あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

(たぶん)知られざる狼映画 3匹目  「 ウルフヴィル」(2006)の巻

ウルフヴィル [DVD]

S原:今回はこれ!

Y木:ほうー、「狼女」やな。

(あらすじ)

アメリカ北東部の深い森で発見されたハンターの惨殺死体。その喉元は、鋭利な刃物で切り裂かれていた。しかし、その猟奇的な殺され方にもかかわらず、事件は闇に葬られた。特別捜査官のジャックは謎を究明するために、自ら捜査を開始した。だが、再び繰り返される闇夜を切り裂く断末魔の叫び声。ついに遭遇した殺人者の正体とは?狼の凶暴さと人間の知性を兼ね備えた究極の生命体だった!間はコイツのエサでしかないのか?ここに人類の存亡をかけた最終バトルが始まった!

 

S原:これ、ジャケットをみると狼男の女性バージョンやと思うやん?  ところが、全然違う。普通の狼男映画やったわ。

Y木:またパッケージ詐欺か。

S原:女性は襲われるだけ。しかも、こんな女性はでてこないという二重詐欺やった(笑) これは90分くらいの映画で、最後の20分くらいは少しだけ面白い。狼男と戦う場面だけは、まあまあ観れます。でも、それまでがひどい。

Y木:だるいんやろ?

S原:それもあるけど、とにかく意味のない場面ばっかりやねん。まずは、森林警備隊の男女が、山の中で奇妙な事件が起きているといことで調査にきます。

Y木:ほう。

S原:普通なら、ここから山中で狼男に会うとか、狼男の痕跡とみつけるとかの展開になるやん。ところが、この映画では一味違います。なんと、この男女は雑談を始めます。

Y木:雑談?

S原:ほんまにそれしか言いようがないねんって。また、その意味のない雑談が長い。隣の居酒屋で雑談している男女の話を聞いても、べつに興味ないやろ?それと一緒です。で、もう一方はホラー映画の定番の、バカなヤンググループ7人組。普通なら、こいつらが謎の動物(狼男)に襲われる展開になりますが、この映画では一味違います。なんと、この7人組は雑談を始めます。

Y木:また雑談かいな。

S原:いやー、このへんは観るのが苦痛やった……まあ、お約束のチョメチョメしていると襲われる場面はあるねんけどな。それも、かなり後半なのよ。なのでちゃんとチョメチョメしたり、湖に裸で遊んだりして、ヤングらしいキャンプライフを満喫しています。このへんは、観ているとドキドキするねん。

Y木:ドキドキ?なんで?

S原:もしかして、だれも襲われずに、このまま「楽しかったねー」って下山しておしまいになるかと、ドキドキしたわ。

Y木:それは青春キャンプ映画やがな。

S原:せめて途中で仲村トオル後藤久美子を背負って、合流したら面白くなったと思うんやけどな。

Y木:仲村トオル……え?

S原:「ラブ・ストーリーを君に」(1988)でしょ!2人で登山してたやないの!

Y木:知るか、そんな映画!はよ、話をすすめてくれ。

S原:で、大人男女の雑談とヤングたちの雑談が交互に聞かされて、そろそろ頭が麻痺しそうなころに、やっと狼男がでてきます。

Y木:ほう。肝心の狼男の造形とか特撮はどうなん?

S原:仮面ライダーの敵役みたいやった(笑)あと、体のわりに頭が大きいから、どうも格好悪い。たぶん、中にはいる人の頭が大きかったんやろうな。

Y木:あかんやん。

S原:まあデザインや造形もイマイチなんやけど、狼男が登場すると画面がかすむねん。

Y木:かすむって?

S原:とにかく、画面がぼやけるというか、画像が粗くなるというか。たぶん、狼男の着ぐるみをハッキリとみせたくなかったんやろうな。

Y木:はあー肝心の狼男をハッキリみせない映画か。それはちょっと。

S原:あとは、着ぐるみが重かったみたいで、すごい動きがゆっくりやねん。友人がゆっくりと襲われていて、なぜか他の友人たちが逃げずに、ぼーっと立って見ている場面があるねんけど、シュールの極致やったで。一応、ヤングたちが襲われて、森林警備隊の男女が助けに来るというのがお約束なんやけど、あっさりと男の方が死にます。残った女性は銃も満足に撃てません。それどころか、狼男を狙った弓矢が友達の胸を打ち抜きます。傷害致死です。

Y木:わけがわからんねんけど。

S原:途中で、森の中でトリカブトがあるのをみつけるねん。森林警備隊の女性が「昔、トリカブトを使って、狼をやっつけたのよ!」と言い放ちます。当然、最後にトリカブトを使って狼男をやっつけるんだろうな、と思っていたら、出てきませんでした。なので、森の中の植物を解説しただけという……

Y木:最後は?

S原:細かいことは忘れたけど、銀貨を溶かした矢じりを作って、弓矢でやっつけたと思う。なぜ弓矢があるのかの説明はなかったけど(苦笑)最後はひどいねんで。たくさんの友人や仲間が死んでるやろ?すぐに救援を呼べば助かるかもしれへんのに「もう、たくさんだ」「面倒くさいからもうええわ」って感じで、のんびりと帰っていきます。狼男を放置したまんま……

Y木:あかんやん。

S原:「狼男の死体は、ハイエナが食べてくれるわ」「だから、この事件はなかったことになるわ」

Y木:いや人が死んでるんやから。それは人間としてどうなんや。

S原:まあ、ひどい映画やった。登場人物のだれもがどんくさくて、全然活躍できないというアイデアはちょっと面白いけど、演出がそれに追いついていません。というわけで、みんさん。もしもこれを観るなら最後の30分くらいで十分ですので、そこまで早送りで観てくださーい!

Y木:そこまでして、観なくてもええんちゃう……?