あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「ゴースト もういちど抱きしめたい」(2010)の巻

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S原:今回は、あの「ゴースト ニューヨークの幻」(1990)を日本でリメイクしました。

Y木:よくOKだしたなあ、こんなリメイク企画に…

(あらすじ)

会社経営者として多忙な日々を送る七海(松嶋菜々子)は、ある晩、陶芸家志望の韓国人青年ジュノ(ソン・スンホン)と出会う。やがて二人は運命的な恋に落ち、新しい生活をスタートさせるが、七海はある事件に巻き込まれて突然命を落とす。彼女の魂は天国へ行くことを拒み、地上でゴーストとなって愛するジュノのそばに寄り添うが……。

 

S原:これはリメイク作品としては、正統派の「失敗作」やと思う。

Y木:いきなりやな。

S原:だって、ほんまに面白くないねんもん……(夕焼けをみる目)

Y木:ま、あの「ゴースト」をいまさらリメイクするってのがなあ。

S原:正気の沙汰とは思えんやろ。でも、もしかしてすごく良い作品やったら、リメイク成功ってことになるからな。結果論かもしれん。

Y木:でも、これすごい製作費かかってるんやろ?

S原:たぶんな。松嶋菜々子の久しぶりの映画復帰作やし、相手は韓流スターのソン・スンホンやし。撮影もちゃんとしています。音声と口の動きもズレてないしな。

Y木:当たり前やろ。自主映画か。

S原:しかしこれはダメやったなー。当時、「ゴースト」ってメチャクチャヒットしたやろ?

Y木:そうやな。

S原:当時、ぼくの友達がチケットを2枚買ってこの映画を観ようと誘ったのよ。「恋人になりたいなー」って下心があったらしいけど、なぜか女性がムスッとしていて全然ロマンチックなムードにならんかったらしい。後で聞くと、その女性曰く「好きな人と観に行きたかったのに!」って(笑)

Y木:ビターなメモリーなんやから放っておいてやれよ。

S原:あ、いま思い出した!当時、ゴーストの真似っ子映画(パクリ映画)が、結構あったのよ。その中の1本で、ビル・コスビー主演で「ゴーストパパ」(1990)ってあったんやけど、この映画よりも面白かったで。ちなみに未DVD化です、たぶん。

Y木:いや、誰も知らん映画を引き合いに出されても。

S原:この映画に話を戻すと、そのままオリジナルの場面を再現しているところと、変えているところがあります。

Y木:それは普通やん。リメイクなんやから。

S原:でも、それがことごとく裏目にでているというね……(微笑)

Y木:あーそういうこと…(苦笑)

S原:だって映画がはじまってすぐに、いきなり知らない男の部屋で、松嶋菜々子が目が覚める場面やで?しかも裸で(笑)。もちろん裸は映らへんけどな。飲みすぎて記憶がなくて、知らない男性の家のベッドで寝ているという設定やねん。いやーまさか2010年の映画でこんなオープニングが観れるとは(笑)

Y木:昔のコントみたいやな。

S原:で、オリジナルと変えている点は、男女の立場が逆転しています。死ぬのは松嶋菜々子のほうね。

Y木:ほう。

S原:そういう変更はええねんけど、どうも不自然やねんなー。例えば、松嶋菜々子は自分が死んでも、あんまり驚いてないねん。

Y木:え?

S原:なんか冷静でな。「死んだもんは、しゃーないがな」みたいな(実際は言わない)。

Y木:でも、恋人を助けるんやろ?

S原:助けます。でも、あんまり助けれてなかったかな(苦笑)松嶋菜々子が死んだあとに、恋人が警察に連れていかれてたし。

Y木:あかんやん。たしかオリジナルでは、会社の同僚が不正をしていて、その口封じで殺されたんじゃなかったっけ?

S原:リメイク版も一緒です。でも、松嶋菜々子じゃなくてソン・スンホン側の問題やねん。要するに、松嶋菜々子は、単純な巻き添えってこと。

Y木:迷惑な話やなー。

S原:で、幽霊になった松嶋菜々子が恋人のために奮闘する、と。このへんは同じやな。でもなんかリズムが悪いと言うか。もうストーリーは分かってるやん?話はサクサクすすめてもらわんと、退屈します。

Y木:上手く変更していることはないの?

S原:上手くはないけど、途中で少女のゴースト(芦田愛菜)がでてきて、松嶋菜々子テレキネシスの使い方を教える。マッチと明菜で話題になった「愛・旅立ち」(1985)でも、ゴースト少女がでてきたやん?

Y木:知るか、そんな映画。

S原:分かりにくかった?「幻魔大戦」でいうと、ベガとレイア姫の立ち位置やな。

Y木:なんで幻魔大戦で例えるねん。

S原:……ううう(泣く)

Y木:は?

S原:……なんで平井和正の晩年は、ああなってしまったんだああ!好きだったのにぃい!

Y木:うるさいわ!「ゴースト」といえば、あれやろ。ろくろを回す場面はあるんか?

S原:あります。完コピです。

Y木:ウーピー・ゴールドバーグの役は?

S原:でます。樹木希林です。

Y木:「アンチェインド・メロディ」は?

S原:流れます。平井堅が歌っています。

Y木:はー……(ため息)なんかもう、松嶋菜々子主演で、相手は韓流、芦田愛菜樹木希林が脇役。おまけに平井堅が主題歌……すごくテレビっぽいな。

S原:フジテレビとか電通とかが考えそうな企画やろ?(笑)と思って「ゴースト」製作委員会って検索したら、実際は、日本テレビパラマウント、松竹がメインやった。

Y木:ま、同じようなもんやけどな。で、ラストは?

S原:これも同じ。少し松嶋菜々子が見えて、消えていっておしまい。

Y木:まーそのラストは変えられへんわな。

S原:さあみなさま。なんとも薄味な映画ですが、普通に観れますよ。ただ面白くないだけです。これからリメイクを作る人は、ぜひこの映画を観てどう作るか考えて下さいませ。というわけで、この映画は、レンタルでもおススメできませ~ん!