あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「恋愛睡眠のすすめ」(2006)の巻

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S原:これは、なんとも言えん映画やった…

Y木:変わったタイトルやな。

 (あらすじ)

ヒューマンネイチュア」「エターナル・サンシャイン」のミシェル・ゴンドリー監督が、シャイで引っ込み思案の男の恋愛妄想をコミカルに描くラブコメディ。父親の死をきっかけにメキシコから母親のいるパリに引っ越してきたばかりのステファンは、隣人のステファニーに恋心を抱く。だがシャイな性格が災いして、理想の夢ばかり見るようになり、やがて現実と夢の区別がつかなくなっていく……。

 

S原:あなた、「エターナル・サンシャイン」(2004)って観たことある?

Y木:ない。

S原:あの映画は強烈やった。もう頭が混乱する作りでな。ぼくには全然理解できなかったけど、この監督(ミシェル・ゴンドリー)の個性はすごくて、逆に病みつきになるかも、と思ったわ。

Y木:へえ、おまえはどう?病みつきなった?

S原:いや、とくには…

Y木:なんやねん。

S原:ほかの映画を観てないからなんとも言えんけど、自分には肌が合わない感じがするかな。まあ、そういう個性的な監督やねん。でも、この「恋愛睡眠のすすめ」は、「他の映画に比べて、わかりやすい」と言う評判みたい。

Y木:で、どうやったの?

S原:うーん、やっぱりわかりにくいなー(苦笑)ロマンチックコメディのような、そうでないような…なんとも不思議な映画やった。

Y木:タイトルから察するに、夢の世界の映画?

S原:ストーリーを少し話します。主人公はメキシコ在住だけど、父が死んだことで母のいるフランス(パリ)に来る。アパートに住むことになるけど、隣のステファニーという女性に恋心を抱く。この女性が、シャルロット・ゲンズブールね。

Y木:シャルロット・ゲンズブール!ひさしぶりに名前を聞いたわ。

S原:さすがに、あの頃の映画ファン(とくにロリコン系男子)を骨抜きにした感じではない……というか、もう大人です(笑)化粧もしないような地味な女性の役やから、派手さはない。でも、ふとした表情とかはやっぱりキレイやったで。

Y木:そりゃキレイやろ。

S原:主人公は内気な性格やねん。なので、彼女にアプローチ出来てない。主人公には変な癖(特技)があるねん。自分が寝ている間に、自由に夢の世界を操れるのよ。まあ妄想なんやけど、その世界では彼女と上手くいくわけ。

Y木:さびしい奴やな。

S原:本人もちょっと悩んでいます。でも、ついつい夢の中に逃避してしまう。だんだん、現実と夢の世界というか妄想の区別があいまいになっていく。

Y木:映画としては、夢の世界の表現が見どころになるわけやろ?

S原:そうそう。キッチュな特撮で描かれてます。

Y木:キッチュって(笑)いま、そんな表現せえへんぞ。

S原:そうとしか言えないような特撮やねんって。テリー・ギリアムとかティム・バートンとか、あんな感じにちょっと近いけど、もう少しチープというか安っぽいです。ミニチュアの人間とか、手作りの動物がでたり、水がセロファンで表現されていたり。そういえば映画の中盤でジオラマのスキー場でデートをする場面があるねんけど、ここは良かったで。

Y木:チープなのは、わざとやろ?

S原:そう思います。チープなのはええねんけど、新鮮なアイデアに唸るとか、映像表現に目を見張るって感じもなかったかな。

Y木:そこがイマイチなら、ちょっと映画としては厳しいんとちゃうの?

S原:そうやな。こういう映像表現が好きなら楽しめると思うけど。

Y木:それで、話はどうなるの?

S原:主人公がやたらと悩みます。コメディっぽくカラッとした明るい展開になればよかったんやけど、主人公が悶々と悩む時間がやたらと長い(笑)その分、どうも主人公に感情移入できないのよ。

Y木:これ、フランス映画やろ。ハリウッド製に似せたくなかったんとちゃうの?

S原:かもな。でもなー、こういう映画に何を求めるかってことなんやろうけど…

Y木:たぶん、① 癖のある個性派監督の映画として観る、② 単純なラブコメとして観る、どちらかやろ?

S原:そうやな。結局はどっちも中途半端のような気がする。

Y木:最後はどうなるの?

S原:ラストは、主人公と彼女が、布でできた馬(ポニー)にのる。そのまま紙の船に乗る。2人とも笑顔です。すごく幸福そうです。でも、ここは現実でなく夢の中の世界やねん。だから夢の世界ではハッピーエンドというラストやな。ぼくはこのシーンが一番好きやな。

Y木:へえ。ということは、現実世界では上手くいかないってこと?

S原:そういう解釈で良いと思う…けど、どうなんやろ。この監督のことやから、もっと裏の設定があるのかも…(苦笑)

Y木:今回は、人を選ぶ映画みたいやな。

S原:さあみなさま。なんとも不思議な映画ですが、ウェルメイドなコメディを求めている人にはおススメできません。変化球を味わいたい人にはおススメです。あーもちろん、現実世界では、彼女も出来ず、いつも夢の中でグラマーな女性とデートをしているあなたにもおススメです!うつし世はゆめ、夜の夢こそまこと ですよ~!