S原:さあ、今回は古典名作、トリフィド!
Y木:おお、トリフィドか。昔、SF雑誌で読んで、この映画を観たかったわ。
(あらすじ)
突如地球に降り注いだ流星を目撃した人間が、皆失明してしまった。
同じ頃、食肉植物トリフィドが暴走を始め人類に襲い掛かり始めたのだ。
二つの危機を同時に迎えた世界はまさに”人類SOS”!
Y木:これはSFファンの間では有名やな。「トリフィド時代」やろ。
S原:うん。ジョン・ウィンダムが原作やな。こういうレトロ・カルトのDVDでは珍しく日本語吹替が収録されています。
Y木:へえ、珍しい。
S原:メーカー((有)フォワード、シービー㈱)もよほど嬉しかったのか、ジャケットに「日本語吹替入り」と思いっきり印刷しています(笑)。
Y木:まあ、気持ちはわかるけどな。おまえ、今回が初見なん?
S原:いや、昔に観たはず。というのは、ところどころ場面を覚えていたから。でも、ほとんど忘れてたから、気分は初見やった。
Y木:おれも昔観たけど、まったく覚えてない。当時、SFとか好きやったんやけどな。で、この映画はどうやった?
S原:わりと良かったよ。破綻もしていないし、起承転結もある。ただ、今観るとさすがに、テンポとか演出が古い。
Y木:そりゃそうやろ。人喰い植物が襲ってるだけやしな。
S原:そのまえに、隕石群(流星群)を見た人々が盲目になっています。人類の大多数が盲目になったしまった世界を、主人公が視力がある人々と合流していく話と、灯台で勤務(研究)している夫婦の話があります。
Y木:たしか主人公は、眼が見えるんやな。
S原:主人公は目の手術のために隕石群を見なかったから、視力が残っています。急にみんな目が見えなくなったから、パニックで興奮している人々がいる駅で、主人公は少女(眼が見える)を助け出す。そのあと、イギリスの街がほぼ無人になっているところを歩く場面になるねんけど、ここは妙にリアルで感心したわ。
Y木:あの頃は、街での撮影はみんな無人にして本当に撮影するしかなかったからなあ。
S原:まあ、ストーリー自体は正直に言って、大したことないです。灯台の夫婦の話と主人公がどう絡むんかな?と思ってたら、最後まで別々の話やったし。ただ、ネットのレビューが面白いねん。
Y木:酷評?
S原:反対で、褒めている人が多い。懐かしさと想い出補正がはいっていて、思い入れのたっぷりのレビューがたくさんあって、感心するで。ネット情報によると淀川長治の「日曜洋画劇場」でも放映されたらしい。
Y木:へえ、これを?
S原:うん。どんな解説したんやろ? 「植物が歩きます。怖い、怖いですねえ~」とか?
Y木:そんな感じやろうな。
Y木:人喰い植物のシーンは結構迫力があった記憶があるけどな。
S原:いまみると、着ぐるみみたいでショボいんやけど、どんどん増えて主人公たちに迫ってくる場面は、良かった。
S原:さらに驚いたのは、劇中に流れてる効果音が「エイリアン」(1作目)に、そのまま使われているらしい。
Y木:へえ。オマージュ?
S原:どうも、そのままパクったんじゃないか?と皆は推測しています(笑)
Y木:こらこら。
S原:まあ、そういう小ネタも楽しかったで。
Y木:最後は、火炎放射器で燃やしておしまいやったっけ?
S原:少し前は、燃やすけど、もっと弱点があるのが分かる。それは海水です。
Y木:海水? そんなラストやったかな。
S原:うん。灯台にいる夫婦が、それを発見します。最後は生き残った人類がまた頑張ります!って感じで終わります。
Y木:単純やな。
S原:少し前に「ブラインドネス」(2008)という映画があったのよ。キャッチコピーは「全世界、失明」。この映画を思い出したわ。
S原:「ブラインドネス」では、主人公1人だけ視力があって、それ以外は全員視力を失うねん。(ジョゼ・サラマーゴの「白い闇」が原作)
Y木:なんかすごい設定やな。
S原:あれとこの映画を比べると、映画の演出や作術が変わっていることがよく分かって、面白いと思う。「ブラインドネス」はさらに凝っていて、暗示や隠喩もあるから、単純比較はしにくいけどな。でも、映画技法とか映画製作に興味のある人は、参考になるからぜひ2本みてほしい。
Y木:なるほどな。
S原:さあーみなさま。なんとも懐かし洋画劇場という感じですが、これはこれで古典SFとして今後も残っていくのか? それともマニアでさえ話題にならないようになっていくのか? 見ながらそんなことを考えました。古典SFが好きな人におススメします~!