S原:今回はこちらです。
Y木:お!意味深なタイトルやん。
(あらすじ)
大切な妻が事故でこの世を去り、ショックに打ちひしがれるマイケル(シェーン・ジョンソン)は、その原因が占い師の誤ったアドバイスにあると考え、神秘性や超自然現象に嫌悪感を覚えるようになる。そしてマイケルは、超常現象を否定すべく悪魔の存在を解明するドキュメンタリー制作に着手する。自らを実験台に悪魔の降臨実験や取材をしていくうちに、やがて不可解な現象に悩まされるようになり……。
S原:この映画はですねえ……うーん、なんと言えばええんかな。ハッキリ言うと、ぼくはダメやった。
Y木:そうなんや。面白くなりそうやけどな。
S原:アイデアは良いねん。主人公の妻が亡くなるところから映画は始まります。「妻が死んだのは、占い師を信じたせいだ」と主人公は考えて「超常現象はインチキだと証明したい」と思います。いろいろな方法(悪魔と接触できると称する方法)を試します。ユーチューバーみたいに自分を撮影して、あえて実験台になって超常現象を否定したいわけやな。
Y木:あーユーチューバー。
S原:このへんの展開は、まあまあ面白い。黒魔術とか、催眠術とか降霊術(こっくりさん的なもの)にチャレンジしていきます。全然物足りなくて、悪魔の通販グッズを買ったり、SMを体験したり(本当)、カエルを殺したり、しまいにはドラッグを服用したりてどんどん主人公の調子が悪くなります。
Y木:ドラッグって。そりゃ調子が悪くなるやろ。
S原:これ、途中でPOV方式みたいになるねん。自宅にカメラがある設定で主人公がウロウロしたり怪しい行動をしている場面が写ります。このへんが、もう何十本(何百本)も作られたPOV映画と全く同じ演出で、すごく退屈やねん。観ているうちに酔うし(笑)
Y木:安直やと言いたいの?
S原:うん。主人公が悪魔(?)に体を乗っ取られたらしい場面があるねんけどな。それがエクソシストとそっくりに体をビヨーンと背中を伸ばす(笑)。迫真の演技で「うぉぉぉぉ!」「げぼぉぉぉ!」とか叫んだりして。それがですねえ、ストレッチをしているようにしか見えない……(微笑)
Y木:ストレッチ……
S原:まあ、現代社会に住む人間は、たまにはストレッチも必要やからな。肩こりも治るし、これはこれでOKなんやろうな。
Y木:OKちゃうわ。
S原:結局、主人公は悪魔を否定しようとするのですが、反対に悪魔らしい存在に体を支配しまいます。とにかく、ここが弱い。弱すぎるねん。例えば、霊現象が落ち着いた後に主人公が「さっきが幻覚をみたが、それは〇〇のせいだ」とか「自分が体験している現象は、〇〇という理由がある」と論理的に考えるとか、そういう展開になってほしいやん?
Y木:一応、そういう映画なんやろ。
S原:でも、そうなりません。ただただベッドの上でストレッチをしてるだけという……(苦笑)で、最後は、(自分の娘を守るため)2階の窓を突き破って落下し、自ら死を選びます。
Y木:それもありがちやな。
S原:一番不自然やと思うのは、さっきも言ったけどPOV演出で主人公がずっと映っている時間が長いねんけど、なぜか幻覚というか悪魔が来ているような瞬間も(ビデオに)映ったり聞こえたりするねん。一応、悪魔が来たらノイズが聞こえるという設定らしいけどな。主人公の幻覚ならビデオには録画/録音されないはずなやん?これは実際に霊現象が起きたということやろか……?
Y木:おれに聞かれても知らんがな。
S原:怖ければなんでもアリなんやけど、ちょっとな。主人公が大真面目に悪魔の存在を否定しようとするストーリーやから、観客はやっぱり「説明」とか「解説」の場面が欲しくなるのよ。これに限らずどうも演出がチグハグで居心地が悪い。というか、ほとんどの観客は、この主人公に感情移入できないし、自分の立ち位置がわからないまま観終わってしまうという。
Y木:今回はおススメできないみたいやな。
S原:さあみなさん。田舎の仏壇のようなどうにも辛気臭い映画です。とくに観なくても良いと思います。アイデアは悪くないんですが、センスと技術が追いついていません。どうしても観たい!という人のみどうぞ~!