S原:今回はスキー映画!
Y木:B級山岳サスペンス・アクションやな。
(あらすじ)
標高3000m、傾斜角世界一・・・人跡未踏の雪山アラスカ。スキーヤー、スノーボーダーとして自然に向き合い日々テクニックを磨く者ならば、神が宿っているに違いない手つかずの山々に、惹かれない者はいない。誰もが認める才能を持つダウンヒル・レーサー、タイラー(エリック・ライヴリー)と親友のプロスノーボーダー、マーク(ケラン・ラッツ)は、山岳アクション映画のスタントマンとしてその山へ挑むチャンスを手に入れた。綿密な打合せの後、ガイドのディーン(マイケル・マドセン)の操縦するヘリで山頂へ向かう。とてつもない急斜面、2mのパウダースノーに覆われた、見渡す限り白銀の世界!しかし、未知の山を制す興奮は一瞬にして不安と焦りへ、ライディングは命がけの避難手段へと変わる。想像を絶する雪崩が彼等を飲み込んだのだ。命の危険が迫った時、超人的なライディングテクニックは彼等を救うのか?大自然の猛威にさらされた彼等の運命とは・・・?
S原:実は、これはB級山岳サスペンス映画ではありませぬ。
Y木:え、山で爆発してるがな。ヘリコプターもでてるし。
S原:ヘリはでてきます。でも爆破のシーンはありませんのです。
Y木:あーいつものジャケット詐欺……
S原:イエース。これはですねえ、ただスキーをするだけの映画やった。
Y木:でもスキーのすごい技がみれるんちゃうの?
S原:いーえ、とくに普通のスキーです。
Y木:……それ、意味あるの?
S原:ありません。例えば、友達の家に行ったら「この前、スキーに行ってねん」「そうなんや」「斑尾高原って知ってる?」「いやスキーは興味がなくてな」「へえ。おもしろいで、スキー。あ!おれのダチがスマホで結構撮ってくれてるねん、観る?」って、無理矢理スキーをしている動画を見せられることってあるやん?
Y木:ないわ。なんやねん、そのシチュエーションは。
S原:斑尾高原に着く前に、バスで大騒ぎしてクタクタになって、スキーが全然楽しめなかったりしてな。
Y木:それは俺らの学生時代の合宿やがな。
S原:まあそういう映画やったよ。
Y木:どういう映画やねん。ストーリーを話せって。
S原:なんか薄味な映画やったわー。主人公はスキーヤーのタイラー。ダウンヒル競技にでてるときに、コーチ陣の指示を無視して転倒してしまいます。大きな怪我や事故にはならなかったものの、それが原因でチームを追い出されます。
Y木:ダサい奴やな。
S原:で、タイラーは故郷に戻ります。友人のマーク(プロボーダー)に再会して、「山岳アクション映画のスタントマン(の代打)をしてくれよ」と言われます。挑むのは難所と言われているアラスカのメテオライトです。さあ、すごい難しいスキーだど!
Y木:内藤陳か。それで?
S原:すごい崖から一回転して「ひゃっほー!」って叫びます。おいおい、「メガフォース」(1982)かよ!
Y木:おまえ、好きやなあ、「メガフォース」(苦笑)
S原:いや「メガフォース」でバイクが一回転する名シーンがあるねんって。しかもその一回転に意味はないねんで!
Y木:何を力説してるねん。この映画のことを話せよ。最後は?
S原:あー最後?最後は雪山で男女がぶちゅーって接吻します。それを周りの男が見てスケベっぽくニヤ~って笑っておしまい。
Y木:なんやねん、それ。
S原:ほんまにそういう映画やねんって!ほんまにスキーを映しているだけの映画やったわ。スキー専門店の宣伝ビデオかよ!
Y木:それはええんやけど、スキーの場面ってちゃんと撮影してるの?
S原:いやたぶん、どこかの記録映像の流用ちゃうかな。
Y木:……もう映画を作るのをやめたら?
S原:スキー好きな人は楽しめるかもな。他には何があったかな?あーそうそう。友人と気まずくなるとか、女性にチョメチョメしようとしたら「また今度ね」と言われて落ち込むとか、どうでもいい場面があったわ。
Y木:雪崩のシーンは?
S原:あるで。でもテレビの衝撃映像で観たことがある(ような気がする)場面やった。
Y木:ええとこなしやん。
S原:さあ、そういうわけでこれはおススメできませぬ。なかなか「ザ・ソルジャー」(1982)を越えるスキーアクション映画はでてきませんなあ。というわけで、この映画はワゴンコーナーで見つけてもスルーしてくださーい!