あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

たぶんマイナーな日本映画をまた10本発掘!「乱死怒町より愛を吐いて」(2015)の巻

乱死怒町より愛を吐いて [DVD]

S原:今回は超個性的なこの映画!

Y木:なんかタイトルの文字が読みにくいぞ。

(あらすじ)

舞台は尾道。ゴロツキの岡田(川本三吉)は慈しんでいた少女の復讐(ふくしゅう)に出向いたものの逆にピンチを迎え、危ういところでどうにか逃亡に成功する。何とか見世物小屋に逃げ込んだ彼は舞(後藤まりこ)にかくまってもらい、親方アウトにそのお返しに彼らと共に働くよう強要される。岡田はエキセントリックなメンバーの中でも、舞のことが気になり始め……。

 

S原:まあ、まずキャストをみてください。

 

後藤まりこKONTA大塚明夫鳥居みゆき、川本三吉、古市コータロー(ザ・コレクターズ)、白井光浩、鳥肌実ザ・クレイジーSKB森若香織コザック前田ガガガSP)、冠徹弥(THE冠)、石原卓、カズミファイブ、森田展義、クリトリック・リス 他

 

S原:どうです?すごいでしょ?

Y木:いや全然ピンとこないけど…鳥肌実はちょっとスゴイかもやけど。

S原:KONTA森若香織が出演しているがな!バービーボーイズゴーバンズやで!

Y木:やで!って言われても……当時も聞いてないからわからんわ。

S原:えーあんなにええ音楽やのに…ほかにも声優の大塚明夫ザ・コレクターズの古市コータローなど通好みというかヤケクソみたいなキャストで、こういう映画も珍しい。

Y木:異色キャストの群像劇ってことか?

S原:主役は、後藤まりこと川本三吉になると思う。後藤まりこはミュージシャンらしいけど、ぼくは知らんかった。声がすごく良い。この映画では完全に棒読み演技で独特の浮遊感があります。一応、川本三吉だけがまともな役で狂言回し的な立場やけど、後半にはそれも崩壊してたわ(笑)

Y木:結局、これはコメディなん?

S原:DVDの裏面に「パンク×ヤクザ×コメディの新感覚ムービー」と書いてあるんやけどな。なかなか上手く表現しています。

Y木:「新感覚ムービー」かー。いままでそういう売り文句の映画はたくさんあったからなあ(苦笑)どうせアングラなんやろ?

S原:アングラと一言では括れないかな。全体としては、アングラ演劇のような、自主映画のような、エログロバイオレンスのような、疾走感と停滞感が混在しているような唯一無二の世界と言っていいと思う。監督/脚本は島田角栄。とにかくものすごい個性的で、こんな人もおるんやあ…(ため息)

Y木:ストーリーは?

S原:一応あります。でも、起承転結を追っていくようなタイプの映画ではないかな。小説で言うと「文体を楽しむ」作品やと思う。見世物小屋の面々の奇天烈なエピソードが中心ですすんでいく感じやねん。シュールさとポップさのギリギリを狙った場面の連続で、面白く感じるか、まったくついていけないか、どっちかやろうな。で、ぼくは結構楽しめました。

Y木:ほんまかいな。

S原:ただ、もう一回観るか?と言われると「遠慮しておきます…」と言うしかない。というのは、もう世界観が濃厚すぎてみるのに疲れるのよ……(苦笑)

Y木:舞台は尾道か。大林信彦とは違う雰囲気なんやろ?

S原:イエース。大林作品とは全く違うアプローチで撮っていてここは感心した。本当にふらっと見世物小屋が出来そうな雰囲気の街に見えるしな。この映画の良いところはダラダラがないのが良い。テンポが独特で最初は戸惑うけけど、この世界に浸ってしまえば最後まで観れると思う。

Y木:へえ。

S原:これ以上はあんまり言葉にしても意味がないと思う。新感覚ムービーといえば、確かにその通りかもしれん。ただ、パンクっぽいとは思わんかったかな。このへんも観る人によって変わると思う。

Y木:じゃ、今回は「変な映画だけどおススメ」ってことか?

S原:うん。とくにマイナー作品に抵抗がない人は観てほしい。なかなかぶっとんでいるので(笑)というわけで、この映画は超個性的です。ちょっと刺激が欲しいときに観てくださいませ~!