あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

「リヴィッド LIVIDE」(2011)の巻

ソース画像を表示

(あらすじ)

訪問介護ヘルパーのリュシー(クロエ・クルー)は、かつて厳格なバレエ教師として知られ、今は昏睡状態にある老婦人ジェセル(マリ=クロード・ピエトラガラ)の邸宅に赴く。館のどこかに秘密の財産が隠されているという話を知ったリュシーは、恋人(フェリックス・モアティ)と彼の友人(ジェレミー・カポーヌ)に説得され、一緒にジェセルの屋敷に忍び込む。そんな三人の前に、亡くなったはずのジェセルの娘(クロエ・マルク)が純白のバレエ衣装に身を包んで現われ……。

 

今回は、ぼく(S原)の一人語りでお送りします。

紹介する映画は、フランスのホラー「リヴィッド」です。これはなんとも感想が言いにくい映画ですねえ…

映画の序盤(30分くらいまで)は、典型的なお化け屋敷映画の作りで、寒々としたノルマンディー周辺の漁港の風景や古風な洋館など雰囲気重視の絵作りです。主人公(クロエ・クルー)の風貌も合っていると思います。(特典のインタビューで監督のインタビューが収録されていますが、プロデュサーの反対を押し切って、クロエ・クルーを抜擢したんだとか)

評価が分かれるのは、屋敷に入ってからでしょうね。雰囲気重視なのはそのままなのですが、まったく説明がないまま、どんどん話がいろんな方向へ展開していきます。屋敷で、寝たきりの老婦人の娘らしき人形をみつけるのですが、これが人形ではないと気づきます。じゃあ、何者なんだと思うでしょうが、説明はありません。おそらく幽霊かゾンビが吸血鬼かと思いますが、最後まではっきりとしませんので、普段映画をあまり見てない人は「なんだこれ?」と突っ込むでしょうね。

この娘が主人公たちを襲ったり屋敷から脱出できなくなったりという典型的な展開になります。これだけだと普通のホラー映画ですが、同時に過去のバレエ学校の場面が挿入されたり、動物のはく製が並んでいる食卓で主人公が不可思議な体験をしたり、主人公がなぜか改造(?)されたり、口から蛾がでてきたり、という奇妙な場面が描かれます。それらが伏線となってクライマックスにむかう…というわけではなく、最後まで観客に解釈をゆだねるような作りです。ここは監督の狙い通りでしょうか。

ただ、映画が終わっても謎が解明されないのはいいのですが、個人的には「幻想的な部分」と「グロ映像」と「バレエ少女たち」があまりうまくかみ合っていなかったことが残念です。例えば、真っ暗な屋敷内を懐中電灯を持って階段を上る場面はすごく上手く不安感を煽るのに、バレエ少女がでてきて主人公を襲うのはキックやパンチというプロレス技だという…(苦笑)

グロ描写は抑え気味ですが、それでもこの映画に必要だったのかはちょっと判断がつきかねます。地味でも雰囲気重視の幻想映画にしてしまえばよかったと思うんですけどね。

おそらく監督は、一言で括れないような映画を作りたかったと思われます(インタビューでもそれに近いことを語っています)。

ラストも僕にはまったく理解不能でしたが、不思議と腹がたつという感じではなかったです。

というわけで、いろいろと美味しくなるところを逃している感じがする「惜しい映画」でした。最近のハリウッドでは味わえない、なんとも不可思議な空気感は楽しめますので、ご興味ある人はぜひご覧くださいませ。

以上、S原がお送りしました!