S原:今回は、読者にお詫びしないといけません。
Y木:なんやねん、いきなり。
S原:だって、これは面白いんだもん!
Y木:だもん!じゃねえ。きもいわ。要するに、ショボくなった続編やと思って観たら、意外とイケたというわけやな。
(あらすじ)
キョンシーや妖怪退治を生業とするハオ道士と、2人の弟子チュウサムとモンチョイが青龍という町で暮らしていた。
ある日、西山で棺が掘り起こされたと聞いたハオ道士は、不吉な予感を抱きながら弟子のモンチョイとともに現場に向かうと、なんと山猿の姿をした伝説の妖怪【山魈(さんしょう)】が棺に眠っていた。フー隊長は、この妖怪・山魈を万国博覧会に出品して出世を目論むが、封印が解けて暴れ出す!
一方、チュウサムはモンチョイの婚約にあたって結納金を工面するために、古来から財宝を守る妖怪【黄妖(こうよう)】を訪ねていた。妖怪であると知りつつも、その美しさに心惹かれていき、チュウサムは恋に落ちてしまう。
ハオ道士は暴れ出した山魈を一度は封じ込めたものの、黒猫の精気を吸って再び復活する。そして、山魈は封印していた妖怪の気を吸って、狂暴化してしまう!
S原:これ、「元レンタル店店長まぁくのB級日常映画館」でおなじみのまぁくさんが紹介していてな。面白そうやなあ、と思ってたら出会ったのよ。いやーこういうのシンクロニシティっていうんやろうな。
Y木:言わへんわ。
S原:現時点でパート11まで作られてるねん。この映画はその第10弾です。
Y木:第10弾か、すごいな。タイトルはX(エックス)じゃなくてパート10やったんやな。これってストーリーはつながっているのか?
S原:余不知也(わかりません)。ちょっと調べると、どうもほぼ独立したエピソードみたい。まーあれちゃう?コロンボとか寅さんみたいなもんちゃう?
Y木:そうなんか。しかしキョンシーネタで40本作ったらそれはそれで凄いかもな(笑)
S原:ネタがなくなってキョンシーが、ついに宇宙に行って暴れたりしてな。
Y木:……(無言)
S原:こら!
Y木:なんやねん。
S原:「それはジェイソンだっちゅーの!」って突っ込まなあかんやろ!
Y木:知るか!はよ、この映画の内容を話せ。
S原:いやー「霊幻道士」(1985)シリーズなんか、何十年ぶりに観たやろ。でも、香港映画特有の油っこさと、現代風の演出がちょうどよいバランスでな。単純に楽しいと思う。
Y木:へえ、娯楽映画やからそれでええやん。
S原:不然(その通り)。なんて言えばええんかな。頭を空っぽにして観るのにピッタリです。
Y木:えらい褒めるな。
S原:久しぶりにこういう映画を観て、なんというかドキドキしながらレンタル(VHS)を感じを思い出したわ(笑)。こういう馬鹿に徹した娯楽作を何故日本では作れないんやろうなあ……あ、ここで言う「馬鹿に徹した」は褒めてるねんで。
S原:あーこの映画ではキョンシーはでません。(キッパリ)
Y木:えー、「最強妖怪キョンシー現る」ってタイトルやのに?
S原:現れません。
Y木:おいおい。
S原:代わりにゾンビみたいなのは出てきたで。まあ、そういういい加減さも楽しいよ。ストーリーは上の通りで、現代っぽいVFXでゾンビや妖怪が出てきます。泥臭いキャラクター3人組(師匠に弟子2人)がドタバタしながら、やっつけるというだけやった。
Y木:香港映画っぽいな。
S原:甚善(それでええと思うで)。でもちょっと残念なこともあります。
Y木:なに?
S原:これは大きく2つの話があるねんけどな。キョンシー(ゾンビ)をやっつける話と美女の妖怪(黄妖)に恋愛感情をもってしまう弟子の話がうまく絡まない。一応ラストで伏線回収っぽく終わるねんけど、俳優たちが良いだけに惜しいです。
Y木:おれは香港映画って、そんなに観てないからわからんけどな。昔、香港映画ブームのときに観て、「なんか雑な出来やなあ」と思ったけどな。いまでもその流れが残ってるっていうことか?
S原:たぶん伝統なんやろうな(笑)もちろんハリウッドみたいに洗練される映画もあると思う。でも、この映画はたしかに昔の香港映画風の要素があった。そこを楽しめる人は「意外とイケる!」、ダメは人は「なんじゃこれ?」となるんやろうな。
Y木:なるほど。
S原:あと足りにないのは、子どもやろうな。とくに女児。
Y木:へえ…
S原:例えばテンテンというかわいい娘がいたりしてな。
Y木:うん…
S原:コメディ風に友達(男児)たちとキョンシー退治に行く場面があってもよかったよな。
Y木:……(無言)
S原:こら!
Y木:なんやねん。
S原:「それは来来キョンシーズだっちゅーの!」って突っ込まなあかんやろ!
Y木:知るか!今度から一人で話してくれ!