(解説)
トワイライトゾーン/超次元の体験の紹介:往年の人気TVドラマ「トワイライトゾーン」(1959~1964年放送)のリメイク作品で、1983年公開のオムニバス・SFホラー・ファンタジー。
製作はスティーヴン・スピルバーグとジョン・ランディス。各話をジョン・ランディス、スティーブン・スピルバーグ、ジョージ・ミラー、ジョー・ダンテの4大監督が手掛けた。
S原:昔、これをみたときは、「大したことないなあ」と思ったんやけどな。いま観なおすと……
Y木:どうやった?
S原:大したことなかった(笑)たくさんの人が「どのエピソードも切れ味がない」とレビューしてるねんけど、その通りやと思う。どうも散漫というか冗長というか…
- プロローグ 『REALLY SCARY』
- 深夜、『ミッドナイトスペシャル』を流しながら車を走らせる2人の男。突然カセットテープが故障し、ラジオも圏外で音楽を聴けなくなった2人は話を始めるが、やがて男の1人が言う。「本当に怖いものを見たくないか・・・?」
S原:ぼくは、これが一番好きです。本編よりも面白い。
Y木:そうかー?
S原:いやいや吹替での日本語での早口なやりとりが素晴らしいで。昔、宴会で酔っ払って、このエピソードの再現モノマネをしたときは、全然受けなかったですねえ(苦笑)
Y木:それは、おまえのモノマネが雑やから。というか、ほとんどの人は元ネタ知らんやろ。
- 第1話「偏見の恐怖」 (『TIME OUT』)
- 人生のツキに見放された様な白人の男、ビル・コナー。全てに憤る彼のプライドは、黒人やアジア人、ユダヤ人等への酷い偏見と蔑視という形をとって現れる。バーで友人や黒人の客を前に悪態をつき、憎悪と怒りを覚えながら店を出たコナーの目の前に、見知らぬ町並みが広がっていた。そこは第二次世界大戦中のドイツで、彼はユダヤ人と決めつけられ恐怖を味わう…
S原:今回再見して評価を改めました。
Y木:へえ。意外やな。
S原:結構面白いです。
Y木:でも、これって途中で話が終わってるやん。
S原:ヴィック・モローの事故がなければ、この第一話(ジョン・ランディス監督)は、かなり面白くなったはずなやねん。いまならヴィック・モローをCGでつなぎ合わせて編集するやろうな。話が終わってないところは、今観ると、それが逆に悪夢的とも言えるんやけどな。
- 第2話 「真夜中の遊戯」(『KICK THE CAN』)
- 舞台は老人ホーム「太陽の谷」。ここでの老人たちは全くの老人であって、未来への希望や生の喜びを失した人生を送っている。そこに新しく入居したブルーム老人が、懐からぴかぴかと光る銀色の缶を取り出し、「皆で缶蹴りをしたら、忘れていた喜びを取り戻せるかもしれない」と他の老人たちを誘う。そして真夜中、ブルームに起こされた老人たちは、規則を破って夜の庭で缶蹴り遊びを始める。やがて不思議な現象が起きて…
S原:ぼくは、これが一番退屈やった
Y木:これ、スピルバーグやろ。
S原:スピルバーグは、、巨匠と呼ばれるわりにムラがあるというのが僕の評価です。
Y木:おれなんか、スピルバーグなんて全然評価してないけどな。
S原:同じスピルバーグの短編なら「世にも不思議なアメージング・ストーリー」(1987)のほうが断然好きやねん。ケビン・コスナー主演にで、第2次世界大戦中のパイロットの物語なんやけど、コスナー指揮する部隊の乗った爆撃機が、帰還途中に敵機の攻撃を受けて車輪がでなくなってしまう。機体下部の銃座には、若い少年兵が取り残されてしまって、このまま胴体き着陸すると少年兵は死んでしまう…というエピソード。どう?こっちのほうが面白そうでやろ?
Y木:たしかに(笑)
- 第3話 「こどもの世界」(『IT'S A GOOD LIFE』)
- 平凡な人生に変化を求める教師のヘレンは、道に迷い立ち寄った食堂で、1人の少年と出会う。誤って少年の乗る自転車に車をぶつけたヘレンは彼を家まで送るが、アンソニーと名乗る少年の家族はとても奇妙だった…
S原:ジョー・ダンテ監督。奇妙な味わいは悪くないんですが、どうも面白くなりそうでなりません。
Y木:あの原色の悪夢的な家がなあ。ユニークではあるんやけどな。
S原:子役(男児)はちょっと気持ち悪いのですが、恐怖が盛り上がらないというか。
Y木:まあ、怖くはないな。
S原:ホラーにするのか、奇妙な味にするのか、「特撮」をみせるのか、焦点がぼやけたままな気がするなー。
- 第4話 「2万フィートの戦慄」(『NIGHTMARE AT 20,000 FEET』)
- 飛行機恐怖症のジョン・ヴァレンタインは、飛行中の旅客機内でパニックに襲われていた。外では雷鳴が轟き、稲光が走る。気分転換に窓の外を覗いた彼は、旅客機の主翼の上で、何かの生き物が動いているのを目撃する。
S原:当時からこれが「一番面白い(というかマシ)」と言われていましたが、ぼくは全然ダメです。
Y木:えーこれが一番面白いやん。
S原:たしかにストーリー展開としては、一番ミステリアスだとは思うんですが、主人公が物語のはじめから、もうパニックになってるねん。「あんた、そんなに飛行機がキライならなんで乗ったん?」と突っ込むこと必至。単純にうっとおしいというか。
Y木:やたらと興奮してるしな。
S原:監督はジョージ・ミラー。彼は映画技法的にはそんなに器用ではない監督というのが僕の評価です。なので、この手の作品には合わないと思う。どうやろ?
Y木:かもな。でも、やっぱりこれが一番良いと思うけどなー。
S原:このあとに、短いエピローグがありますが、ここでは言わないのがマナーやろうな。
Y木:あのエピローグは結構ええと思うで。
S原:というわけで、昔テレビで「ミステリーゾーン」「トワイライトゾーン」を観ていた人は楽しいかもしれません。日本の「世にも奇妙な物語」でも秀逸なエピソードはたくさんありますから、いまのヤングが初めて観るとやはり物足りなく感じるかも、です。興味のある人は、レンタルしてみてくださーい!80年代テイストたっぷりの映画ですよ~!