S原:今回はこれ!
Y木:ほうー、「狼女」やな。
(あらすじ)
アメリカ北東部の深い森で発見されたハンターの惨殺死体。その喉元は、鋭利な刃物で切り裂かれていた。しかし、その猟奇的な殺され方にもかかわらず、事件は闇に葬られた。特別捜査官のジャックは謎を究明するために、自ら捜査を開始した。だが、再び繰り返される闇夜を切り裂く断末魔の叫び声。ついに遭遇した殺人者の正体とは?狼の凶暴さと人間の知性を兼ね備えた究極の生命体だった!間はコイツのエサでしかないのか?ここに人類の存亡をかけた最終バトルが始まった!
S原:これ、ジャケットをみると狼男の女性バージョンやと思うやん? ところが、全然違う。普通の狼男映画やったわ。
Y木:またパッケージ詐欺か。
S原:女性は襲われるだけ。しかも、こんな女性はでてこないという二重詐欺やった(笑) これは90分くらいの映画で、最後の20分くらいは少しだけ面白い。狼男と戦う場面だけは、まあまあ観れます。でも、それまでがひどい。
Y木:だるいんやろ?
S原:それもあるけど、とにかく意味のない場面ばっかりやねん。まずは、森林警備隊の男女が、山の中で奇妙な事件が起きているといことで調査にきます。
Y木:ほう。
S原:普通なら、ここから山中で狼男に会うとか、狼男の痕跡とみつけるとかの展開になるやん。ところが、この映画では一味違います。なんと、この男女は雑談を始めます。
Y木:雑談?
S原:ほんまにそれしか言いようがないねんって。また、その意味のない雑談が長い。隣の居酒屋で雑談している男女の話を聞いても、べつに興味ないやろ?それと一緒です。で、もう一方はホラー映画の定番の、バカなヤンググループ7人組。普通なら、こいつらが謎の動物(狼男)に襲われる展開になりますが、この映画では一味違います。なんと、この7人組は雑談を始めます。
Y木:また雑談かいな。
S原:いやー、このへんは観るのが苦痛やった……まあ、お約束のチョメチョメしていると襲われる場面はあるねんけどな。それも、かなり後半なのよ。なのでちゃんとチョメチョメしたり、湖に裸で遊んだりして、ヤングらしいキャンプライフを満喫しています。このへんは、観ているとドキドキするねん。
Y木:ドキドキ?なんで?
S原:もしかして、だれも襲われずに、このまま「楽しかったねー」って下山しておしまいになるかと、ドキドキしたわ。
Y木:それは青春キャンプ映画やがな。
S原:せめて途中で仲村トオルが後藤久美子を背負って、合流したら面白くなったと思うんやけどな。
Y木:仲村トオル……え?
S原:「ラブ・ストーリーを君に」(1988)でしょ!2人で登山してたやないの!
Y木:知るか、そんな映画!はよ、話をすすめてくれ。
S原:で、大人男女の雑談とヤングたちの雑談が交互に聞かされて、そろそろ頭が麻痺しそうなころに、やっと狼男がでてきます。
Y木:ほう。肝心の狼男の造形とか特撮はどうなん?
S原:仮面ライダーの敵役みたいやった(笑)あと、体のわりに頭が大きいから、どうも格好悪い。たぶん、中にはいる人の頭が大きかったんやろうな。
Y木:あかんやん。
S原:まあデザインや造形もイマイチなんやけど、狼男が登場すると画面がかすむねん。
Y木:かすむって?
S原:とにかく、画面がぼやけるというか、画像が粗くなるというか。たぶん、狼男の着ぐるみをハッキリとみせたくなかったんやろうな。
Y木:はあー肝心の狼男をハッキリみせない映画か。それはちょっと。
S原:あとは、着ぐるみが重かったみたいで、すごい動きがゆっくりやねん。友人がゆっくりと襲われていて、なぜか他の友人たちが逃げずに、ぼーっと立って見ている場面があるねんけど、シュールの極致やったで。一応、ヤングたちが襲われて、森林警備隊の男女が助けに来るというのがお約束なんやけど、あっさりと男の方が死にます。残った女性は銃も満足に撃てません。それどころか、狼男を狙った弓矢が友達の胸を打ち抜きます。傷害致死です。
Y木:わけがわからんねんけど。
S原:途中で、森の中でトリカブトがあるのをみつけるねん。森林警備隊の女性が「昔、トリカブトを使って、狼をやっつけたのよ!」と言い放ちます。当然、最後にトリカブトを使って狼男をやっつけるんだろうな、と思っていたら、出てきませんでした。なので、森の中の植物を解説しただけという……
Y木:最後は?
S原:細かいことは忘れたけど、銀貨を溶かした矢じりを作って、弓矢でやっつけたと思う。なぜ弓矢があるのかの説明はなかったけど(苦笑)最後はひどいねんで。たくさんの友人や仲間が死んでるやろ?すぐに救援を呼べば助かるかもしれへんのに「もう、たくさんだ」「面倒くさいからもうええわ」って感じで、のんびりと帰っていきます。狼男を放置したまんま……
Y木:あかんやん。
S原:「狼男の死体は、ハイエナが食べてくれるわ」「だから、この事件はなかったことになるわ」
Y木:いや人が死んでるんやから。それは人間としてどうなんや。
S原:まあ、ひどい映画やった。登場人物のだれもがどんくさくて、全然活躍できないというアイデアはちょっと面白いけど、演出がそれに追いついていません。というわけで、みんさん。もしもこれを観るなら最後の30分くらいで十分ですので、そこまで早送りで観てくださーい!
Y木:そこまでして、観なくてもええんちゃう……?