。
S原:そんなん言ったら、「アパッチ野球軍」の猿っぽい外野手なんか「モンキー」という名前(本名)やったやん。
Y木:「アパッチ野球軍」なんか引き合いにだすなっ。話がややこしくなるやろ!
S原:で、この映画ですが、そういう4人はいろいろあって、身元がバレてしまいます。組織は、そんな4人の口を封じるために、さらに別の殺し屋を雇い、彼らを抹殺しようとします。
S原:うん。でも、いろいろあって、メキシコ国境付近で相手を狙撃したり、やりあっているときに、偶然2人の少女をアジトに連れ帰ってしまいます。
Y木:え? なんで少女?
S原:まああれよ。「スリーメン&リトルレディ」(1990)よ。
Y木:おいおい、あれはコメディやろ。
S原:え? これ、コメディやったよ。
Y木:おいおい。ガンアクション映画ちゃうんか。
S原:違います。ここから、ゆるい感じのコメディになります。
Y木:コメディ部分はおもしろいの?
S原:まあまあやった。見知らぬ同士が同居するねんけど、そこで起こる軽いドタバタを描きたいみたい。でもこれ、どうも人種問題とか人身売買が裏テーマになってるねん。監督の意向なんかなあ。
Y木:まあ、これをレンタルした人が観たいテーマではないわな。
S原:で、見知らぬ4人は家庭に恵まれてなくてな。2人の少女と出会うことで、気持ちが変化していく……うまきいけば佳作になるんやけど、どうも感情移入がしにくい。惜しいです。
Y木:感情移入ができない理由は?
S原:やっぱり中途半端なんやろうな。はじめから、ヒットマン達と少女の交流にすればよかったのに。もっと、ヒットマンのキャラも作ればいいのに。
Y木:例えば?
S原:そうやなあ。おじさんでもOkやねんけど、例えばもっと朴訥な感じでな。
Y木:ほう。
S原:人の愛情とか感情がわからない不器用で、でも純粋な心をもったおじさんという設定にしてな。
Y木:ほう。
S原:ニット帽をかぶって丸いサングラスをしたりしてな。
Y木:そりゃ「レオン」(1994)やがな!
S原:うん。「レオン」を10倍くらい薄めた映画やったわ。すこしだけ良い場面もあるねんけどな。フォリナーは根が優しくて少女の面倒をみてるねん。少女も次第に信頼していく。でもドラッグ中毒でな。コカインを吸っているのを、少女が見てしまう場面とか、白人がいかに白人がアメリカを作ったかを力説するんやけど、「それ、お前が作ったのか?」と言われて黙ってしまう場面とか。でも、観客がおおっと思う場面が少ない。残念やったわ。
Y木:なるほどな。
S原:さーみなさま。これは、アクション/サスペンスとしてはイマイチですが、人情コメディとしては、普通の出来でしょうか。ベタですが、ラストは爽やかで良いと思いました。というわけで、観るとすればレンタルでどうぞ~!