あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

皆はこう呼んだ。なんで、こんな映画作ったん…?「オペレッタ 狸御殿」(2005)の巻

オペレッタ 狸御殿 デラックス版 [DVD]

S原:今回は鈴木清順

Y木:え、これ、鈴木清順なんか!

(あらすじ)

狸と人は恋に落ちてはならないといわれている中、唐の国から狸御殿に招かれた狸姫(チャン・ツィイー)とがらさ城城主の世継ぎ・雨千代(オダギリジョー)はひと目で恋に落ちてしまうが……。

 

S原:世の中には2種類の人間がいる。鈴木清順の映画が好きと言う人と、わけがわからんという人。

Y木:たいていは後者やろ。この映画はミュージカルか。

S原:そうそう。なんというか、いつもの破壊力で映画の流れとか完全無視した作りやな。独特の美術やセットをバックに、俳優がシュール気味な演技をするという、あの感じです。

Y木:あー観るのがしんどそう……

S原:うん。ただ、今回は途中で歌の場面があるから、まだマシかな……。普通のラブソングのときはまだええねんけど、変な曲のときは頭がクラクラする。

Y木:前衛としてはどうなん?シュールやアヴァンギャルドを楽しむというか。

S原:結局、それが楽しめるかどうかなんやろうな。ぼくはしんどかった。もう年なんかな。

Y木:いや年齢の問題ちゃうやろ。だって、これを作った時の鈴木清順なんか老人やろ?

S原:80歳のときに撮ったらしい。

Y木:80歳!それはすごいな。

S原:すごいというか、ヤケクソというか(苦笑)ところどころは面白いと思うねんけどな。舞台美術に興味がある人とか、斬新な演出を求めている人とか、そういう人は大好物ちゃうやろか。ただなー。いくら、辛子明太子が好きでも、それだけ食べ続けるってしんどいやん?白米も欲しいし、他のおかずも食べたいやん?この映画というか鈴木清順の映画って、すべて辛子明太子を使った料理をだすから食べるのに飽きてしまう。

Y木:なるほど。明太子マニア(だけ)は喜ぶやろうけど、ってことか。

S原:そうそう。明太子自体は、独特の珍味やから「定食」にすればええのになあ。そうすれば、明太子も美味しい!って言われるはずやのに。あと、111分もあるねん。せめて90分にしてほしかった。削っても大丈夫な場面が多いから、もっと短縮できたはずやのに(笑)

Y木:だいたい話はわかった。ストーリーはどうなん?

S原:ストーリーか。いやーなんとも説明しにくいわ。オダギリジョーチャン・ツィイー恋物語がメインなんやけど、枝葉だらけで起承転結でないから、わけがわからん。

Y木:これ、評判はどうなん?

S原:ネットのレビューでは結構良いねん。

Y木:へえ。

S原:というか、わざわざこの映画のレビューを書こうとする人は、やっぱりマニアックな人ちゃうかな。「ターミネーター2」を観て、「すごい迫力でした」「シュワちゃん、最高!」と書く人と、あきらかに階層が違うやろ(笑)

Y木:まあそうやろうな。

S原:オダギリジョーチャン・ツィイーを褒めている人が多いけど、それは僕も同感です。でもまあ、普通の人は観なくてもええんちゃうかな…?

Y木:やっぱり。

S原:恐ろしいのは、この映画を結構な製作費をかけて作ってしまう日本映画の体質やな。本気で、この映画を劇場で観る人がおると思う?中高生がデートでこれを観るかい?会社帰りのOLが、これを選ぶかい?一家団欒の休日の夜にこれをレンタルするかい?

Y木:さあな。知らんけど、そうなんちゃうの?

S原:クレジットをみたら製作のなかには、あの電通も入ってた。途中で美空ひばりがCGで登場するねんけど、すっごく雑で浮いてます。こういう素晴らしいセンスが、さすが電通様でございます!

Y木:また、電通の悪口を言う。

S原:さあ、みなさん。シュールな映画と覚悟して観る分にはOKですが、ミュージカルで楽しそうという人は期待外れになると思います。超個性的な映画ですが、映画ファンにもおススメしにくいです。中古店でみつけても、スルーを推奨しまーす!