Y木:これはショーン・コネリーやな。
S原:今回は、ちょっと変わり種のSF映画ですよ。
(あらすじ)
「カプリコン・1」の ピーター・ハイアムズ監督が、傑作西部劇「真昼の決闘」の設定を宇宙に置き換え描いたSF・アクション。木星の衛星イオ。その鉱山街にはびこる麻薬ルートを突き止めた新任の保安官。正義を貫いたために孤立した彼には殺し屋との対決が待っていた……。
S原:どうもお金をかけているはずなのに、そこはかとなくB級っぽい雰囲気の映画を作ってしまう監督っておるやろ?
Y木:おるな。
S原:個人的に、ピーター・ハイアムズ(代表作「タイムコップ」)、ジョー・ダンテ(代表作「インナースペース」)、ジョン・カーペンター(代表作「ゼイリブ」)が三羽烏やと思ってるんやけどな。
Y木:三羽烏って。しかも、代表作の選び方に悪意があるぞ。
S原:えーどれも面白いやん。
Y木:ヴォルフガング・ペーターゼンもいれてあげたら?
S原:いや、あいつは「Uボート」(1981)を撮ってるから許す。
Y木:なんで上から目線やねん。
S原:いまのヤングなら、マイケル・ベイとか選ぶかもな。
Y木:どうなんやろ。で、今回の映画は「アウトランド」か。昔観たなあ。いつものように覚えてないけど。
S原:出来は、まあまあかな。でもさっきも言ったけど、どうもB級臭があるのよ。大掛かりセットとか製作費はかかってるはずやねんけどなあ…
Y木:話は「真昼の決闘」やろ?
S原:うん。主人公(ショーン・コネリー)は連邦保安官やねん。木星の第3衛星イオ、チタニウム採掘基地で、原因不明の人身事故が頻発して調査を開始する。すると、シェパードという監督官が作業効率を上げるために非合法な薬物(麻薬)を作業者に供給していることを突き止める。彼はこの事件を隠蔽するため、殺し屋たちをこの採掘基地に呼び、主人公を狙う…こんな感じです。
Y木:シンプルやな。
S原:すぐに黒幕がわかるし、麻薬で作業員を働かせているというカラクリも判明する。ミステリーの面白さよりも、宇宙を舞台にした西部劇です。特撮の場面が意外に良いのよ。宇宙の感じも昔の図鑑に載っているイラストみたいで。これは、ぼくらの世代やから楽しめるんかもしれんけど。
Y木:ハイアムズって感じやな。
S原:一番メインになるのは、たくさんの労働者たちが生活している場所(タコ部屋)なんやけど、普通の暗い作業所にみえてしまうねん。せっかくのSFやから、もうちょっと荒唐無稽な部分が欲しかった。
Y木:いやそれが狙いでしょ。リアリティというか。
S原:監督のインタビューでもそう言ってた。でも、あんまり小汚いオジサンたちがのそのそと動いてる場面ばかりやと、ちょっとなあ……(苦笑)
Y木:ラストは宇宙で戦ってなかった?
S原:ラストは、殺し屋が採掘基地にやってきます。ショーン・コネリーは宇宙服を着て、基地の外にでて相手の裏をかいて殺し屋たちをやっつけます。このへんも、やりたいことは分かるねんけど、もっと面白くなるはずやねん。どうも歯がゆいなあ。
Y木:今回はイマイチってことね。
S原:少し面白い場面もあります。でも、全体的にはどうも締まりがない、というのが僕の感想です。サイズの合っていないゆるめのジャージを履いている感じというか。
Y木:ま、ハイアムズやから(笑)
S原:さーみなさま。ショーン・コネリーのファン、80年代SFが好物な人におススメします。ちょっとぬるめの温泉に長時間はいった後に、体をふかないままブラブラ歩く…そんな気分になる映画でした~!
Y木:風邪ひくわ。