あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

観た後に、誰かに話したくなる映画 10選!「ANIARA アニアーラ」(2019)の巻

S原:今回は、変わり種のSF!

Y木:凝ってる感じやな。

(あらすじ)

宇宙船アニアーラ号は、火星への移住者8,000人を乗せ、放射能に汚染された地球から飛び立った。だが事故で燃料がなくなり、軌道から外れた上に修理ができなくなる。宇宙をさまよう中、乗客たちは人間の感情を治癒・制御する人工知能MIMA(ミーマ)に依存し絶望から逃れようとする。しかし、MIMAは限界を超え自爆してしまう。5年後、アニアーラ号の前に槍の形をした巨大な物体が出現する…

 

S原:これは、なかなか興味深い映画やった。もしも今の時点で観るつもりの人がいたら、できるだけ予備知識なしで観ることをおススメします。

Y木:難解というかそんな感じ?

S原:そうやな。ちょっと表現しにくいんやけどな。これは、スウェーデンノーベル文学賞受賞作家ハリー・マーティンソンの原作「アニアーラ」を実写映画化のスウェーデンデンマーク合作のSF映画です。いやーなんとも不思議な雰囲気やねん。「北欧版2001年宇宙の旅」と呼ばれているらしい。

Y木:へえ。すごいやん。

S原:前半は分かりやすくいわゆる娯楽映画っぽくすすんでいきます。問題は後半やろうな。これは詳しくは後で言います。で、SF映画としては良質やと思う。まず宇宙船や途中で遭遇する槍の形をした巨大な物体のデザインが良いのよ。大きな船内(小さな町みたいになっています)も丁寧に作りこんでるし、宇宙空間をびゅーんと進まず、静かに浮いている感じがなかなかのもんです。

Y木:びゅーんって。頭が悪い表現やなー。

S原:SFならでの設定も面白いねん。例えば、漂流しても「藻類」のおかげで空気や食糧には困らないとか。この映画ならでは、というのかユニークなのは、漂流してから人間たちが人工知能のMIMAに依存し始めるのよ。人間の「負の感情」というのか「マイナスのオーラ」というのか「人間の嫌な部分」を一身に背負ったストレスで、人工知能が自爆してしまう。「ポチッとな」って(笑)

Y木:タイムボカンか。

S原:予備知識なしで観たから、ここは笑ってしまった。この展開は、なかなか独特やわ。で、問題は後半のストーリーなんやけど、ちょっと難解と言うかシュールになります。カルト宗教や孤立感・寂しさ、愛欲なども絡み合って、いかにも「作家」という感じのメタファー・暗示などのてんこ盛りです。人工知能が自爆するまえに難解な言葉を話し出す……

Y木:あーそういうところが「2001年宇宙の旅」なんやろ。

S原:そうやな。難解な映画を「解釈」するのが好きな人は、かなり面白いはず。もちろん頭の悪いぼくには理解できないけどな(苦笑)さらにこのへんになると、映画のペースもスローになって、ちょっとイマイチやったかな。ただあくまでも静謐なトーンで統一されていて、その点は悪くない。

Y木:ラストは?

S原:………どうかな?好き嫌いが分かれると思う。人によっては「なんじゃ、これ?」と突っ込むかも。でも、このラストも含めて、誰かに話したくなる映画なのは間違いないです。視点をどこに持っていくかで全然印象が変わる、奥行きのある作品やと思う。人によって話す内容・テーマが違ってくるやろうな。

Y木:最終的なおまえの評価は?

S原:ぼくは、単純に静かな雰囲気のSF映画として楽しめた。普段、観ているZ級映画よりも断然ちゃんと作ってるしな(笑)

Y木:結局は、そこが基準かい。

S原:というわけで、みなさま。ハリウッド製のカラッと明るい映画が観たいときにはおススメ出来ませんが、単純な映画に飽き気味なときはおススメです。友人や恋人と一緒に観るのもアリだと思いますよ~!