S原:今回はこれ、おそらく主演の堀田真由と板野友美のファン向けに作られてます。
Y木:監獄実験か。
(あらすじ)
大学生のマリ(堀田真由)は、人気VTuberのソフィアが行う公開実験に参加する。それは12人の被験者を看守と囚人に分け、4メートル四方の部屋で7日間にわたって監獄での生活を疑似体験させるというものだった。そこでマリは看守の役割を与えられるが、実験は徐々に過激になり・・・
S原:これは、1971年のスタンフォード大学の監獄実験を再現するため、Vチューバーが行ない、主人公のマリ(堀田真由)が、その被験者として実験に参加する、という話です。7日間過ごせれば100万円もらえます。
Y木:あの有名な実験な。それで?
S原:それだけです。
Y木:おいおい。
S原:いやーこの映画は参ったなあ。ほんまに、それだけの映画やねん。演出が下手とか演技が変とか言う前に、映画としてあまりに稚拙です。スタンフォード大学の監獄実験は、よくドキュメント番組で紹介されてるやん。再現ドラマを混ぜたりして、そっちのほうがよっぽど面白い。それは、現実に起こったことやからドキドキするわけやん?
Y木:まあな。
S原:だからこういう映画を作るなら、それ以上のサムシングやサプライズが欲しいのよ。
Y木:要するに「そのまま」やと?
S原:イエース。この映画で、唯一良いのは映画の始まりの部分。話がサクサクすすんで、監獄の実験にいろんな人物が集まってくる。YouTubeらしく、細かい編集に紹介の文字があって分かりやすい。そのなかには怪しげな奴もいて、不穏な雰囲気が漂う。ここは良いよ。でも、実験が始まると途端に失速してしまう。いや失速というか停滞やな。
Y木:今回は、手厳しいな。
S原:申し訳ないけど、これを褒める奴はおらんと思う。例えば、看守役と囚人役を分けるやろ。それからどうなると思う?
Y木:どうなるって、最初は普通やけど、看守がエスカレートするんやろ。
S原:その通り。囚人はどうなると思う?
Y木:「出せよ!」「所詮ゲームだろ!」とか反抗するんやろ?
S原:その通り。じゃあ、看守たちは囚人たちにどうすると思う?
Y木:もっと残酷になるんやろ?
S原:その通り。パッと話しただけで、そういう展開は読めるわけやん。それこそ(実際に行った)実験の通りの展開なんやし。それがそのまま繰り返されるねんで?これで面白くなるはずがない。
Y木:「だんだん残酷になっていく」のが見せ場ちゃうの?
S原:いやどうやろ。たしかに陰湿なイジメみたいな感じやったけど。例えば、トイレに行かせてくれ、と頼むときも丁寧に頼まないといけないとか、そんな感じ。
Y木:トイレに行くときの許可が要るんやな。
S原:うん。意地悪しすぎてお漏らししてたけどな。この場面がまた長い。気分が悪くなるだけという(苦笑)
Y木:映画ならではの展開はあるんやろ?謎というか。
S原:いや、とくにないです。しいていうなら、謎は「このゲームの主催者(ソフィア)は誰か?」やけど、観客にとっては別に主催者が誰でもええやん?
Y木:それはそうやけど……ファン向けの作品としてはどうなん?
S原:いくら堀田真由やほかの出演者のファンでも厳しいんちゃうかな。堀田真由演じる主人公の性格が良くて(他人に厳しく出来なくて)、途中で看守から囚人に変更されてしまう。この映画の起承転結の「転」の部分なんやけど、普通主人公の立場が変わったら、物語が動くやん?たとえば、実は主人公はわざと囚人になるのを狙っていた(大人しいふりをしていた)とか。
Y木:そうでないんやな。
S原:その通り。ただ、看守から囚人になっただけ(笑)一応、主人公の姉(板野友美)が、妹を心配して何とか助け出そうとするという部分があるけど、これもとってつけた感じやねん。全然、噛み合ってないし。あ!いま思い出したけど、実験が始まってすぐに、囚人役の女性が「こんな食事、嫌だよ~」「この実験、やめま~す」って自ら離脱するねん。
Y木:それで?
S原:それだけ。普通、この女性の存在や行動が伏線になったりするやん?後で再登場するとか。でも何もなかったのさ……(虚無笑)
Y木:ラストは?一応、終わるんやろ?
S原:だんだんエスカレートして、看守たちが暴走してよくわからないまま死人がでてしまう。全員がパニックになっているときに、主人公の姉が助けに来る。助け出すときに、マリのTシャツの染みが映ります。それはハートマークで、この企画の主催者ソフィアのハートマークと同じです。
Y木:どういうこと?
S原:わかりません。
Y木:なんやねん。
S原:ほんまにわからんねんって!一応、主人公が主催者、もしくは主催者側の一人ということなんかもしれんけど、伏線も匂わせもないから唐突すぎてポカーンとするだけ。このあとにエンドクレジットになるけど、縦に字が並んでいて、しかも途切れずにでてくるので読みにくいです。
Y木:クレジットまであかんのかい。
S原:さあ、みなさま。これはおススメできません。とにかくぼくはこの映画に対して語る言葉は、これ以上は持っていません……というわけで、ホットパンツの生足女子の萌える人のみどうぞ~!