あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「ミスターロンリー」(2007)の巻

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S原:今回は、「ミスターロンリー」!

Y木:コメディ映画?

(あらすじ)

マイケル・ジャクソン”としてしか生きられない男“マイケル”(ディエゴ・ルナ)。ある日、老人ホームでパフォーマンスをすることになった彼は、会場で“マリリン・モンロー”(サマンサ・モートン)に遭遇。“マリリン”は意気投合した“マイケル”をものまねアーティストたちが集うスコットランドのコミューンへと誘うのだが・・・

 

S原:これは、コメディではないです。大真面目に作ってます。

Y木:へえ、そうなんや。ものまね芸人の悲哀みたいな?

S原:そうなんやけどな。結論から言うと、悪くないです。でもアッサリ味やな。もっとフックというか「引っ掛かり」のある映画やと期待したんやけどな。なんとなくぼんやりした印象やった。

Y木:ほう。ぼんやりした、か。

S原:この映画は着眼点は面白いやろ?

Y木:そういえば昔、マイケル・ジャクソンのパロディしてたヤツおったやろ?「イート・イット」とか(笑)

S原:あー、アル・ヤンコビックやろ!あいつは最高やで!昔CD持ってたで。

Y木:おまえ、あんな奴のCDを持ってたなんて……(絶句)まあそれはええとして、モノマネって今でもあるやん?日本のテレビでもたくさんでてくるけど、確かに立ち位置としては微妙やな。

S原:うん。本人公認かどうかはともかく、日本のテレビでは結局は『お笑い』やからな。誇張したり、本人が言いそうなことを面白おかしく言うやろ。でも、この映画では大道芸っぽいのよ。路上でマイケルのものまねをして小銭をいれてもらうみたいな。

Y木:食っていけへんやろ。

S原:全然だめです。

Y木:そうやろうな。で、主人公はマイケル芸人やろ。似てるの?

S原:あんまり…(苦笑)youtube観たら、たぶんもっと似ている人はたくさんおるはず。パリでくすぶっていたマイケル芸人が、マリリン・モンローのそっくりさんに誘われてスコットランドに行く。そこはコミューンで、お城みたいなところでな、いろんなそっくりさん達が住んでいます。リンカーンやらチャップリンやらジェームズ・ディーンやらヨハネ・パウロ2世とか。

Y木:へえ。似てるの?

S原:あんまり…(苦笑)まあ、本人そっくりショーを観る映画ではないからOKなんかな。マリリン・モンローそっくりさんは、ダンナがおるねん。そいつはチャップリンそっくりさんやねんけど、こいつが性格もわがままで自己中心的で子供っぽい。おまけにマリリンにDVしているねん。

Y木:あかんやん。

S原:なので、「チャップリンじゃなくてヒトラーに見える」と言われてしまう。いろいろあって、そこで、モノマネショーをしようと企画するねん。それに向けてそっくりさんたちが奮闘するという展開になります。

Y木:なるほど。それがクライマックスか。

S原:そうなんやけど、途中で意味深なシーンが挿入されます。ここがちょっとな……

Y木:意味深って?

S原:ヘリコプターから尼さんが落ちてしまうけど奇跡的に助かるという場面があるねん。他に、コミューンには羊が飼われているんやけど、感染したので全頭殺処分されることになる。これに神父の説教が重なります。このへんが結構長いのよ。

Y木:あー、そっくりさんたちも「迷える子羊」って暗示してるんか?

S原:そうやろうな。でも、あんまり上手くいっていないと思う。あとはマイケルの曲がかからないねん。せっかくのダンスのマネも無音で踊っているだけ。たぶん許諾がとれなかったんやろうけど、ちょっとここは可哀そうやった。

Y木:ラストはどうなるの?

S原:ステージは無事に開催されます。でも、あんまりお客さんは来なかった。みんなが落ち込んでいるなかで、マリリンそっくりさんが自殺をしてしまう。

Y木:えー、マジか…なんで?

S原:ハッキリ説明していません。で、結局、主人公はマイケルのメイクや衣装を捨てて、「本人」として生きていくことにする。少なくともマイケルの恰好していれば、少しは街中で注目されていたのに、本人では誰も振り向かない……こんな感じで映画は終わります。

Y木:ちょっと暗い感じやな。

S原:明るくはないです。全体としてはちゃんと作ってるし、悪くないです。最後は主人公の心情をモノローグで語るけど、これは要らんかったと思う。観客が想像するほうが深みがでたと思うねんけどな。これはじめに言ったけど着眼点は良いから、上手く作れればそっくりさんたちの、わびしさ・さみしさが滲み出てはずやねん。もしかすると傑作になったかも、と思う。

Y木:そうなんや。アイデアだけってことか。

S原:さあみなさん。そっくりさん達のドラマですが、「解釈」はたくさん出来るタイプの映画だと思います。ドラマ好きな人、モノマネに思い入れのある人はハマると思います。え?僕の好きなモノマネは何かですって?僕はですねえ、コージー冨田さんが大好きです!あの人のタモリのものまねは、いつまででも見れます。コージーさーん、最高でーす!

Y木:コージー冨田……なんか微妙やな……