あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

(たぶん)一部の人しか知らない日本映画を12本観てみる!「現代怪奇百物語 弐之章」(2020)の巻

現代怪奇百物語 弐之章 [DVD]

S原:今回はオムニバス!

Y木:おれ、これは絶対にレンタルせえへんわ。

(あらすじ)

現世と死国を繋ぐ境目にあるとされる黄泉比良坂。オカルト番組のロケでそこへ訪れた新人アイドルの須山美鈴(保﨑麗)。そして、同行した霊能者・湊千香子(舞川みやこ)。彼女達を待ち受けていたのは想像を絶する恐怖の存在だった。
一方、千香子の妹で同じく霊能者の湊咲良(雛形羽衣)に助けを求める男。案内されたのは、異様な妖気が漂う事故物件だった――。

 

Y木:これ、第二章なんやろ? 前作(第一章)を観てなくても、大丈夫なんか?

S原:大丈夫です。別々の話みたいやから。これは、5つの話があるねん。(「呪ノ接吻」「鏡面ノ住人」「アウトローガール」「事故物件ノ怪」「冥土ノ暁闇」)ぼくはオムニバスが好きやから、中古店で見つけてすぐにゲットしたんやけどな。

Y木:どうやったの? 

S原:ちょっとユニークやねん。各エピソードが独立してるねんけど、すこしリンクしてるねん。

Y木:ほー伏線になるとか?

S原:そうそう。このへんは工夫をしようと意図してて良かった。でも、例えばタランティーノみたいに「おお!」「へえ、ここに繋がるのか!」という驚きまではないです。そこまで、上手くはないです。

Y木:なるほどな。

S原:まずは「呪ノ接吻」。レポート男女2人が、テレビ番組(youtube番組?)で心霊スポットに取材に行く。カメラマンと霊能力者(ジャケットの真ん中の人)も同行するけど、いつのまにかだんだんと人が少なくなっていく…という話。

Y木:普通やん。最後は?

S原:最後まで話がいかずに途中で終わります。この続きが他の話に繋がっていきます。

Y木:そういうことか。

S原:2話目の「鏡面ノ住人」は、1話目の霊能力者の妹が、事故物件に住む男の部屋をお祓いをすることになる。御札(護符)や鏡を使ってあっちの世に行って…という話。これは、鏡(とくに割れた鏡)が効果的に使われていてなかなか上手いです。これも、ちゃんと話が終わりません。

Y木:次は?

S原:「アウトローガール」は、女子高生2人(美人局)の話。その色仕掛けで捕まったおじさんが、男に300万円要求されるが、反対にヤクザ(金融ブローカー)が乗り込んできて山中に連れていかれてしまう。その山中が、第一話での心霊スポットに繋がっていきます。

Y木:なるほどな。

S原:個人的には、これが一番面白くなりそうやと思ったわ。いくらでも「脱線」できそうな話やし、もっとメチャクチャにしてほしかった。で、第四話は「事故物件の怪」。第一話にでてきた霊能力者が事故物件を訪問するところから始まります。そこへ突然男女(第二話の男女)が入室してきて、あわてて別室に隠れる。その男女は第二話と同じやり取りをする。それを隠れて霊能力者は盗み聞きする…という感じで、第二話(事故物件)と話が繋がっていてるのよ。

Y木:へえ。最後は?

S原:第五話は「冥土の暁闇(ギョウアン)」。第一話で行方不明になったしまった人物や置いてけぼりになった女性の話になります。そこには第三話にでてきた人物とも関係していて……という感じで話が繋がっていっておしまい。

Y木:なんか話だけ聞いてるとよくわからんぞ。

S原:言葉で説明するのは難しいけど、そんなに複雑な話ではないです。ネタバレすると『劇中ででてきた登場人物たちが、じつは死んでいた』というネタが多いねん。それを霊能力者(姉妹)が成仏させていく、と。

Y木:なるほどな。本人たちは死んでることに気付いてないねんな?

S原:そうそう。そのへんは監督(松本了)がやりたかったことやから全然OKなんやけど、成仏できない悲しさとか、霊能力者(姉妹)の凄さはあまり伝わらなかったかな。

Y木:各エピソードが繋がっていくというのが、キモでしょ。

S原:そうやな。ただ、最初に言ったけど、そこに感心するほどではなかった。予想外の展開も少なかったし。ただ、この手のDVDでは上質やと思う。あと、印象に残る部分もあるねんで。

Y木:どの部分?

S原:百合っぽいねん。きれいな女性が女性にキスをしたり、後ろから首をスーッと触ったりする。そのへんの雰囲気は良いよ。

Y木:百合要素か。ちょっと、おれは苦手やな。

S原:ほんのり漂うだけやし、キレイに撮れてるけどな。

Y木:惜しいところは?

S原:うーん、まったく怖くない(苦笑)

Y木:あかんやん。

S原:いや、フォローするわけじゃないけど、あんまり怖さを追求してないんとちゃうかな。これはこれでいいと思う。というわけで、みなさん。低予算なのは目を瞑ってください。なんとか個性をだそうとした監督(松本了)の努力をみる映画です。この系統の話が好きな人は楽しめると思います。マストバイとは言いにくいですが、機会があればぜひお試しあれ!