あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

舞台のDVDを観てみる!「チャットルームでなぐり合い!」(2011)の巻

S原:今回から、しばらく芝居/舞台のDVDを紹介しますよ~。

Y木:へえ。

(あらすじ)
異世界』という連載中の漫画作品のファンが集まるチャットルームを舞台にした話。このチャットルームで六反田と名乗る男がその漫画の作者で、他の入室者に漫画のアイデアを出してもらったりしている。ファン達は自分のアイデアを使ってもらえることが嬉しく、他言無用の条件を飲んで六反田に強力している。それ以外では世間話をする程度だが、このルーム利用者の一人、一井という女性が、女子大生と自称する四日市が実は自分の母かもしれないと、二宮に相談する・・・

 

S原:はじめに言っておくと、ぼくは芝居(舞台)などは、詳しい人間ではないです。生では10回くらいしか観てないと思う。半分は知人がでているから観に行ったような感じやし。なので、芝居に詳しい人や劇団関係者が読むと、今回はかなり的外れになってるかもしれない。さきにそれは言っておきます。

Y木:べつに、自分の素直な感想を言ったらええやん。

S原:そうなんやけどな。映画はいままで何十年と観続けてるから、なんとなく「映画の世界」ってわかるやん。同じイタリアでもヴィスコンティはちゃんと作ってるけど、ルチオ・フルチはムチャクチャみたいな。でも、なぜかフルチのDVDのほうが欲しくなるみたいな。

Y木:なんで例えがその2人やねん。

S原:舞台・芝居はほんまに知らん世界やから、この「チャットルームでなぐり合い!」という舞台が、有名なのか無名なのか、(演劇として)異色作なのか正統派なのか、見当もつかない。

Y木:そんなんどうでもええって。結論から言うとどうやった?

S原:面白かった!かなり前に「杉山君たちは夜専門」っていうDVDを紹介したんやけど、覚えてる?

Y木:…忘れた。

S原:一緒にブログやってるのに、あなた…(苦笑)あれも面白いねんけど、あれは芝居を映像(ドラマ)に置き換えてるねん。あれは「映画」と言っていいと思うけど、これは舞台をそのまま撮影(ほぼ固定カメラでワンカット)している。だからお客さんの笑い声とかも収録されている。

Y木:ほー宝塚歌劇のDVDみたいなもんやな。

S原:そうそう。規模もやっていることも全然違うけどな。たぶん、舞台を観に行ったら売店で過去の芝居をDVDにして販売してるんとちゃうかな。プロレスでも休憩中に選手が、自分の試合のDVDを売ってるやん?

Y木:知らんわ。

S原:買ったらすごく喜んでくれるで(笑)それはええとして、さっきも言ったけど、このDVDはなかなか楽しめた。ただ、劇中の音をそのまま収録しているから、ところどころセリフが聞こえにくい。たぶん、生観劇したらちゃんと聞こえるんやろうな。

Y木:どんな話?

S原:ネット上のチャットルームが舞台。そこにいろんな人が会話をしにくる。役者が「舞台にでてくる」=「チャットルームに入室する」という形になってるわけやな。入室するときにPCのポーンと言う音がつく。効果音はほとんどそれくらい。だから、ネットをやめて退室するときは、そのまま舞台からでていく。そこでいろんな「会話」をしていく。それがそのままリアルタイムな芝居になってます。

Y木:会話が背景に文字になってでるとか?

S原:いや、そのまま役者が話します。だから、一見するとまるで普通の部屋で生身の人間が会話しているだけに見える。でも、じつは本当は、お互いにどんな人間か(外見も中身も)わからない。キャラを「演じている」のかもしれない。これを生身の役者が「演じる」。なかなか興味深い手法やろ?

Y木:そやな。それにしても、チャットルームかー。聞いたことはあるけど、どんなんかは知らんな。

S原:ぼくも知らん。会話をするサイトやから、2ちゃんねるみたいなもんかな。ただし、(画面上の)会話はある程度で消えて、過去の会話はみれないらしい。このへんは芝居の中でも自然に説明されてた。まさにチャット(おしゃべり)やな。でも詳しいことはよくわからん。ちょっと調べたら、「性犯罪に気を付ましょう」とか「性風俗が云々」とか注意がでてくるから、そういう側面もあるみたい。

Y木:なるほどな。この芝居ではそういうのはないんやろ?

S原:もちろんないです。前半はちょっとスローやねん。結構、他愛もない会話が続く。あとで伏線になる部分もあります。すこしギクシャクしてるように思うけど、たぶんぼくがこの舞台の世界に入っていけてないからやと思う。

Y木:舞台の世界か。雰囲気と言うか?

S原:そうやな。やっぱり舞台って独特やん。キャラとか物語の世界が消化するまでは、すこし時間がかかる…ような気がする。いやよくわからん。ぼくだけかも。

Y木:まあ言わんとすることはわかる。ライブやしな。単純に会話するだけのストーリーじゃないやろ?

S原:六反田と言う漫画家が「異世界」という漫画を描いていて、みんなそれが好きで集まってます。ときにアイデアを提供したりします。そうこうしているうちに、六反田が、チャットルームで知り合った四日市という女性(自称・女子大生)に恋心を持ってしまって、直接会いに行くという話がでてくる。

Y木:え、住所を知ってるの?

S原:なんか女性が、六反田に夕焼けの写真を送った(?)らしい。その家並みのシルエットで住所を割り出したのよ。

Y木:それはすごいな(苦笑)

S原:チャットルームに参加している人たちは、必死で止めようとする。そんななかで、四日市はじつは50代後半の女性(既婚)だと判明する。同時に四日市の実の娘も、一井という名前でチャットに参加していて、自分の母親だと気付く。六反田は、女性経験どころか普通の人間関係にも疎いような世間知らずのおっさんの漫画家なんやけど、四日市に会いたいという気持ちは純粋やねん。同時に、六反田の漫画が好きでなんとか続きを書いて欲しいと持ち上げるキャラや、実は雑誌編集者(六反田の担当)も参加していて、どんどんドタバタしていく…という話やな。

Y木:へえ、おもしろそうやな。

S原:うん。楽しいで。ただ、さっきも言ったけど、たぶん伏線と回収があるんやけど、このDVDではセリフが聞き取りづらくて残念やった。あと、チャットルームの中の人間関係が、ぼくにはちょっとわかりにくかったかな。生の舞台で集中して観たら、たぶん、かなり印象が変わるんやろうな。

Y木:やっぱ芝居は生で観るもんでしょ。といいつつ、おれもほとんど観たことないけど。

 S原:さあ、みなさん。これは観てもらわないとわかりませんが、なかなか良いDVDです。機会があればぜひ観てください。カーテンコールでの役者の短いあいさつも印象に残ります。興味があれば、ぜひどうぞ!