あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「ソード・ハンド 剣の拳」(2006)の巻

ソード・ハンド 剣の拳 [DVD]

S原:今回は、「剣の拳」というダジャレのような副タイトルの映画です!

Y木:剣の拳……昔のジャンプの漫画みたい。

(あらすじ)

右手から鋭い剣を生やすという特殊能力を持つ青年サーシャは、いわれのない暴力にその力を使ってしまう。凶悪犯として追われることになった彼は、最愛の女性を守るため孤独な戦いに挑む。VFX満載のSFソード・アクション。

 

S原:これはロシア映画です。

Y木:ロシア産のSFアクションやな。

S原:SF…?アクション…?うーん。

Y木:なんやねん。

S原:どうも、この映画はスカッとしない。ジャンルもよくわからん。例えば、このDVDのパッケージをみてレンタルする人って、マーベルみたいなかっちょいいヒーロー映画やと思うやん?

Y木:そうやろうな。

S原:でも、違うのです。

Y木:こんな場面は、ないってこと?

S原:あります。でも、少しだけです。ソードハンドのタイトル通り、手から剣がビヨーンと伸びます。

Y木:ビヨーンって。なんか、かっこわるいなあ……

S原:アクション場面はまあまあやねんけど、それ以外の場面がとにかく長い。しかも、だいたい3種類の場面しかないねん。

Y木:3種類?

S原:主人公が苦しんでいる場面、主人公が悩んでいる場面、主人公と女性がイチャイチャしている場面。

Y木:なにそれ。

S原:ほんまやねんって!そういう映画やねんって!

Y木:わかったわかった。(主人公の)悩みは何やねん?

S原:手から剣がビヨーンってでてくることに悩んでいます。

Y木:えー、そんな映画の基本設定に対して悩むの?話が進まへんやん。映画としてはそこは省略せなあかんやろ。

S原:うん。インディ・ジョーンズが、冒険アクションもせずに「なんで、おれは秘宝がほしんだろ?」「そこまでして、宝物が必要か?」と悩む場面ばかりやったら、観客は発狂するで。あ、いま思い出したけど「幻魔大戦」小説版(平井和正)では、主人公(東丈)が幻魔と戦う場面は少ししかなくて、あとは延々と悩んでたな。しかも途中から、どこかにいなくなるし(笑)

Y木:平井和正か。懐かしいな。

S原:主人公は、とにかく深く悩みます。しかも、ゆったりとした雰囲気で悩みます。街で悩む、家の中で悩む、自然の中で悩む、もう「苦悩祭り」です!

Y木:いやな祭りやなー。

S原:さっきも言ったけど、普通の人は、これは娯楽作品と思って観るからな。「ソフィーの選択」(1983)とか「山の焚火」(1985)とかは、はじめから覚悟をして観るやん。「これは気楽に観ちゃダメな映画なんだ」と気持ちを整えるやん。

Y木:なんか、えらい映画を引き合いに出すなあ(苦笑)

S原:なんにせよ期待外れです。

Y木:苦悩する「ドラマ」として観ればええんとちゃうの?

S原:いーえ、それでも面白くありませんっ。

Y木:これって、話はどんな感じ?

S原:さっきも言ったけど、主人公(サーシャ)は右手から剣が突き出るという能力があります。そのせいなのか本人が暗いからなのか、幼い頃から孤独でした。みんなにいじめられたら嫌なので、内緒にしていました。主人公は大人になりました。ある日、主人公は、難癖をつけてきた男たちをぶちのめしてしまいます。その時から、彼は警察から追われる身となります。そんな時、彼は女性(カーチャ)と出会う。

Y木:ふーん、それで?

S原:主人公は、すぐに女性とチョメチョメします。

Y木:おいおい。

S原:ほんまやねんって。そして、彼女が元恋人に乱暴されそうになっているのを見て、主人公は怒ります。男を刺し殺してしまいます。

Y木:ふーん。それで?

S原:主人公は、また女性とチョメチョメします。

Y木:またかい。

S原:主人公はドスケベという設定らしくてな、とにかくチョメチョメしまくります。手から剣がビヨーンと伸びるみたいに、主人公の股間からビヨーンって。

Y木:下ネタかい。

S原:そこから愛の逃避行になります。いろいろあって、警察と軍から追われます。主人公はあまり手からビヨーンの剣を使いたくありません。

Y木:なんで?

S原:なんか、自分の性器をみられてるみたいで、恥ずかしいらしいわ。

Y木:勝手に作るな。怒られるぞ。

S原:逃亡したり戦ったりしている間にも、主人公は悩み、女性とチョメチョメし、また逃げて、手からビヨーンと剣がでて、また悩んで……まるでドストエフスキーの世界です!

Y木:全然ちゃうわ。

S原:セリフを少なくしている意図はわかるし、映像はキレイなんやけどな。とくにロシアの自然の風景は良いよ。でも、肝心のお話がこれじゃあな。

Y木:ラストはどうなるの?

S原:ヘリコプターに追いつめられます。森の中を女性(瀕死の状態)と一緒に逃げます。主人公は手から剣をだして、森の木を切ります。ついでにヘリコプターも切ります。ヘリは墜落します。女性も死にます。主人公はまた苦悩する表情を浮かべます。これ以上ないというくらいに悩んでいます。それがしばらく続いて、おしまい。

Y木:よくわからんぞ。

S原:まー、あれちゃう?監督のメッセージとして「そんなに悩まなくていいよ、また明日からガンバ!」ってことやろな。

Y木:絶対ちゃうやろ。

S原:いやー、でもほんまにどうしようもない映画やねんって。さあ、みなさん、これは間違ってもSFアクションと期待してはいけません。好きな女優が出ているからと言って、毎回シャワーシーンがあるわけではないですよね?あれと一緒ですよ。アクションもせず主人公がひたすら悩む(だけど、チョメチョメはする)映画が観たいあなたにおススメです。それ以外の人は、スルーしてくださませ~!