(あらすじ)
理由も分からず拉致された人間の過去を暴き、視聴者が死刑判決を下し、公開処刑するその一部始終を放映するテレビ局が存在した!
舞台となる密室は、1000万人以上の視聴者数を誇る視聴者参加型公開処刑番組の収録スタジオ!
出口のないこの空間で、24時間の監視と行動の制約で、次第と狂気に侵されてゆく男女7人。
彼らの隠された過去が暴かれるとき、遂に視聴者によるジャッジが下される!果たして次に処刑されるのは誰だ!?
これは退屈して途中で観るのを止めてしまうというほどではないのですが、一言でいうと「凡庸」ですね。
あらすじは、上の通りでそれ以上でもそれ以下でもありません。それぞれの登場人物たちは、陰で「悪事」を働いておりそれを糾弾されるわけです。それはいいのですが、麻薬や幼児売買というような重犯罪から、軍隊でのいじめ(しごき)や浮気など、どうも悪事のレベルがバラバラなんですよ。せめて、ここのレベルは統一してほしかった(笑)
あとは主人公たちの切羽詰まった状況があまり伝わりません。なんというか、とにかく登場人物たちがクールで大人しいんですよ。観ながら「おいおい、命がかかったゲームの強制参加させられてるのに、もうちょっと真剣になってくれよ」と突っ込むこと必至です。「魁!男塾」にでてくる竹林剣相撲でも必死で戦っていたじゃないですか(土俵の外に落ちると竹林が剣になっていて危ないから・笑)あの世紀の珍作「バトルロワイアル2」でも、竹内力だけは全力投球だったじゃないですか。彼を見習ってほしいですよ、ほんとに。
キャラクターもそうなのですが、肝心のストーリーも起伏がなくドラマティックな展開もありません。普通、こういう映画では状況をかきみだすキャラがいるんですよ。やたらと反抗的とか自分勝手な行動をするとか。ベタでも、そういうキャラが、ドラマチックに(サスペンス映画では状況が悪くなるほうに)盛り上げると思うんですけどね。この映画では普通にみんな「大人」で順番に裁判を受けるだけ。これじゃ、まるで田舎の免許更新センターの待合室ですよ……(ため息)
要するに起承転結の「転」が面白くないんでしょうね。相手の裏をかく、とか、実はあの行動は〇〇だったとか、「あーなるほどねえ」という伏線がない。というか少しあるのですが、観客はみんな予測できる範囲の伏線ばかり。この点を頑張らないと、ただ単に罰ゲームですよ、あなた。
たとえば、そんなに仲良くない友人が海外旅行で観光地巡りの話をしても面白くないですよね。でも、ぼくの大学の先輩(Mさん)のように、海外で外人と喧嘩になっておもらしをした、という話なら面白いですよね(実話)。そういうことなんですよ。
あとラストもあまり練られていないように思いますね。後味も良いとは言えないし、もう少し他にあったような気がしますが……どうも今回は歯切れが悪くてすいません。でも、本当にそういう映画なんですよ。
というわけで、今回はあまりおススメしません。
以上、S原がお送りしました!