あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

(たぶん)一部の人しか知らない日本映画を12本観てみる!「鬼殻村 ~THE ONI-GARA~」(2009)の巻

鬼殻村 ~THE ONI-GARA~(2枚組) [DVD]

S原:今回でこのシリーズは最後! 最後にふさわしく(?)すごいですよ~!

Y木:また、こんな映画か……(ため息)

(あらすじ)

浅沼教授率いる民俗学チームの男女6人が研究の為、登山を決行。 一人が突然、発狂し襲いかかってくる。すぐに下山しようとするが、メンバーは次々、発狂し、仲間を喰い始める。 そして、喰われ死んだはずの浅沼教授も、また、襲いかかる・・・果たして、発狂の原因は?祟りは存在するのか?また、無事、戻ることができるのか? 死霊と化したゾンビと若者の生き残りをかけた壮烈な戦いが始まる!

 

S原:これはゾンビものなんやけどな。なかなか前衛的やった……(じっと手を見る)

Y木:下手なだけやろって。

S原:うまく表現できないけど、何周も回って脳内麻痺してしまうほどの出来やねん。観ているうちに「これって、傑作なのかも…?」と一瞬思うねん。

Y木:うそつけ。

S原:だって考えてみてよ? 「アンダルシアの犬」(1928)とか下手と言えば下手やん? ウォーホールの「エンパイア」(1964)とかも出オチやん?

Y木:そういう問題ちゃうやろ。それよりも、はよこの映画の話をしろ。

S原:この映画はなあ……ちょっと褒めようがないねんけどな。まず映像がすごく黄色いです。

Y木:黄色?

S原:たぶん画像加工をしたんやと思う。ノスタルジックな感じをだしたのかもしれんけど、今関あきよしの失敗作というか、なんかサイケデリックなドラッグ映画みたいなのよ。

Y木:21世紀の映画とは思えんなあ。

S原:あとは台詞が聞き取りにくいのと、音量や音質が場面の中でも変わってしまうねん。同録とアフレコとが混在してるんとちゃうかなあ。

Y木:まさに自主映画やな(苦笑)

S原:低予算映画あるあるやけど、やっぱり音はちゃんとしてほしい。カメラワークとか編集も大事やけど、低予算や自主映画では①音(ちゃんとセリフが聞き取れて、効果音も適切)、②ロケ(ゲリラ撮影でもいいけど、安っぽくない)、③キャスト(下手でもいいから役に合っている)、まずはこの3つやと思うねんけどな。

Y木:そうかもな。

S原:凝ったセリフの脚本とか斬新なカメラワークとか絵葉書みたいなショットとか、イメージ通り撮りたいのは重々承知なんやけどな。やっぱり観客を楽しませたいわけやろ。まずは観客に違和感を与えないで欲しいです(苦笑)

Y木:それってどうなんかな。だって、おまえはわざわざこういう映画を選んで観てるんやろ。なんか不毛な気がするなー。

S原:その通りでござる。でも、今回はそれが正直な感想なのよなあ。

Y木:技術的なことはともかく本編はどうなん?

S原:うーん、まあ……(苦笑)一部POV方式でドキュメントタッチで作ってるねんけどな。とにかく演出の切れ味がない。

Y木:切れ味?

S原:全体的にゆったりとすすむから、サスペンスが全くない。どこかで観た場面、どこかで聞いたセリフばかりやねん。それがすごく稚拙に再現されてるから、観ている方がやっぱり辛い。

Y木:肝心の話はどうなん?

S原:大学の民俗学の教授と生徒たちが、調査のために山中に行きます。そこで1人がゾンビになって、他のメンバーが右往左往するという典型的な話やねん。そこに鬼殺伝説が絡む……はずなんやけどな。単純な話やのによくわからない。

Y木:「鬼殺村」に行ったらゾンビになるんやな。

S原:ノー。

Y木:え?

S原:ノーです。

Y木:なにが?

S原:ノー、ノー、ノー!答えはノーだ!

Y木:やかましいわ。

S原:「鬼殺村」には行かないのよ~!

Y木:え、行かへんのかいな。

S原:いや行かなかった……はず。途中から集中力がきれて映画に集中できんかったから自信がない。

Y木:おまえなー。ブログで紹介するんやからちゃんと観ろよ。一応、ネタバレというかゾンビになる原因はあるんやろ。呪いとか。

S原:途中で小屋に逃げた3人(男1、女2)が、ノートを発見する。そこに凄惨な事件が過去にあったことが書いてる。このへんも、よくわからんかったわ。

Y木:スプラッターがしたかったんちゃうの?そういう場面はあるんやろ?

S原:あります。内臓がとびでたり、手がちぎれたりという場面が、緊張感なく写ります。まあそういう映画やったよ。

Y木:ラストは?

S原:あーラスト?いったんホラー映画っぽく話は終わるねんけど、エンドクレジットのあとに喫茶店でおじさんが、ネタバレ風に奇妙なエピソードを語ります。

Y木:あーそれで謎解きがされると。

S原:いや、よくわからんかった。

Y木:あかんやん。

S原:だって、聞き取れへんねんもん!

Y木:もん!じゃねえ。

S原:そして、なんと映画が終わると、そのまま特典映像が始まります。特撮とか特殊技術の専門学校(ECCアーティスト専門学校)の紹介です。レポーターの女子2人が「すごーい」とか「おおきーい」とか言います

Y木:AVか。

S原:学生の感想もすごいで。レポーターが「この学校の感想は?」と聞いて、学生たちが「(棒読みで)とても、楽しいです」「(死んだ目で)楽しいです、とても」「(やる気なさそうに)毎日、楽しいです」って言います。もう少し感想をちゃんと言っておくれ(苦笑)

Y木:というか、そこの専門学校の学生が手伝ったんやろ? ほんまに自主映画なんやな。結論としては、映画としてはハズレってことやな。

S原:ハズレと言うか。典型的な「自主映画」「お金のない映画」「演出がピント外れな映画」やった。たぶんプロがあんまり関わっていないようやから、完成させたのは偉いと褒めてあげたいけど(自主映画では未完成で終わるケースが多々あり)……これはやっぱり映画としては厳しいと言わざるを得ません。というわけで、みなさん。あまりみかけない映画だと思いますが、ゾンビ映画のマニアのみどうぞ~!