あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

燃える(萌える)親父の映画たち!「Monjya」(2006)の巻

Monja [DVD]

S原:キターーーーーーーーー!

Y木:なんやねん、うるさいわ!

(あらすじ)

元プロレスラーで、国会議員として活躍する大仁田厚の映画初監督作は下町・月島を舞台にした人情劇。ひとりの少女との出会いをきっかけに再生してゆく中年ロックスターの物語。

 

S原:最近、自分のワゴンハンティング・スキルにちょっと自信がなかったんやけどな。これを見つけてちょっと自信がつきました(笑)

Y木:ワゴンハンティング・スキルって…この世の中にもっとも必要のないスキルやん。

S原:まあな。でも、この映画はこれはすごい…もう凄いとしか言いようがない…

Y木:そんなに凄いんかいな。

S原:この映画を話す前に、『大仁田厚』という人は知ってる?

Y木:名前は知ってるで。血だらけのデスマッチをするプロレスラーやろ。あとは国会議員やってたよな。

S原:うん。この人はプロレスラーとしては功罪あるねんけどな。その話をすると長くなるから割愛します。あ、聞きたかったら話すで?

Y木:いーえ、結構です。(キッパリ)

S原:大仁田さん(S原はプロレスラーは呼び捨てにしない主義)は、とにかく存在感がピカイチやねん。で、その大仁田さんが原作・監督・主演の映画がこれです。

Y木:あー、全然ダメなパターンやん。

S原:まあまあ、そう決めつける前にこの映画のキャッチコピーをみてよ。ちなみにキャッチコピーは

 

“ 昔、ロックスター 今、ろくでなし みんなまとめて もんじゃ焼き ”

 

Y木:……全然意味わからんけど。

S原:大丈夫やって、観ても分からんから!桑田佳祐の「稲村ジェーン」(1990)も松本人志の「大日本人」(2007)も、水野春郎の「シベリア超特急」(1996)も、ものすごく変な映画やったやん?でも「あーこれが撮りたかったんやな」と理解は出来るやん。

Y木:理解はできるけど、全然低レベルやったやん。

S原:申し訳ないけど、さっき言った3作品よりもさらに低レベルです。発想が中学生みたいでな。ちょっと昔の漫画チックなカッコよさに憧れてるのがよく分かります。

Y木:話は?もんじゃ焼きの映画?

S原:もんじゃ焼きで有名な月島が舞台です。月島の町おこし映画らしい。残念ながら町おこしになってないけどな。えーと、ストーリーは……聞きたい?

Y木:別に聞きたくないけど、話を聞かないと全然わからんから聞く(笑)

S原:大仁田さんは、プロレスラー時代と変わらず革ジャン姿で登場します。ちなみにこの映画を作ったときは、国会議員ね。

Y木:ヒマなんやなあ、国会議員って。

S原:大仁田さんはもちろん主人公を演じます。名前はマサ。マサ&ブルースカイというバンドで、かつてはちょっと売れてたという設定です。で、いまは落ちぶれて、闇金融の取立係をしています。劇中にマサ&ブルースカイの曲(リバーシティ)もかかりますが、これを評することはぼくには出来ないです。筆舌に尽くしがたいという表現があるやん。あの慣用句は、この音楽のためにあると思う。しいていうなら、ゴリラの吐く息みたいなボーカルやった。

Y木:ゴリラって。

S原:月島商店街の人たちは、闇金の取り立てに困っています。商店街の娘(原田紗世子)に淡い恋心を抱いた大仁田さんは、商店街のためになんとかしようとします。

Y木:あー体を張ってヤクザたちと戦うんやろ?

S原:外れです。

Y木:あー、プロレスで戦うんやな?商店街にリングとか作って。

S原:外れです。

Y木:もしかして、バンド再結成で大金持ちになって、借金を返すとか?

S原:外れです。

Y木:なんやねん、もう。

S原:国会議員です。

Y木:は?

S原:突然、国会議員が登場します。古賀誠衆院議員です。本人です。古賀が「あーそういうことですか」「私がなんとかしましょう」と言って、政治家の黒い権力であっさりと解決します。

Y木:うそつけ。

S原:ほんまやねんって!ほんまにそういう映画やねんって!まあ古賀先生も、秘書に「この映画は絶対にヒットしますから、出演したほうがいいですよ!」「先生もこれで映画スターの仲間入り!」「よ!千両役者!」とか言われてその気になったんやろうな。古賀誠も調子にのって「今度は、仲代達也と共演させてくれよ」とか言ったりしたんやろうな(笑)

Y木:古賀誠って、あんまり頭が良くないんちゃう?とりあえず商店街のトラブルは解決したのはええけど、それじゃ、大仁田は何をしてるの?

S原:特に何もしません。

Y木:おいおい。

S原:大仁田さんは商店街のトラブル解決にはあんまり協力をしません。商店街のみんなが頑張っているあいだに、もう一度音楽をしたくて音楽業界の人たちに頭を下げたり、町をブラブラしたり、部屋でハープを吹いて隣の人に「うるせえ!」って怒られたりしています。

Y木:自分勝手やなー。

S原:あー、あと商店街の娘とも食事にいきます。2人ともお互いを意識している場面だと思うのですが、なぜかサンドイッチとジュースの食事です。

Y木:もうちょっと、ええ所に連れて行ってやれよ、大仁田。

S原:あとは何があったかな…あーそうそう、この映画では回想シーンがやたらと多い。何度も挿入されるけど、もう全部説明済、というか観ていれば分かる内容ばっかり。これは、いわゆる「素人監督」にありがちやけど、一応プロが手伝ってるんやからアドバイスしてあげればよかったのになあ。

Y木:なんとなく分かってきたわ。ラストは?

S原:大仁田さんがいきなりチンピラに刺されて死にます。おしまい。

Y木:おいおい……

S原:ほんまに変な映画やった……(ため息)でも、これを嫌いになれない自分がいる……自分でも何故かは、わからない。ねえキミは、何故だと思う?

Y木:知るか。

S原:一つだけ言えるのは、たぶんこのDVDは手元に置いておくってことかな……(遠い目)

Y木:いや勝手にすれば……?

S原:というわけでみなさん!これは久しぶりのビッグな爆弾です。まさに大仁田さんによる大仁田さんのための大仁田さんの映画!どうせ映画を作るなら、中途半端に作らずにここまでやってほしいですよ!そして、この映画を観たあなたは、きっと口ずさみたくなります。「リバァァァ~~♪ウホウホ、リバぁぁぁ~~♪」「ポケットのなかには夢しかないから~おおリバぁぁぁ~~♪」大仁田さーん!またリングに立ってくださーい!