S原:変な映画特集、今回はこちら。
Y木:なにこれ?
(あらすじ)
『CUBE』『カンパニー・マン』の奇才、ヴィンチェンゾ・ナタリ監督による異色のサスペンスミステリー。9歳からの親友同士の、デイブとアンドリュー。次々と襲い掛かる不幸に世の中のすべてが嫌になってしまったふたりの前に想像を絶する世界が現れる。
S原:これは……うーん……
Y木:なんやねん、いきなり。
S原:これ、上のあらすじを読むとSF系のサスペンス映画やと思うやろ?
Y木:そやな。
S原:これ、コメディやねん。
Y木:そうなんや。
S原:不条理というかシュールさとコメディの融合を狙ったんやと思うけど、あんまり上手くいっていないかな。
Y木:上のあらすじでは、よくわからんけど。
S原:おじさん2人が主人公やねん。2人は一緒に住んでいる。幼馴染でひとりは引きこもり。ひとりは、うだつの上がらないサラリーマン。ある日、引きこもりのおじさんは、ロリコン趣味(変態行為)を疑われる。同時に、サラリーマンのほうは、会社の金を横領したと無実の罪をきせられる。挙句、2人が住んでいるボロ家は違法建築だと言われて、強制退去を命じられる。野次馬がやってきてジロジロみられる。完全に2人はバカにされてるわけ。
Y木:散々やな。
S原:このへんはテンポも良いしちょっと面白い。決して知的とは言い難いおじさん2人が、なんとも哀れやしな。やがて2人は、なにもかもが嫌になって自暴自棄になる。その瞬間、あたりが静かになる。よく見ると、家の周りになにもなく、ただ白い空間があるだけやねん。
Y木:ほー白い空間か。
S原:「絵」としてはなかなか興味深い。けど、ここからが失速するねん。
Y木:どうなるの?
S原:主人公たちは、白い空間がどうなっているか調べます。けど、どうもこのへんが面白くないねんなあ。別に「謎解き」がなくてもええねんけど、単純に白い空間を歩き回って、迷子になりそうになったりするだけやもん。
Y木:迷子か。それは映画としては盛り上がらんな。
S原:うん。やがて、だんだん自分たちの心の中で「消えろ!」と念じることで、実体が消えるということがわかってくる。
Y木:なるほど。それで?
S原:2人がケンカをして、片方が怒って家を消してしまう。
Y木:あかんやん。
S原:もう一人は怒って、相手の体を消してしまう。相手は首だけになる。
Y木:おお。
S原:もう一人もまた怒って、相手の体を消してしまう。2人とも首だけになる。真っ白な空間に、汚いおじさんの首だけが映って、おしまい。
Y木:なんやねん、それ。
S原:ほんまにそんな映画やねんって。
Y木:ブラックジョークなんやろうな。
S原:たぶんな。でも笑えんかった。空間のなかにポツンと家がある風景とかが描きたかったんやろうけど、絵のユニークさだけでは、ちょっと物足りないよなあ…
Y木:変な映画やなあ。
S原:アイデア一発で勢いのまま撮ったんやろうな。ちょっと調べると5日間で撮ったらしいし。
Y木:5日間!それはすごいな。
S原:その分、雑というかなんというか…あとは好みやろうけど、ぼくは好きになれないかな。
S原:そうそう。というわけで、奇妙な味わいはありますが、それ以上でもそれ以下でもない映画です。レンタルでもおススメしにくいですが、変な映画にチャレンジしたい人は、ぜひどうぞ~!