S原:今回は、女子が行方不明になります!
Y木:タイトルが……
(あらすじ)
フランスを自転車旅行に出たキャシーとジェーン。楽しいバケーションのはずが、他愛もないことで喧嘩し、別々の行動をとることに。しかし、仲直りをするためにジェーンはキャシーの姿を探すが彼女はどこにもいない。やがてキャシーに謎の男の魔の手が忍び寄る・・・。
S原:このタイトル、結構良いと思うねんけどな。
Y木:えー、ダサいわ。古臭くて2時間のサスペンス劇場みたいやん。
S原:そうかなあ。これ、リメイクされてるみたいやねん。そのタイトルは「イン・ザ・ダークネス」(2010)。絶対、オリジナルの方が良いやろ。
Y木:うーんまあ、どっちもどっちかな(苦笑)
S原:これは雰囲気を楽しむ映画やった。小説で言うと、文体を楽しむみたいな。
Y木:ふーん。
S原:反対に言うと、ストーリーは超単純で面白くない。行方不明になった友人を探すだけの話やから。
Y木:それだけ?
S原:うん。イギリス人女子2人が、フランスでサイクリングに行きます。ひとりは男性との交流(エッチな交流も含めて)をすごく意識していて、主人公はそれに嫌気がさして、フランスの田舎町でケンカをしてしまう。一人でサイクリングを始めたけど、やっぱり気になって戻ってみると、友達が行方不明になっている。探すけど全然見つからない。やがて焦って不安になっていく……という話。
Y木:単純やな、たしかに。
S原:ほんまにそれだけやねん。なので、この女優やキャラクターに感情移入できるか、不穏なムードを堪能できるかどうかで、この映画に対する評価は真っ二つとちゃうかな。
Y木:おまえはどうなん?
S原:面白かったで。まずフランスの田舎の風景がすごく良いねん。延々と田園風景があって、道路沿いに家がある。そこの前に簡単なテーブルとイスがあって、飲物を提供したりしているねん。とくにカフェでなく普通の家なんやけどな。こういうのは日本にはないからユニークやった。女優2人も良いです。話もすぐに進む。
Y木:へえ。
S原:主人公が友人を探す場面が結構長いから、ここが退屈と思う人はおるかもな。普通のサスペンス映画では、住民との会話があとで伏線になったり、ちいさな手がかりをつないでいくと真相が分かったりするやん? それが、あまり上手くないです。
Y木:直球勝負やな。
S原:うん。白新高校の不知火みたいやった。
Y木:あいつはフォークも投げたやろ。
S原:で、延々と田園風景がさまよっていると、ウロウロとしているうちに助けてくれる男性が現れる。この男性も含めて、田舎町の人々がみんな怪しくて、すごく不穏な町やねん。この雰囲気は結構ええよ。善意なのか意図があるのか微妙な感じがよくでています。
Y木:友人は殺されてるんやろ? 残酷描写が売り?
S原:いやー、スプラッター描写はなかったよ。ホラーではなく、ミステリーとかスリラーやな。
Y木:最後に犯人と対決するんか?
S原:うーん、そうなんやけど、これ以上はネタバレになるから……興味を持つ人もいると思うので、遠慮しておきます。
Y木:なんか、今回は薄味やなー。なんか印象に残るエピソードとかなにの?
S原:結構あるで。窓ガラス越しに死体(脚)が映ります。泥だらけで汚れていて、よく見えません。そこに雨がサーッとふって死体がハッキリと映る。ここは感心したな。
Y木:ほう。
S原:あとは、やっぱりフランスの田舎の人の陰湿な表情やな。イギリス人ってことで偏見をもっている裏の設定があるのかも……あーそういえば、カメラのピントが合っていないカットがあったわ(笑)
Y木:えー、リテイクせえよ。
S原:リテイクするお金も時間もなかったんやろうな。使わんかったらええのに、と思うけど。あとは、主人公(パメラ・フランクリン)の格好がな……
Y木:恰好がなんやねん。
S原:ホットパンツやねん。
Y木:おまえ、好きやなーホットパンツ!
S原:全然いやらしくないし、そういう場面もないねんけど、すごく健康的ですらりとした脚やねん。こういうのはええよなー。
Y木:また、女性読者が減るわ……
S原:というわけで、みなさん。ぼくはこの映画、好きです。評価が分かれると思いますが、良い雰囲気だと思いますね。興味がある人は、ゲットプリーズ!