S原:今回は人魚。ロシア映画ですよ。
Y木:黒い人魚か。意味深やな。
(あらすじ)
湖畔にある別荘に友人たちと静養にやって来たローマ(エフィム・べトゥルニン)。深夜、一人で湖で泳いでいると謎の女に出会う。その女に遭って以来、恐ろしい幻影に襲われ、日ごと体力が衰えていく。
婚約者のマリーナ(ヴィクトリア・アガラコヴァ)もローマと共に幻影に悩まされるようになる。湖で泳いで以来、ローマの異変を感じていたマリーナは湖に向い、かって、この湖で起きた女の入水自殺を知る。
自殺の原因を解明するごとに、女の想像を絶する恐ろしい逆襲が始まる! 、そして信頼関係を深めたマイルズは、親友のサラと共にA-X-Lを守ろうと軍からの逃走を図る―。
S原:これは雰囲気を楽しむ映画やな。
Y木:へえ。
S原:雰囲気だけの映画やったけど。
Y木:あかんやん。
S原:どうもなあ……湖に人魚がいて、その呪いに主人公たちが巻き込まれるというメインストーリーはええねんけど、演出も凡庸やから全然ハラハラドキドキしません。
Y木:下手ってこと?
S原:下手というか……普通に作ってるねんけど、印象に残らないのよ。こういう映画が一番困る。つまらないなら、もっとぶっ飛んでほしい(笑)
Y木:いや本人たちは真面目に作ってるがな。
S原:たぶんな。例えば「出来が良くない映画」でも、妙に印象に残る映画ってあるやん?奇妙な場面があるとか、登場人物が気がくるっているとか。この映画は、そういう方向を狙うべきやったと思う。
Y木:印象に残る場面がないってことか。ショッキングシーンというかホラーな場面はあるんやろ?黒い人形が水面からでてくるとか。
S原:えーと、これは人魚は出てきません。ヤング風に言うと「この映画ってさー、人魚って関係なくね?それに黒くねーし。バブルガムブラザーズの方が黒くね?」やな。
Y木:なんで、比較対象がバブルガムブラザーズやねん。それに、いまどきのヤングはそんな言葉は使わんわ。
S原:で、早速ネタバレやけど、湖で入水自殺した女性の怨念が原因やねん。その女性がいまだにウラミツラミを引きずって、主人公たちにまとわりくという。
Y木:迷惑な奴やな。
S原:巨人退団直前の清原かっちゅーの!
Y木:あー清原なあ……(苦笑)
S原:ホラー映画で「怨念」は普遍的なテーマやけど、どうも悪い意味でハリウッド映画の要素をいれてるのよ。例えば、「あ、変な幽霊みたいなのがいる!」 ➡ 「次の瞬間には誰もいない」というパターンが何回も出てくる。たぶん10回くらいあったんっちゃかな。あとは、肝心の湖がなあ……小汚いねん。とても、そこで泳ぐ気になれない水質なのに、この映画での登場人物たちは泳ぎます。そのへんもリアリティがないというか、どうも不自然なのよ。
Y木:その湖に人魚…じゃなかった幽霊がおるんやろ。
S原:うん。そこで意味深な場面が展開されるねん。女性(幽霊)の怨念にとまどいつつ、ついつい魅入られてしまう……はずなんやけどな。あんまり上手くいってません。
Y木:そうなんや。
S原:あとは主人公がなあ。
Y木:演技が下手?
S原:いやそういうのじゃなくて……なんというか…顔色が悪いねん。真っ青やで。
Y木:それはロシア系の白人やからやろ。
S原:もう少し栄養を摂取したほうがええで、ほんまに。あー配給制でレーニンビスケットとかしか食べられへんのかな。
Y木:それはソ連時代やろ。というか、なんやねん、レーニンビスケットって。
S原:あーそうそう。大事なことを言い忘れてたわ。映画が終わってエンドクレジットで、ロシアの音楽が流れるねんけどな。
Y木:それが何?
S原:演歌みたいやねん。
Y木:知らんがな。
S原:まあ、そういう映画やったよ。みなさん、この映画はおススメできません。どこかで観たことのある場面とキレのない演出、そして栄養失調気味の俳優陣の3拍子です。というわけで、安売りコーナーで見つけても、スループリーズ!