あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「イーディ、83歳 はじめての山登り」(2017)の巻

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S原:今回の映画の主人公は、83歳!

Y木:おお!

(あらすじ)

「いつだって手遅れなんてことはないよ-Never too lateー」
83歳になるまでの30年間、夫の介護に人生を捧げてきたイーディ。そんな苦労も娘からは理解されず、老人施設への入居を勧められ、人生の終わりを感じていた。
そんな時、町のフィッシュアンドチップス屋で「追加の注文をしても良い?」と聞いたイーディに、「いつだって手遅れなんてことはないよ」と答えた店員。その言葉に閃いたイーディは、かつての夢だったスイルベン山に登ることを突如決意し、たった一人でロンドンから夜行列車に乗りスコットランドへ。
偶然出会った地元の登山用品店の青年ジョニーをトレーナーとして雇い、山頂へ登る訓練を始める。イーディの偏屈な態度が災いし、最初は喧嘩を繰り返しながらも、ジョニーの丁寧な指導により、登山グッズの使い方やルートの確認と共に、人に頼ることの大切さも学んでいく。そして準備を整えたイーディは、ついにスイルベン山へ向かうー。

 

Y木:83歳で山登りか。すごいな。

S原:もうそのアイデアだけで、1本映画が出来たようなもんやろ?

Y木:で、どうやったの?

S原:まあまあかな。良い点とイマイチな点がある。ちょっと期待しすぎたかも。

Y木:そうなんや。話はそのまんまやろ?

S原:そうそう。上のあらすじ以上でも以下でもないです。

Y木:どういうところが不満なん?

S原:なんというか、もっと「濃い」と思ってたのよ。コクがあるというか。

Y木:あードラマ部分が物足りないってこと?

S原:演出としては、かなり淡々としてるねん。それが上手くいっているときと、アッサリしすぎているときとムラがあるような気がする。

Y木:ないものねだりのような気がするぞ。まあええわ。これはイギリス映画か。アメリカ(ハリウッド)ではなく、抑えた演出なんやろ。

S原:そうやと思う。夫の介護に人生が費やされたという部分とか、娘とうまくいっていない、とか意外にあっさりと描いている。そのへんは効果的なんやんけど、登山を決意する場面とか、登山の準備も淡白に描いているから、あれよあれよと話がすすむ。「苦労して山を登る」という部分も、もう少しあるとええねんけど。なんといっても83歳なんやからな。

Y木:なるほどな。

 

イーディ、83歳 はじめての山登り – 上田映劇 さん

 

S原:ただ、そういう残念な点はあるけど、本当に素晴らしいところもあるのよ。

Y木:ほう。

S原:それは俳優と景色。これは称賛に値すると思う。高齢者のイーディ役の俳優(シーラ・ハンコック)は、撮影時点で83歳やったらしい。この人は、撮影のために本当に登山しているらしい。

Y木:目的の山って富士山みたいな山?

S原:いや731mの山やな。それに登ろうとするという設定やから、リアリティがあるのよ。ギリギリ登れそうやろ?

Y木:よくわからんけど、まあすごいとは思う。

S原:すごいとしか言いようがない。背筋もピンとしているし、すごく品がある。どうも長年舞台役者をしていた人らしい。このおばあさんをカメラは正面からとらえるショットがあるねんけど、ここは監督の覚悟を感じたわ。ジョニーというガイド役もええねん。ケヴィン・ガスリーという役者なんやけど、この人の雰囲気も良い。この人も品があるんやろうなあ、と思ってネットで調べたら、性的暴行で3年の実刑判決を受けてた(苦笑)

Y木:それは、おばあさん役の人もガッカリしたやろうな。

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S原:で、もう一つ素晴らしいのは風景。ロンドンからスコットランドに舞台が変わってからは、もうため息が出るほど美しい。それも「絵葉書」じゃなくて、本当に山の美しさと厳しさの両面があるような場所でな。一度、行ってみたいと思うくらい素晴らしい。

Y木:そうなんや。最後は?頂上までいけるの?

S原:いけます。そこで景色を眺めている場面で、バッサリと終わる。こういう終わり方は、かえって余韻を残すのよなあ。あー山田洋次に教えてあげたい。

Y木:放っておいてやれよ。

 

自分の楽しさを取り戻すには相手を見つめて気が付いてみてもいいのかな-映画「イーディ、83歳 はじめての山登り」|増田ダイスケ

 

S原:他にも良い場面があるねん。登山中に遭難しかかるけど、一軒の山小屋をみつけて入る。同じような登山者(?)がおるねんけど、何も言わず主人公に食事を作るねん。この場面は一切セリフなし。ここは感心したわ。

Y木:へえ。

S原:さあ、みなさん。これは悪くない映画です。前半のガイドと(年齢差もあって)ぶつかるけど、だんだんと心の交流が生まれていく展開と、後半の雄大な景色はベタですが、一見の価値ありですよ。みんな、長生きすればいつかは後期高齢者。83歳になっても登山できるくらい元気でいましょう!