あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

ぶっ飛んでる映画特集!「女の穴」(2014)の巻

ポスター画像

S原:さあ、今回も強烈ですよ~!

Y木:タイトルがまた…

(あらすじ)
高校卒業も迫る冬。生徒たちが集まり、卒業アルバム製作委員会が開かれる。生徒の中には鈴木幸子、まじめな萩本小鳩、チャラい取手衛らがいる。担当するのは教師の福田。その外には取手に想いを寄せる教師の村田が覗いている。福田は鈴木と卒業アルバムの件で打ち合わせをしているが、彼女の【穴】みたいな目が何だか怖い。しかし彼女は福田に持ちかける。「私と子供を作ってくれませんか?」聞けば自分は宇宙人で、地球人との子供を作るよう命じられているという。据え膳くわぬは・・・と待ち合わせのみかん畑に向かい、セックスをする。そこで福田が分かったのは「ああ、こいつ、人間じゃないわ」。その後、子供を作るために何度セックスをしても、鈴木の目は【穴】があいたままで・・・・
一方、男子生徒・取手に想いを寄せる村田は、夜の教室で取手の机を愛でる(性的な意味で)のが日課しかしその日課を萩本小鳩に見つかり、以来彼女の【豚】として調教される日々。苦しむ村田の表情を見ると、小鳩は喜ぶ。そんな毎日に耐えかねて村田は小鳩を拒否するが、彼女の村田への狂おしいまでの想いは、【鬼】となって、暴走を始めていた・・・

 

S原:いやはや、参った~!こんな変な映画は久しぶりに観たわ!

Y木:あらすじは、たしかに変な感じやな。これってエロ映画とちゃうの?

S原:エロというかなんというか、確かにそういう場面は多いねんけど、一筋縄ではいかない。かといって、変態(性愛)がテーマの映画でもない……と思う。

Y木:なんや、おまえの説明ではよくわからんぞ。

S原:とにかく、奇妙な映画としか言いようがない。話は2つあるねん。前半は、宇宙人と称する女子高生が、担任教師に体の関係を持ってくれと頼む話(子供が欲しいから)。後半は、ゲイの教師が男子生徒に想いをよせていることを知った女子高生が、ゲイ教師をいたぶる話。

Y木:どっちも、なかなかぶっ飛んでるな。

S原:うん。でもエキセントリックなわけじゃなくて、なんか淡々としているし、そこがかえって怖く感じる。役者たちも本当に奇妙な存在感やねん。とくに、宇宙人女子生徒(市橋直歩)と、教師を追いつめる偏愛女子生徒(石川優実)の女優2人は出色やと思う。どこかで、「一見不可解にも見える女子高生たちの繊細な心の機微とセクシーな性描写の双方を演じきり」という紹介をされてたけど、その通りやと思ったな。むしろ男子生徒の机で自慰行為をする変態教師(酒井敏也)がまともにみえるくらい。いや、まともじゃないんやけど(笑)

Y木:原作は漫画みたいやな。

S原:ふみふみこという漫画家の短編集を元にしているらしい。監督は吉田浩太。どっちも初体験やけど、断言できる。この2人はマトモじゃない。

Y木:おいおい。

S原:強烈に歪んでるとかじゃなくて、自然な感じで異常性が滲み出ているというか。「個性」というには強烈やけど、ともかくこの2人しか表現できない世界やと思ったわ。

Y木:結構、ほめるなあ。映画の出来としてはどうなん?

S原:あーどうなんかな。完成度は高くないと思う。でも出来・不出来を云々する映画じゃないのよ。観終わっても、なんかゴツゴツしてて、すごく印象に残る。不思議やわ。

Y木:宇宙人と称する女子高生は、結局ほんまに宇宙人なん?

S原:本当に宇宙人です。性行為をした男性教師(小林ユウキチ)は、情が移って「他の星に戻らないでほしい」と頼む。だけど、あっさりと自分の星へ戻ってしまう。

Y木:へえ。変態教師の話はどうなるの?

S原:どんどん女性生徒がエスカレートする。ついには、教室で自分と男子生徒(ゲイ教師が好きな生徒)と性行為しているところを、ゲイ教師に覗き見させる。ロッカーに隠れて、男子生徒の裸をみて、ゲイ教師はもだえ苦しむという。

Y木:なんかもう、コメントがしにくいな…

S原:何度もいうけど、「狙っている」という次元じゃないんとちゃうかな。とにかく、一度見てほしいとしかいいようがない。

Y木:たしかに、観ないとわからんかもな。

S原:さあみなさま。家族で観るという映画ではありませんが、ちょっと変わった映画が好きな人や偏愛や性向に興味がある人は楽しめると思います。本当に世の中は広いです。こんな漫画をかいて、これを映画にして、それを観る人いるんですから(笑)この企画を立ち上げた勇気と作品を完成させた努力に敬服します。ひさびさにマスト・バイな映画ですよ!