S原:今回はこちら、あのスウェーデン製の映画!
Y木:「あの」って付けるなよ、やらしいな。
(あらすじ)
キャビンアテンダントのちょっぴりエッチで刺激的な日常を描いたラブコメディ。1年のうち230日を空の上で過ごすキャビンアテンダントのニーナ。特定のボーイフレンドを作らずに毎日を楽しんでいた彼女だったが、子持ちのバツイチ男に恋をして…。
S原:これ、ラブコメやと思うやろ?ちょっとエッチな感じの。
Y木:というか、「ちょっぴりエッチで刺激的な日常を描いたラブコメディ」て書いてあるやん。
S原:じつは全然違うねん。なんと、大真面目な映画です。
Y木:真面目?
S原:主人公は、アラフォーくらいの女性(キャビンアテンダント)です。その女性が、いろいろと悩みまず。それを描いているシリアスな人間ドラマです。
Y木:えー、真逆やん。
S原:ジャンルごと、堂々とウソをついてしまうのも珍しいで。というか、たぶんDVDの販売担当者、宣伝担当者も本編を観てないんやと思う。
Y木:わざとちゃうの?確信犯というか。
S原:いやいや、よく考えてみてよ。このデザインでも「おもしろそうやん。観ようかな?」と考える人は、まずいないやん?
Y木:決めつけるなよ。
S原:なので、どっちにせよ負け戦やで。なんていうんかな、「ポーキーズ」(1982)とか「初体験リッジモンドハイ」(1982)とか「パンツの穴」(1984)をレンタルするときって、エッチ系バカ映画を期待するわけやろ?
Y木:まあな。
S原:「パンツの穴」の山本陽一が将来に不安を抱えたり、友人関係に真剣に悩んだりする話やったら、ビックリするやろ?
Y木:そりゃな。
S原:「ポーキーズ」とか「初体験リッジモンドハイ」で、延々と数学の問題を解いている場面ばっかりやったら、ビックリするやろ?
Y木:ビックリするわな。
S原:ビクッ!てなるやろ?
Y木:ビクッ!とは、ならんけどな。
S原:まあそういうことよ。あだち充の漫画やと思って読み始めて、途中から、ちば拓が描いてたらどう思う? 「あしたのジョー」やと思って読み進めて「なんか違うよな」って思って表紙を確認したら「のぞみ♡ウィッチィズ」やってみ? 「B.B.フィッシュ」の泳ぐシーンが、「バタアシ金魚」にすり替わってたら、どう感じる? お色気シーンのない「いずみちゃんグラフィティー」なんか、だれが読むのよ、えー!そのへんどうなんだね、君ぃ!
Y木:やかましいわ!どうでもええねん!
S原:はあー……
Y木:……
S原:……空しい。
Y木:こっちのセリフや!はよ、映画の話をしろ。
S原:さっきも言った通り、これは真面目な映画やねん。結婚適齢期(をやや超え気味)の女性が仕事もしているけど、恋愛や家族関係がうまくいかずに悩みます。
Y木:エロコメ映画じゃなかったのは分かった。普通の映画としてはどうなん?
S原:あなたねえ。
Y木:え?
S原:どこいでもいる女性が、普通のことで悩んでいるような姿をみて楽しめると思う?
Y木:おまえが好きで観たんやろ。そこまで言うなら、途中で観るのをやめろよ。
S原:真剣に途中で止めようかと思ったで。まあ、ドラマとしては普通なんやけど、わざわざ観るもんじゃないよな。
Y木:わかったわかった、それでも印象的なエピソードとかあるやろ。
S原:あーそうやなあ。主人公の父(義父?)がアル中で、かなり偏った性格やねん。孫に大きなプレゼントを持ってきて、空けたら桃1個とか。これも、カラッとしてないから全然笑えないのよなー。息子はその姿をみてマジギレしてるし。というか、この父が、ちょっと気味悪く感じるんよな。「この人、マジでヤバい人…?」みたいな。
Y木:主人公は飛行機に乗るのが仕事やろ。外国の風景とかあるやろ。
S原:そんなん、旅サラダ観てたらええやん。
Y木:そう言ったら話が終わるがな。恋愛の要素は?主人公は恋愛をせえへんの?
S原:します。妻と死別した男性。子持ちね。はじめはうまくいきそうなんやけど、結局はだめになります。しかも、突然この男が「インドに行く」「子供もつれていく」「半年くらい」「きみを愛しているかどうか、自分でもわからん」とか言い出しす。主人公は、この男性となら…と期待してたからもうガッカリします。
Y木:なんかシリアスというか陰気くさい話やな。
S原:ほんまにな。あとは、主人公が肌に保湿クリームをぬる場面とか、主人公の顔面の皺をのばす場面とかあったで。あ、思い出した。主人公が疲れてふーってため息をつく場面もあったかな。
Y木:たしかに面白くなさそうやな。
S原:イエース、ザッツライト。というわけで、みなさん。華のない女性の潤いのない生活を興味がある人のみ、おススメします。ほかの人はやめておいたほうが無難でしょう。今回は、ジャンル詐欺映画でした~!