あなたの知らないワゴンセールの世界

ほとんどの人が見向きもしない中古屋やレンタル落ちのワゴンの中…しかし、その小宇宙にはまだ知らない映画たちが眠っている(はず)!そんな映画を語るブログです(週末 更新予定) 娘曰く「字ばっかりで読むしない」「あと、関西弁がキモイ…」そういうブログです

舞台のDVDを観てみる!「漫画みたいにいかない。」(2018)の巻

 

舞台「漫画みたいにいかない。」 [DVD]

S原:芝居の芝居のDVDシリーズ、今回はこちら!

Y木:なんか、お金がかかってそうやな。

(あらすじ)

新感覚シチュエーションコメディ『漫画みたいにいかない。』の舞台版。売れない漫画家と周りの人々の日常をシニカルな笑いと哀愁を交えて描く。舞台初出演の島崎遥香山崎樹範が共演。脚本・演出を放送作家・オークラが担当。

 

S原:これは、もとはhulu限定配信のドラマらしい。それを舞台にしたみたい。そういうのも知らずに、初めはまったくの予備知識なく観たから、ファンから「それは間違ってまっせ!」と突っ込まれそうやけど、素直な感想を語ります。

Y木:それで、ずばり感想は?

S原:うーん…まずまずな出来……いやイマイチやなあ…

Y木:歯切れが悪いな。

S原:だって、ほんまにそうなんやって。

Y木:どんな話?

S原:漫画家とアシスタントと漫画家の友人がいます。アシスタントは、ユーチューバーをしていますが、なんとチャンネル登録者数2名しかいません。そんな話題でバカなやりとりをしているうちに、漫画家の友人が釣りに行こうと提案する。じつは引っ越しの最中で荷物が積みあがっているから、片づけてから、と言われて、友人はいじける。そこへ編集者が原稿をとりにくる。ちょうど、締め切り日やったんやな。ところが、原稿が見あたらない。ぐちゃぐちゃになった荷物の中から、探そうということになる。そこへ、漫画家のファンと称する男がやってくる。こいつは、ストーカー気質でプッツン気味の男やねん。早く釣りに行きたい友人は、適当にあしらうが、それがかえってストーカー男を攻撃的にさせてしまう。そのころ、新しいアシスタントとしてキレイな若い女性がやってくる。同時に、漫画家の娘が恋人との同棲を解消して戻ってきて……という感じで話はすすむ。

Y木:なるほど。舞台って感じやな。

S原:うん。テレビ局が製作しているから、かなり舞台装置や美術もちゃんとしているし、なによりもステージが広い。(場所は、東京かつしかシンフォニーヒルモーツァルトモーホール)たくさんのカメラがあって、ちゃんとテレビみたいにカットが変わる。照明もバッチリ。役者1人ずつにマイクがついていて、ちゃんとセリフがクリアに聞こえる。すごく観やすい。

Y木:へえ。

S原:でも、ぼくはあんまり世界についていけなかった……全然お金がなくて、カメラは固定。狭い舞台。ところどころセリフが聞こえにくい「チャットルームで殴りあい」のほうが、断然良かった。

Y木:まあ、それは内容やろうけどな。どういう点が、ついていけないの?

S原:役者は上手いよ。東京03角田晃広飯塚悟志豊本明長)を中心にしていて、いつもこんなリズムで芝居してるんやろうな、と感じる。このへんは安定して観れます。山下健二郎(三代目JSoulBrothers)も、アイドルの島崎遥香もでてます。初めて見たけど、2人とも良かった。たぶん、この2人が出演することで、劇場は満杯になったやろうしな。とくに山下健二郎の存在感は良い。この人は、影のMVPやと思う。

Y木:褒めてるやん。

S原:役者はええねんけど……話がしょーもないねん。

Y木:ストレートやな。

S原:ほんまにイマイチなんやって。前の「チャットルームで殴り合い」もとくに凝った話じゃないけど、なんか観ているうちにその世界に入っていくねん。でも、この舞台は、この世界に全然のめり込めなかった。

Y木:それって、好みやろ。

S原:そう思う。でも、お金をかけているのがすごく分かるから、なんか空しいねん。皿や食材はすごくキレイなのに、この味?みたいな。

Y木:だから好みやって。

S原:どう言えばいいのか…結局、これは舞台じゃなくて「テレビ」なんとちゃうかな。テレビのノリをそのまま舞台にしました、ちょっと、有名な人をゲスト出演させてみました、劇場には客も入りました(ライブビューイングもした)、DVDも作りました、あーそれはよかったね。

Y木:なんや嫌味っぽな。

S原:前回も言ったけど、舞台の世界は知らんし、それぞれ苦労はあると思う。でも、この舞台は違和感がある。それは、自分でもよくわからんけど。

Y木:それって……例えば小さな芝居小屋でやっている劇団って山ほどおるやん。そういう奴らに比べて、こいつらはお金かけて舞台をしやがって!という変な正義感がないか?アングラ劇団の味方になっているというか。

S原:いや、そういうつもりはないねん。まあ、あれや、単純にイマイチやったってことやな。

Y木:もう少しイマイチなところを教えてや。

S原:次から次へといろんなことが起きる。それが後半になるにつれて、どんどん複雑に絡み合っていく。この辺がちょっとな。

Y木:伏線が回収される展開?

S原:そうそう。でもそこが弱い。それにキャラクターに感情移入できない。どこか、みんな個性的で、それがこの劇の面白さになるはずなんやけど、なんとなく性格の良くない人間たちが右往左往しているだけ、みたいな(笑)あとは、メインのエピソードがどれかよくわからん。しいて言うなら、漫画家と娘の親子げんかが上手く(偶然に)収まってく、という話と、はじめは無関係な(はずの)人間同士が、どんどんつながっていくというところが主軸になるはずなんやけど…なんか観ていてどうでもええわ、とつぶやいてしまうねんな。

Y木:どうでもええわって…そんなん言ったら、ほとんどのサブカル作品はそうやがな。

S原:そりゃそうやけど、これって舞台として評価されてるんかなあ。よくわからんけど、全然ピント外れのことを言ってるのかもしれん。でも、自分が面白くないのに体裁繕ってもしゃーないやろ。

Y木:それはそうやな。誰からもお金をもらってるわけじゃないし(笑)

S原:というか、逆に中古でDVDを買いまくってるちゅーねん!

Y木:知らんがな。

S原:さあ、みなさま。人によって評価は分かれるでしょうが、山下健二郎島崎遥香のファンならマストバイでしょう。宝塚歌劇よりも徹底しておらず、テレビ的な面白みも生かせず、たぶん地方の小劇団にたぶん負けていますが、第2弾の舞台があったそうなので、評判は良かったんでしょうね。というわけで、判定はあなた次第!賞賛か?酷評か?スルーか?さあ、ワゴンコーナーへレッツゴー&ゲット!