S原：さあ今回から、また知られていない日本映画を発掘するシリーズ！ まずはこれ、パチンコ映画！
Y木：うげー、なんやこれ。
（あらすじ）
「パチンコあるある」や「パチンコうんちく」を盛り込んだパチンコ必勝ムービー。地元のパチンコホールでは負けなしの“爆裂王”こと轟銀次郎。中華料理屋で働く銀次郎は出前をさぼっては毎日パチンコ三昧。そんなある日、賞金稼ぎの竜二が現れ…。
S原：あなた、昔はギャンブルをしてたやろ？
Y木：大昔やな。競馬にハマって毎週してたけど……やっぱり儲からへんよな。予測するのが楽しいというのはあったけど。
S原：ぼくも一通りやってみたけど（競馬、競輪、競艇、パチンコ）、全く勝てなくてすぐに嫌になった。ビギナーズラックは、どこにいってん！（怒）
Y木：知らんがな。おまえが悪いんやろ。
S原：で、この映画やけど、ネットでもほとんどレビューがないねん。
Y木：やろうな。
S原：ホラーとかSFは、どんなZ級でもそれなりにレビューを書いてる人がおるやん。褒めてないけど(笑)
Y木：マニアというかファンがおるからな。
S原：同じようにパチンコとかギャンブル好きもいるはずなんやけどな。たぶん、こういう類の映画なんか観ないんやろな。
Y木：こんな観る映画を観る暇があるんなら、パチンコ店に行くんちゃうの？ で、この映画の感想は？
S原：まあ最後まで観れるねんけど……なんというか、普通過ぎるねんなあ。
Y木：予定調和ってことか。でも、変な演出とか凝った場面とかを求める映画ではないような気がするけど。
S原：そうなんやけど、あまりに普通過ぎると印象に残らないのよな。
Y木：「パチンコあるある」や「パチンコうんちく」があるんやろ？ パチンコ好きは、そういう部分は楽しめるんとちゃうの？
S原：いや、とくに「パチンコあるある」とかはなかったで。この映画の感想は言いにくい。出来が悪い云々という前に、毒にも薬にもならないというか。もっと主人公が破天荒な男なんやと思ったけど、ただのパチンコ好きな男やったし……
Y木：あのな、聞きたくないで。聞きたくないけど、聞くわ。どんな話？
S原：仕事中（中華料理の出前）なのに、パチンコに行ってしまうくらいパチンコ好き男が主人公ね。主人公はいつもパチンコで勝つから、街では『爆裂王』と呼ばれて尊敬されています。幼馴染の女性が、「こらー！仕事をしなさーい！」とシティハンターみたいに追いかけてきます。ある日、賞金稼ぎが街にやってきます。そしてパチンコ店を荒らします（パチンコしてるだけ）。「パチンコは楽しく遊ぶもんだ！」と言う主人公を、賞金稼ぎは「おれたちは命をかけてんだ」と笑います。主人公は、賞金稼ぎと1対1で対決することになります。
Y木：それで？
S原：主人公は負けます。賞金稼ぎは「今日から、おれが爆裂王だ。ははは！」と去っていきます。主人公は落ち込みます。そんな主人公に、幼馴染や中華料理の主人（叔父さん）が励まして、再起を誓う……こういう話です。
Y木：なんかもう……興味が1ミリもわかへんねんけど。
S原：ストーリーが陳腐な上に、キャラクターが普通過ぎる。普通の人が普通にパチンコをうつ姿をみても、しゃーないやん？
Y木：まあな。パチンコ屋に行ったら、会えるしな(笑)
S原：頭がおかしいとか、異様なくらい金銭に執着するとか、イカサマをするとか、パチンコの出玉の確立だけはスーパーコンピューターよりも正確に計算できるとか、もっとパンチがないとダメよ。もしくは、パチンコに負けたら片足を切られるとか、首に爆弾をしかけられてパチンコに負けたら頭が吹っ飛ぶとか、パチンコ中に興奮したら尿漏れするとか、いろいろと設定に工夫できるやん？
Y木：悪いけど、おまえのアイデアもしょーもないわ。
S原：賞金稼ぎが、「所詮は資本主義だ！」と棒読みする場面はちょっと味があるねんけどな。
Y木：なんやねん、その場面は。最後は？
S原：もちろん主人公が勝ちます。
Y木：裏技とか必殺技とか？
S原：いや、普通にパチンコをして勝ってた。
Y木：あ、そう。
S原：一応、最後の勝負の前に特訓してたけどな。
Y木：特訓？どんな？
S原：ロッキーのテーマ風の音楽にのせて、生卵と飲んだりジョギングしたりしてた。一応、パロディのつもりなんやろうな。
Y木：……それ、80年代のセンスやん。
S原：そういうわけでみなさん。これは、B級映画ファンにもパチンコ好きにもおススメできません。パチンコなんか絶対に収支はマイナスになりますからね。そんなギャンブルに使うお金があれば、中古DVDを買った方が人生に潤いがでますよ～！
Y木：どっちもどっちと違う……？
