あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「FUTURE WAR 198X年」(1982)の巻

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S原:さあ、今回はDVD化されていない80年代のアニメ!

Y木:うわ……この映画か。

(あらすじ)

198X年。アメリカは対戦略核ミサイル用の戦闘衛星の実験を行い成功する。だがこの実験後、戦闘衛星の生みの親であるバート・ゲイン博士はソ連のスパイに拉致され、原潜でモスクワまで連れ去られる事件が発生。アメリカは機密保持のために博士ごと原潜を核魚雷で沈めてしまう。米ソの緊張は一気に高まり、東西ドイツでも国境付近では一触即発の状況に。そんな中、西ドイツの空軍基地にソ連の最新鋭戦闘機が亡命を求めて不時着した…

 

S原:この映画を知っている人ももう少ないやろうな。

Y木:当時、好戦的すぎるって話題になったよな。確かスタッフ(東映動画)が製作を拒否したとかニュースになったやろ。

S原:うん。いま、ネットで見るともう少し大人の事情があるみたい。労働組合とかの影響やったらしい。

Y木:あーなるほどな。

S原:とくにソ連自衛隊が交戦する場面は削除された、と書かれてる。その是非はここでは言わんけど、どっちにせよDVD化は難しいと思う。

Y木:なんで?

S原:DVDになっても売れるとは思えへんから(苦笑)

Y木:あーそれはいえるかも。結局、おれは観てないけど、おまえは当時に観たの?

S原:当時すごく観たかったけど、お金がなくて観れんかった。悔しかったなあ。

Y木:核戦争シュミレーションとかに興味があったんか?

S原:それもあったけど、最新の戦闘機とかが観たかったのよ。ミグ29とか秘密の戦闘機やったやろ。スタッフが予測でデザインしてて、アニメ雑誌が特集したりして興味津々やった。

Y木:で、いまの時代に実際に観て、どうやった?

S原:好戦的とは思わんかった。たしかに核戦争になるんやけど、止めようとする勢力もちゃんと描かれてるし。あと、映画としては、どの視点で見るかで全く評価が変わると思う。

Y木:視点?

S原:いま、世界が不安定やろ。少し前まで、なんとなく平和的に均衡がとれてたはずやのに、何が起きてもおかしくない状態になってしまったやん。そういう現代の視点から観たら、これはなかなか興味深いし、観る価値がある。しかも劇場用アニメで、1982年の映画やから、当時の東映やスタッフの気骨を感じるわ。

Y木:なるほどな。

S原:でも、映画ファンの視点から評価すると、ちょっと厳しい。映画物語・演出としては、あんまり面白くないというのが本音かな。

Y木:そうなんか。

S原:まず、ストーリーがシンプルなはずなのに、意外にわかりにくい。とくに人間関係が吞み込みにくかった。あとは絵がちょっと……

Y木:それは昔やから仕方ないやろ。

S原:いや、キャラクターデザインが、むさくるしいねん。顔がどれも似ているのに加えて、政府高官とかおじさんばかりやろ。おまけにスーツや軍服が大半やから、絵的に華がないというか。

Y木:いやー、人物をみせるのではなくて、核戦争の場面とか各国の対応をみせる映画でしょ。

S原:そうやな。たしかにワシントンDCとかメキシコが消滅して、次々とキノコ雲がわきあがる場面は、観ていて気分が滅入る。こういう描写に反対意見があったんかもな。

Y木:でも、そういうのを描かないと核戦争の恐怖を描かれへんやん。

S原:理屈では、その通り。観客に(平和や戦争について)考えてもらう意図があるのは、理解できる。でもなあ、実際に観るとやっぱりな……アニメとはいえ、ここまで大量の人類が死ぬ場面はきつい。一応、アメリカの大統領も同じようなことを言うけど。

Y木:あらすじは、上の通りなんやな。

S原:うん。もう少しサブストーリーが絡むけど、要するに各国が核ミサイルを撃ってしまうことになるねん。ソ連では好戦派と抑制派が暗躍したり、アメリカ大統領が苦悩したりします。

Y木:日本は?

S原:最初にヨーロッパで戦争になるから、アメリカは日本まで守れない、そうなるとソ連が北海道に占領しに来る、という話がでてきます。

Y木:リアルやな。最後はどうなるの?

S原:宇宙空間から核ミサイルを迎撃をするため、宇宙ロケットが発射されます。そこに主人公(日本人)が乗っています。同時に、世界の複数個所で戦争を止めようという機運が拡がる。数々のトラブルが起きるが、なんとか主人公が核ミサイルに迎撃に成功する。ここでおしまい。

Y木:まあ、そういうラストしかないよな。

S原:もしくは、人類全滅でおしまい、やな。

Y木:そういうのも、ブラックジョークでも言いにくい時代になってしまったなあ。

S原:ほんまにな。さあ、みなさん。なんとも言えない気分になる映画ですが、観て損はありません。違法な視聴はおすすめできませんが機会があればぜひどうぞ~!